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自分の似顔絵
初めて自分がゲイなんだと自覚を持ったのは、はっきりとは覚えていない。
もともと僕は女性になりたいとも一度も思ったことはなく、
今でも男性として男性が好きなゲイであることは確かで。
遡ること幼少期
生まれてから幼稚園に入るまでの記憶は今はほとんど残っていないけれど、
幼稚園に入ってからの記憶はかすかにではあるが残っている。
当時は女の子とよく一緒に遊んでいて、性格も控えめで物静か。
男の子が幼少期にハマるような
戦隊ものや電車や新幹線などの乗り物、世界を救うヒーローの類
そういったものに全く興味を示さず、
公園の遊具で遊んだり、折り紙やあやとりをしていたり
外で遊ぶことは比較的好きだったが、自己主張をそこまでしない幼少期だった。
男の子との喧嘩もした記憶もほとんどなく、
先生のゆうことをきちんと聞いて、静かに園の生活を送っているような
どちらかといえば先生の手をあまりかけない幼少期だったと思う。
それでも女の子の相手をするのは当時得意だったのか、
話かけやすいオーラを纏っていたのかも分からないが
女の子と遊ぶことが多かったことに対して
姉が3人いることもあり、そのことが影響しているのだろうと小さい時ながら感じていた記憶がある。
幼稚園の生活のある時、
”自分の似顔絵を描きましょう”
といった時間があった。
各々が好きなように自分の似顔絵を描いているところ
なぜか僕は自分の似顔絵、自画像にも関わらず
女の子の自画像を描いていた。
完成した絵を見て周りのクラスメイトからは、
なんで男の子なのに女の子の絵を描いているの?
となんのためらいもなく言われても
特に自分でも理由が分からず
なんとなく女の子が描きたかったからと答えた。
完成した絵を見た先生も
素敵な絵だねと褒めてくれた。
完成した絵を見たお母さんも
上手に描けたねと褒めてくれた。
自分の似顔絵を女の子にして完成させて見せたあの時、
クラスメイトは何を思ったのだろう。
先生は何を感じていたのだろう。
お母さんはどんな気持ちになったのだろう。
性自認が今までずっと男性だった僕は
自分の似顔絵に女の子の絵を描いた理由を今でも分からない。
あの時僕は、
どんな気持ちで絵を描いていたんだろう。