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自作の小説の供養。
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2019年5月の記事一覧

ノスタルジー

ノスタルジー

電車で2駅、そこから15分ほどバスに揺られ、さらに歩くこと10分。
某古本街の大通りから少し外れた小さな通りにひっそりと佇む古びたビル。人気は無く一見ただの廃ビルにしか見えないその建物の前を、都会の時間に追われる人々は足早に通り過ぎていく。
そこが私の目的地だった。

長年の汚れのせいでくすんでしまったガラスドアをそっと押し開け中に入ると、備え付けの小さなエレベーターに乗り込む。3階行きのボタンを

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