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『あかるい花束』 岡本真帆

留学生にすすめたい短歌シリーズ

9冊目は、岡本真帆『あかるい花束』(ナナロク社)


土地勘が追いついてきてバスよりも歩いた方がいいと分かる日

岡本真帆『あかるい花束』

これは留学生あるあるかもしれない。近所の安いスーパーの存在に気づいてなかったとか。



はじめての一人暮らしを思い出す小さな部屋にひとつ玉座を

「小さな部屋」と「玉座」の取り合わせがいいですね。一人暮らしのお気に入りの椅子は、きっとその部屋のなかの最もいい場所に置かれているはずですから、それは紛れもなく「玉座」です。



東京で一番好きな乗り物は羽田空港行きモノレール

これ、電車好きの留学生の口から実際に聞いたことがあります。



競争はしたくないのに気がつけば競い合ってることにされてた

これも留学生の心情に重なりそうです。



Saturdayと書かれた紺の靴下を木曜の朝履いて出ていく

ほんもののポメラニアンは想像のポメラニアンより筋肉がある

じわじわおもしろいです。



花束は鳴ることのないクラッカー夜の電車は静かに揺れて

夕方の胸に迷子のアナウンス 誰もが帰れない家を持つ

見立てがユニークな二首。「夕方の胸に迷子のアナウンス」ってすごいですね。



最後に「映画」を含んだ二首を。

もしこれが映画だったら二時間のどの辺なのか考えている

いつか観た映画を深夜流すときあの日のきみが座る 隣に





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