”重たい組織”に風穴を開けるもの -非公式な場づくり-
強い成功体験を持つ成熟企業、声が行き届きにくい大規模企業ほど一朝一夕では変わらず、“組織の重たさ”がつきものです。
さまざまな取り組みや提案をすれど目の前に広がる自社の風土は遅々として変わらず、「挑戦風土創りは会社にとっても社員にとっても必要なもののはずなのになぜ、、、」と虚無感を感じることもあるかもしれません。
この“重たさ”を乗り越えて、新たな事業を生み出す挑戦行動が起こる風土を創ることは本当に可能なのか?
そんな問いを持つ皆さんに向けて、「重たい組織に風穴を開けるもの」として運動論アプローチを踏まえた2つの要素を掘り下げます。
*運動論アプローチとは、トップダウンでの戦略アプローチと対比して使われる、小さく起こっている組織の変化を全体に繋げていく変革手法のこと。
今日はその前半として、運動論アプローチを少し紐解きながら、その要素の一つ目を紹介したいと思います。
想いある同志が出会う場づくり
前述の運動論アプローチとは、小さな雪玉を転がすことで大きな雪だるまへと変容していくイメージに近く、ひとりひとりの“挑戦したい気持ち”や“その望ましい行動”が強く合わさり、周囲に伝播しながら、全体の意識や風土にも影響を与えていく方法論を指します。
想いあるたった一人からある社会運動が起こり、人々が呼応することでムーブメントが広まっていく様子をイメージしていただくと近いかもしれません。
*環境活動家のグレタさんが記憶に新しいでしょうか)
*TED動画「社会運動はどうやって起こすか」も参考になります
こうした運動論アプローチにもとづくと、重たい組織に風穴を開けるものの一つ目は、「想いある同志が出会う場づくり」です。
先ほどの雪だるまの例でいくと、組織でムーブメントが始まるには、まず雪だるまの芯になるコアなメンバーが出会う必要があります。
堅実でリスクを取るのを嫌う、そんな組織において挑戦したい想いあるメンバーをどのように集めることができるのでしょうか。
ヒントは、「非公式な場づくり」
新たな仕掛けをする際、仕掛ける側の私たちはともすれば完璧な企画書を書いて稟議を回して正式な合意を取れた場や機会をつくることに注力します。
もちろんそれも大切なのですが(組織的なお墨付きがあると何かとやりやすくなります)、他方で、正式な合意にこだわることは“許可がないと挑戦ができない”という古いパラダイムを体現していることになります。
仕掛ける側の我々こそ、完璧な設計図や安全地帯を手放し、自らの問題意識をもとにした「この指とまれ」の対話の場を、周りに呼びかける挑戦行動ができているでしょうか。
誰からも頼まれていないし許可もされていない、いわゆる非公式な場に集まるのはその挑戦に共感する同志です。
「上司に言われたから」でも「仕事だから」でもなく、水面下に潜んでいた、挑戦の火種を持つ同志が集まったとき、雪だるまの芯が動き出します。
かつてJapan as No1とまで言われた日本のモノづくりは、トップダウンの開発戦略ではなく、同じ夢を追う技術者たちによる「ヤミ研」が生み出したとも言われます。
非公式の場によって、互いの火種が触発し合い挑戦したい気持ちが加速して、世界にもまだない新たな価値を生み出したのでしょう。
事業や組織をこうしたいと意思を持つ仕掛け側が、誰の許可がなくても一歩踏み出して、同志が出会う場を作ってみる。
誰も集まってくれなかったらどうしよう、とか、どんなテーマでどんな場を創ればよいんだろう、とか、非公式な場を創ることはとても怖いことなのではないでしょうか。
でも、そんな葛藤を超えて一歩踏み出すことは挑戦行動そのものであり、その場で想いある同志同士が繋がることは確実に雪だるまの芯が広がるきっかけに繋がっていきます。
挑戦風土を創るための風穴を開けるために、誰からも頼まれていない非公式な場づくりが増えていくといいなと思います。
皆さんは風穴を開けるためにどんなことをやっていますか?
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