お母さん
滑り台を滑る夢を、幼い頃からよく見る。夢が始まった時はまだ雲の上で、雲の中に入ると、下の方でメイドが私を呼んでいる。私の名前を呼んでいる。目を覚ますと「ご飯できたよ」と声をかけられ、食堂へ向かうと朝食が用意されている。
小学生の頃まで、夢の中の滑り台は長く、真っ直ぐだったが、中学生になってから次第に短くなり、段差ができるようになった。変わらないのは、メイドが下の方で私の名前を呼んでいること。
高校、大学と進むと、更に短く、段差の数は多くなった。社会人になってからは、下の方にいるメイドが目で確認できるほど滑り台が短く、更にデコボコになって、体をバンバン滑り台に打ち付け、夢の中の出来事なのに、体中が痛くて、疲れが取れなくなった。
久々に仕事が早く終わり、同じく仕事が早く終わった同僚と夕飯を食べた。
そこで私は、お酒をたくさん飲んだ。夜も更けてきて、食事を終え、同僚と別れ家路につく。
家で、すぐお風呂に入った。湯船に体を深く沈め、縁に手をかけ、気持ちが良いのでそのまま目を瞑った。
飛行機が離陸する感覚がして、気付けば滑り台を滑っていた。久々に長く、真っ直ぐの滑り台だったが、下の方は真っ暗だった。
上の方で、お母さんが私の名前を呼んでいる。今日はお母さんがご飯を作ったのかなと思った。
下の方で、冥土が私を呼んでいる。
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