第34回高見順賞・第28回丸山豊記念現代詩賞を受賞した詩集、中上哲夫さんの『エルヴィスが死んだ日の夜』を入荷しましたので、お知らせいたします。
最高に楽しくてかっこいい詩集です! 何も考えずに、それこそ音楽を聴くように読んでもいいですし、立ち止まりつつ、深いことを考えながら読んでも面白いです。
許可を頂いておりますので、冒頭の散文詩「二十世紀最後の夏はこんな仕事をした」を全文掲載いたします。
実はこの詩は、詩集の最後から2番目に収められた詩「二十一世紀最初の冬はこんな仕事をした」と対になっていて、その点もとても面白いです。
他に私が好きなのは、「バーテンダーになりたかった」「現場監督見習いをしたことがある」「尾形亀之助はそうとうへんなひとだと思う」など。タイトルを読んだだけでも、ユニークで楽しいですよね。
でも詩集最後の詩「贈物として差し出された一日」には、私は毎度、きっちり泣かされてしまいます(笑)。この内容に対して、なぜこのタイトルをお付けになったのか、想像すると感動が止まりません…! 上記の引用の中に「わたしは杖を持たない魔法使いだったのさ。」という一文がありますが、中上さんは本当に、魔法のようなタイトルをお付けになると感じます。
この詩集は、なんだかつまらない夜にたいへんオススメの一冊です。
…が!、
当店で保管しているものは新品にもかかわらず(中上さん→当店へ直送)、カバーが少々(かなり?)日焼けしております。…これが、引っ越しの多かった中上さんのお暮しを物語っているようで、非常に趣深いです。『ジャズ・エイジ』(中上哲夫著)に収録の八木忠栄氏による「詩人論」(中上さんについての解説)を読むとこの汚れの価値がよくわかりますので、ぜひ併せてご購入ください。中上さんのファンになること間違いなしです。