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風の色を探しに

風の色を知りたいのです


別れ際の空の茜色
メガネの縁の黒色
空が流す雨の灰色
コーヒーの深淵の濃茶色
甘く香るハンカチのピーコックグリーン
月光に輝く指輪の青色
ダンボール箱のアイボリー
日の照らす手の肌色

ミックスベリーの赤紫色
ヨーグルトのバニラ
ミックスナッツの薄茶色
小さな器の水色
スプーンの銀色
お魚の小皿の藍色
猫の毛並みのグレー
五月の銀杏の明るい緑色
風に揺れる髪の銀色
信号の赤色
川面に映る西日の紅色
薄い雲を染める桃色
空の端の藍色
中華料理屋のケチャップライスの赤茶色

ガレットのタマネギの飴色
電子音を響かせるスマホ画面の真っ黒


固く閉じられた扉のターコイズブルー


瞳に映る月明かりの金色


ワンピースの紺色
汗に濡れたほっぺたの真っ赤
丸っこい電話の漆黒
汗で滲むアスファルトの坂のタールグレー

酔っぱらいのネクタイの白色
地面のアイスクリームのチョコレートブラウン
空に三角形を描く星の澄んだ透明な白色
タクシーのあたたかな黄色
カフェに灯った明かりの希望色
ひときわ大きな絵画を染めるやさしい夕焼け色


涙の色は人の数だけ
月影を宿した涙色
夜空の移った涙色
オレンジに輝く涙色
橙色のインクボトルに吸い込まれ
パレットに落とされた雫は
絵の具と混ざり絵筆と走り
キャンバスを染めていきました

部屋に掛かる空の色
橙色
茜色
黄色
桃色
朱色
それらの色をした空は
終わりではない
表裏一体の空の色


川の風はおだやかな橙色
昼の風はなまあつい太陽のあざやかな白色
夜の風はなまぬるい鈍色
朝の風は


その風はどんな色をしているでしょうか

🎨

『くじらぐも』が好きな小学生だったすーこです。
小牧さん、今週も素敵なはじまりをありがとうございました!

うまく感想が書けなくて、代わりに作品を贈りたいと、色がテーマの先週から考え続けてきました。
でもやっぱり、作品もうまくは綴れない。
だからただ、私が『涙パレット』を通して見た色を残そうと努めました。すべては描かれていない、"私の"見た色を。
やらないよりは遅れてでもやることに価値がある。

私の流したこの涙の色が、私には見えない。
でも、自宅の電灯の色では多分ないでしょう。
ダークモードの画面の色でもきっとない。
ノロセ。

その風の色を知りたいあなた。
所狭しと並ぶ絵に描かれた空を知りたいあなた。
ぜひ『涙パレット』全4話、順に辿ってみてください。
シロクマ文芸部のみなさんは、言うまでもなく読まれているかもしれません。
もしたまたまこの記事で、小牧さんとも私ともはじめましてさんがいらっしゃいましたら。
小牧さんの作品、どうか堪能なさってください。

これは詩に見せかけたメモ。作品とは言いがたい。二次創作ともおこがましくて言えないような、なんなんだろう。これをシロクマ文芸部の活動作品としてよいのか。
ただ、この一つ一つの色に、私は心をかき乱され、揺さぶられました。
愛おしいそんな作品を読ませていただいた感謝を、こんな形でしかお伝えできません。
そして、このはじまりを提示していただいてようやく文字に残せました。追想とでもいいましょうか。

ずっと伝えたかった、『涙パレット』へのこの思い。伝わりにくい思い。
一つ言えるのは、好きである、ということ。
私が忘れたくない色の記録。

▼過去の参加作品

今週もお読みくださりありがとうございました!
一番体に堪える夏を越え、むしろ一番きついのは、張っていた気がふっと緩む秋なのかもしれないだなんて思う長い夜。
まだ上り坂の三合目くらいの繁忙期を越えた先こそが、ふんばりどきなのでしょう。しばらくまた不定期参加になりますがあしからず。
季節の変わり目、みなさまもどうぞご自愛くださいませ。

#シロクマ文芸部

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すーこ
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