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なぜ、町の布団屋は潰れないのか? その、まさに町の布団屋の店主が書きます。

そもそもですよ、ググったら出てくると思いますけどこの↑タイトル、MBAの先生が書かれたこの記事、「なぜ、町の布団屋は潰れないのか?」ですって、失礼じゃないですか! もうまったくですよ。でもね、ぼくもぼく自身が布団屋じゃなかったらそう思いますよ。なんで潰れないのって。

結論「貸布団をやってるから」って先生、やってないですよ。うちは貸布団。じゃあなんで潰れないのですって。潰れるって前提がおかしな話なんですけど、そんなに聞くんだったら、話しますんでちゃんと聞いてくださいよ、先生。

よくねる寝具店の店主が書きます。

ぼくはね布団屋の3代目です。ああ、そうですよ、わざわざ布団屋になんてなりませんよ。親がやってて、その息子が勉強できなかったから布団屋になったんです。その息子ってぼくのことですね。自虐でもなんでもないですよ事実です。就職活動も周りがはじめたんで流れに流されて資料請求なんかしてましたら、請求してるんで資料が届きますよね。その資料の届き先が親父がやってる布団屋でして、当時は自宅住所への郵便物も全て布団屋の方に届くように郵便局に依頼してたそうでして。

その資料請求を送ってくれた会社の中に、偶然、親父の布団屋の取引先がありまして、というのも当時ぼくは、なーーーんも考えていないバイトテロしそうな学生でして、いやしてましたけどSNSがなかっただけで、就職? どうしよう? 楽しそうだから旅行会社にしようかな? 横文字の肩書がいいからインテリアコーディネーターもいいなーーー この2つの分野に絞って資料請求してたんです。これまた事実なんですけど、引くでしょう。

そしたら、どうやらインテリアの分野に布団屋でも取引がある会社さんがありまして、その資料が親父の布団屋に届きますんで、そりゃ息子が請求した資料とは思わず開封しますよね。そこに息子の名前宛てで「この度は弊社のなにかしらをご請求頂き・・」みたいなことが書いてあるので、息子が後を継ぎたがってると思いますよね。当然。でも当の本人は全くでして、取引先とも知りませし、横文字の肩書がかっこいいと思っていただけですからね。

その後のある日、「おまえ、本当にあの会社に就職する気があるなら話しとくけど、どうするや?」と親父。「う、うーん」とぼく。24年前のことです。それから、この布団業界でして、無試験で就職したその会社で5年お世話になりまして、24-5=19年家業の布団屋をやっているわけです。自分の意志とか、夢や希望も就職試験もなく社会人になりました。そして家業を継ぎました。

ただ、幸運でしたね。就職試験なしで就職させて頂いた会社で鍛えられ、やっと真人間にさせて頂きました。と思っています。まあ、今でいうとブラックですが、ハートフルだったので喜びがありましたね。このハートフルブラックについては、またいつか書きます。

その後家業に戻り、ぼくがはじめたのがインターネット通販。これからはインターネット通販の時代だ! (でも潰れていない理由はそれではありませんよ)楽天、Amazon、自社サイト、時代の流れに沿って売り上げは拡大していくわけです。あの嬉しかった最初のお一人目の注文の喜びも忘れてしまうほどに。気付くとこの広告が効くだ、爆買いだ、ポイント10倍だ!!! に疲弊していくわけです。お察しの通り。

面白くなーい。楽しくなーい。利益でなーい。

となっちゃって、2016年11月5日に新店舗(実店舗)「よくねる寝具店」を開店しました。布団屋は潰れることがあるが、開店するのは珍しい。何年ぶりか分からないと言われたものです。

新店舗でやりたかったこと。

この新店舗で何をやりたかったか? それは、「定価販売」です。はっ? 定価販売? えっ? って思われるでしょうけども、定価販売なんてカンタンやん当たり前やん、って、思われるかもですが、インターネット通販やってたせいですかね、それとも布団屋業界の常だからですかね、定価販売が当たり前じゃなかったんです。

天ぷら上代って他の業界の方も使うんですかね。ググってもあんまり出てこなっかたのですけど、天ぷらのように揚(上)げた定価で、そこから30%OFFですよ。今なら50%OFFですよってやつです。これって、もし信頼して買ってくれているお客さんがいるとしたら裏切りですよね。そんなのばっかりでしてね。それがイヤで定価販売をやりたっかたんです。

でも、やりたいっと言っても当然成り立ちません。店側が言ってるだけですから。

じゃあ何をしなければならないのか! 店は、本気で惚れた商品や作り手の”価値”をお客さんに伝えることが役割だと思ってるんです。じゃあじゃあ、その価値を伝えるために何をやったか、やり続けているのか!

