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行ってきたよ「evala 現われる場 消滅する像」@ICC 2025/01/23

《ebb tide》
 ひんやりとして、暗くて、吸音材の、やさしい山。ひとりのぼって、ひとりおりて、暗闇のなかにポツポツとあらわれて消えていく。響く立体音響と「私のこともみてよ」と言わんばかりに光る照明。
 たまたまだと思うのですが、オペラシティでみる展覧会、だいたい死へのレクイエムとか、一旦墓に入ってみるみたいなことやってるな

《Sprout “fizz”》 
 地面や壁に張り巡らされた大小のスピーカー群から音を浴びる体験。私たちは「ケーブルいけばな」の合間を歩くことができる。

 気がついたら光に向かって歩いているような、常に何者かから話しかけられているような。

《Score of Presence》
 キラキラの絵画かと思いきやスピーカー!6枚の絵からそれぞれの音が鳴り、空間音響を創り上げている。インクも印刷も特殊で、見る角度によって色彩が変わる。
見る角度によって色彩が変わることは、立ち位置によって空間音響の印象が変わる可能性も示唆していないか?そんなことないか

《Inter-Scape “slit”》
 目の前を横切る1本のスリットと向き合いながら音を感じるインスタレーション。
 ストロボが焚かれるたび、私は違う場所にいた。20分ほどの小旅行。飛行機に乗って、亜熱帯やアジアのどこか。深淵のスリットを覗き込んでも景色は見えない。 
 深淵のスリットをずっと覗いていると、ピントが合わなくなってきて、勝手に上下幅が可変している錯覚に陥った。そんなことはないのに。

《Embryo》
真っ暗の部屋の真ん中に揺れ動く赤と青のオーラを纏う、闇のような真っ黒の胚。
 恐る恐る近づいてみると、不安そうな心の揺れ動きを察知したかのように闇が大きくなっていく。呑み込まれる!と思って離れた刹那、私が遠ざかるのと同じスピードで縮んていった。
胚には時折グリッチが発生する。オーラが消え、暗闇に呑み込まれそうになっても、グリッチからひかりが漏れ出して、あたりを明るくし生命のオーラを取り戻す。しかしながらすぐにまた闇に呑み込まれる様子をみると、この胚はまだまだ不安定だ。

《Studies for》
 急に空間が白すぎ

白い布で形作られた空間を進んでいく

自分たちの作品を後世に引き継いでいくには、やはりAIが重要になってくるのだろうか?偶然性がもたらす奇跡を待っている間に私たちは消えてしまう?いいのか私たちがきけなくても

Otocyon Megalotis #1 “Reflection”@無響室

 ハッ無響室すごい今まで体験したことのない空間だった。
 そして無響室で聴く立体音響はとても恐ろしい。私は気がつくと海に漕ぎ出していた。

体験前に学芸員さんが話しかけてくれる言葉、一瞬の隙間に鳴らしてみる自分の言葉。響かない。再生が始まると音が目の前にあらわれて落ちる。
真っ暗な無響室、視界を奪われた私の目には海の波の反射が光っていた。
 響かないけど振動はする。耳は聞こえなくても、目が見えなくても、振動は皆一律に伝わる。海の揺れ、風のさざめき、鳴らす音。真っ暗な無響室で彩り豊かな旅に出ていた。

あ〜これは良い体験をした。人生で一度は体験して欲しい、無響室。


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