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スープ

1日1回は必ずSNSを更新する友人が、1ヶ月ほど更新をしていないので家に行ってみたら案の定死んでいた。

玄関前、ドアの外で微かな異臭がした。警察とアパートの大家に連絡をして鍵を開けてもらい、中に入った。

友人が死んでいたのはバスルームの浴槽だった。

死んでから時間が経っているからか、溜めた水はどす黒くなっており、友人の体はドロドロに溶けていた。
浴槽の外にビールの空き缶が転がっていた事から、酩酊状態で湯船に浸かり、そのまま眠りにつき溺れたか、吐瀉物で喉を詰まらせ窒息したのが死因と見られている。

どうやら自殺ではなさそうだ。

生前、彼はSNSで「1人で生きていくって決めた」とよく語っていた。

私という知り合いがいるにも関わらず。

彼は孤独に愛されていると私も思っていた。職場では話の合う人や愚痴をこぼす相手もおらず、全てSNSに投げていたようだ。

好きな音楽や小説、場所等を投稿するだけでなく、人種差別や政治批判、自然災害の犠牲者を馬鹿にする発言等、確実に炎上する発言をしても誰も反応して来ない上に、共感する者もいなかった。

彼はずっと1人だったのだ。全世界に向けて存在を発信しても誰も反応しない。批判する者も擁護する者もいない。

人は1人では生きていけないのだと思う。彼に定期的に会う人間がいれば、彼にお酒を辞めさせる人間がいれば、少なくとも「お酒の量を減らして」と声をかける人間がいれば、ここまでにはならなかったのではないか。

「1人で生きていくって決めた」

その結果がこれだ。浴槽のどす黒い水に溶け込んだドロドロの、人間だったかも不明な物体。

彼に死ぬつもりは無かった。生きようとしてこの有様だ。

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