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絵本の蔵書(その11)「イザベルと天使」「ドアがあいて…」他

 フランス映画『アメリ』を連想させる寓話性と鮮やかな色使いの世界観に魅了される。イザベルのキャラがアメリと被るような気がします。

イザベルと天使
作:ティエリー・マニエ 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン
訳:石津 ちひろ (金の星社)

 子ぶたのイザベルは、一人暮らし。最近のお気に入りは、新しいものを見つけること、空想すること、食べること、そして、美術館で一枚の絵を眺めること―。イザベルは毎日美術館に通い、金の縁どりのある赤い椅子に寝そべって目の前にある絵を眺めました。なぜなら、イザベルは、その絵の片隅に描かれた天使に恋をしていたから。そしてある日、イザベルの天使への想いが、すてきな奇跡を起こします…(金の星社)

 「イザベルと天使」はきっと、モテない女の子が自分を子ぶたに例えて書いたようなお話なのかなと、そんな風に思いました。でも著者は教師や書店員を経て作家になった人で、自ら出版業も営んでいるそうです。また、知っている人は私と同じように気づくと思いますが、この絵本を読むと映画『アメリ』を連想します。そして日本語タイトルの上に書かれた原題は、たぶんフランス語です。


ふわふわしっぽと小さな金のくつ
作:デュ・ボウズ・ヘイワード 絵:マージョリー・フラック
訳:羽島 葉子 (Parco出版局)

 賢くて優しく、すばしこいうさぎだけが選ばれるイースター・バニーは、うさぎ達の憧れです。いなかうさぎのふわふわしっぽもイースター・バニーになる夢を持っていましたが、子育てに忙しくて夢を諦めていました…。(Parco出版局)

 ビアトリクス・ポターのピーターラビットに良く似た画風の絵本です。お話も絵の作者もポターより20~30年後の人物ですが、夢のある素晴らしい作品を描きました。
 誰でも頑張れば夢は必ず叶うという言葉は信じませんが、それでも自分に与えられた生活に満足し、努力して生きる姿は正しいのです。例え夢が叶わなくても、頑張った人生にはきっと相応の報いが得られるもの。このお話はそれを示唆しています。
 何の努力もせず、失敗だらけで生きてきた自分に与えられたものは…


魔女図鑑 魔女になるための11のレッスン
作・絵:マルカム・バード
訳:岡部 史 (金の星社)

 魔女って、とってもおしゃれなの。魔女のファッションから空とぶほうきのつくり方。それに、お料理好きの魔女のケーキの作り方まで詳しく紹介。これさえ読めば、あなたも魔女になれるかも…?(金の星社)

 魔女を目指す貴女はぜひ読んでおくべきマニュアルです。あれっ?そういえばつい最近ここクックパッドブログで魔女修行中の方の日記を見たような気が……この本を読むと、魔女はあまり上品な生活を好まないようです。梨木香歩の「西の魔女が死んだ」とは少々イメージが違うかも知れません。
 気さくな人付き合いより孤独と隠遁を求めているように感じます。しかし、私は男性なので魔女にはなれません。


ちいさなちいさなおばあちゃん
作:エルサ・ベスコフ 訳:石井登志子 (偕成社)

 小さなおばあちゃんとミルクを飲んだ小さな猫の、くり返し言葉が楽しい伝承話を絵本に。100年以上も愛読されてきたエルサ・ベスコフのデビュー作。(偕成社)

 これぞ絵本と言いたくなる作りです。全ての名詞に“ちいさな ちいさな”という形容がつけられています。そうだった。喧嘩別れしてしまった友人が、昔出会った頃に、会社で自由に飲めるコーヒーを入れるたび、“おいしい おいしい コーヒー”と言うのが可笑しかったことを思い出しました。彼は今頃どうしているだろう。


ドアがあいて…
作:エルンスト・ヤンドゥル 絵:ノルマン・ユンゲ
訳:斉藤 洋 (ほるぷ出版)

 しいんとしている夜の待合室。壊れた5人のおもちゃたちが治してもらうのを待っています。ドアが開いて、出て来るおもちゃ、入って行くおもちゃ……。どんなお医者さんかな、ちゃんと治してもらえるかな。ドキドキ、ちょっぴり心配です。(ほるぷ出版)

 表紙の絵と展開から、大人には大体想像のつきそうな話ですが、たしかに初めてのこういう場所では、大人も子供と同じように少し緊張感があります。病院へ行くと、なぜか人は血圧が上がるように。


「絵本の蔵書」は、終了した「クックパッドブログ」で以前連載していた(所有している)絵本の紹介です。最終的には103冊ありました。(その20)まで続きます。古い名作絵本は、図書館に行けばたぶん見つかります。


<(ↀωↀ)> May the Force be with you.