冊子「yokunelthing」(ヨクネルシング) 魂の叫び 心の繋がり

まずは、ぼくとぼくたちの事を知ってもらうこと、それが大事だと思っているんです。どんな人柄の人間がそのモノや作り手の価値を伝えようとしているのか。それを、まずは聞いてもらう、耳を傾けてもらうために、自分をさらけ出すことからはじめました。誰が言っているのか知ってもらう訳ですよ。

さらけ出す方法は、ほぼ毎月顧客に送っている冊子「yokunelthing」です。8~12ページの冊子で、タイトル通り、今ぼくたちが考えていること。と言っても12万円のマットレスを納品に行った帰りに車をぶつけて、その修理代が12万だったこと。正月に初詣で三社参りした翌日に車をぶつけたこと、ジムで素っ裸のおじさんに声かけられ誰だか分からくて思い切って聞いてみたら、よく行ってるラーメン屋のおやじで、裸の人に話しかけられてもよく行く程度のラーメン屋のおやじレベルでは気が付かない説のような他愛のない魂の叫びを送り付けている訳ですよ。

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そんなしょうもないことでも送り付けし続けたら、すごい距離感が近いお客さんが増えて、見守られる感みたな関係ができあがりだしたのですが、中には「せっかく送って頂いてるけど、もう送らないで」と電話してくれるお客さんが毎月1人位いて、逆に凄いことではないか! 送らないでくれってわざわざ電話する労力を使ってくれるなんて! 理由は怖くて聞いたことがないけど、なんかパワーがあるんじゃないかと超前向きにとらえてる訳ですよ。

価値を伝える

その冊子yokunelthingにはチラシみたいなものを同封してます。それは買ってもらうための手紙のようなものです。買ってくれないと商売続けられませんからね。そこはちゃんと買ってくれって書いてます。モノの価値をスペックだけでなく作り手の想いや物語や人柄なども交えて伝えています。このチラシについては、また別の機会に書きますので。

体験型学習会=おしゃれに言うとワークショップの力

これも、うちの店にとって非常に重要な要素なんです。アロマ、味噌づくり、サンキャッチャー、おとなのトイレ講座、ホロスコープ、編み物、カラーコディネートなどなど、まあ、色々な講師にお願いしましてワークショップをやって頂くのですが、その講師の方々が本当にいい人。いい人がやるワークショップだから、いいお客さんたちが集まって、そのいいお客さんたちがまたいいお客さんたちを連れて来てくれる。店主は何もしないのに勝手にいい波長が伝播してる感じです。

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あるお客さんが転勤でこの町を離れてしまうことになった時、うちのお客さん同士で送別会が開かれたらしいんです。ぼくの知らないところでこんな繋がりができてる。これグッときました。

そして、布団屋なのに文化祭

毎年11月に行う文化祭。取引先や関係あるお店、近所の店の人、ワークショップ講師が集結する1日です。音楽Liveあり、酒あり食あり。まあ、こんだけ関係者集めてお客さんが来なかったどうしようと、第一回目の時は不安に駆られ前日の深酒で二日酔いでしたが、当日、こんなに来る!? えっ、これうちの店? っていう。酔っ払ってたからかなと思い返すと夢のような一日でした。

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そんなこんなをがむしゃらにやってきまして、いい感じになってきました。特に何かイベントをやったとか、テレビの取材が入ったとかではなく、今までやって来たことに共感してくれる方が増えて、ぼくたちが伝えたいことが伝わっている感覚を持てるようになったのです。

まあ、こんなこと↓も言われますが・・

だから、先生、「貸布団してるから」ってかたずけないでくださいよ。ぼくたちは見守ってくれてる人たちに生かされてるんですよ。

と言いましたが・・

でも、2020年4月コロがやってきました。どうしよう。んーもう、せっかく調子良かったのに。

追記2020・5・30

あじさいさん、読んでもらって嬉しいです。おっしゃるとおり、タイトルの答えになってませんでした。すみません。でも、期待とも書いて頂いてます。嬉しい。初めてのnote記事ということでご容赦を。

前原加奈さん、広告代理店のマーケティングのプロの方に読んで頂けるなんて、恥ずかしいですが、ありがとうございます。

chikako sakashitaさん、裏側のことを書いたのに、「買いたい」と言って頂けるなんて、すごく嬉しいです。

はじめて書いたnoteの記事がこんなに沢山読んで頂けるなんて、嬉しいです。そして、感想まで書いて頂いて、嬉しくて記念に貼り付けいっぱいしてしまいました。

貼り付けたりするのも簡単ですね。note使いやすいし楽しい! 続けられそうです。みなさん、ありがとうございます。


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