絵本の蔵書(その4)「悲しい本」「おおきな なみ」他
誰にも、なにも話したくないときもある。誰にも。どんなひとにも。誰ひとり。……私の悲しみだから。ほかの誰のものでもないのだから。
愛する者の死がもたらす悲しみを、徹底して見つめる中から浮かびあがる、命あるものへの慈しみと深い慰めを、詩人・谷川俊太郎の翻訳でおくる感動の絵本。世界9ヶ国で発売。(あかね書房)
悲しみは時間によって癒やされるが、思い出や記憶は消えない。その死からずっと何年も経って傷心が癒えたのであれば、時には忘れることがあっても良いではないか。先に逝ってしまった人間には親しい人たちを悲しませた負い目があるのだから、たまに忘れられてしまっても文句は言えないのだ。
かんたがお宮にある大きな木の根っこの穴から落ちて訪れた国は、何ともへんてこな世界でした。そこの住人“もんもんびゃっこ”“しっかかもっかか”“おたからまんちん”とかんたは仲良しになり、時のたつのを忘れて遊び回ります。けれどもすでに夜。遊び疲れてねむった3人のそばで、心細くなったかんたが「おかあさん」と叫ぶと……(福音館書店)
「不思議の国のアリス」とも「となりのトトロ」とも似て非なるもの。
ハティーの夢は絵かきさんになること。浜辺を散歩しながら、波のささやきを聞き、さらに強く願うのでした。少女を中心に、ある家族の変遷を、ブルックリンを舞台としておだやかに描いています。この絵本は、バーバラ・クーニーのお母さんの小さかったころをもとに、時代や風俗のかおりも高く、描きこまれた作品です。(ほるぷ出版)
ドイツから渡米して事業に成功し、資産家になって行く家庭に少し戸惑う母。裕福な生活から少々高慢な態度の姉弟に対し、家政婦の娘を親友として成長していくハティーの生き方。
ピクニックの当日、どしゃ降りの雨で悲しむセレスティーヌを見て、アーネストは雨のなかでピクニックをすることを思いたちます。レインコートに傘をさし、おべんとうや果物をたくさんもって……、ふたりは最高にすてきなピクニックを楽しみました!
ストーリーは単純ですし、ネズミとクマという大きさの全く違う動物が同居する様子はあまりにも漫画的なので、内容はここでは割愛しますが、読めば優しい気持ちになれます。怒りで我を忘れそうになった時に読んでください(笑)。
犬に言葉はなく、捨てられた悲しみだけがあります。文字のない、殴り描きのような荒々しいモノトーンのデッサンのみで表現された絵本。これもガブリエル・バンサンの作品。作者は女性です。
この記事は、終了した「クックパッドブログ」で以前連載していた(所有している)絵本の紹介です。最終的には103冊ありました。(その20)まで続きます。古い名作絵本は、図書館に行けばたぶん見つかります。