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ミドルは事業創造の邪魔者か ~「新規事業の本音」~

こんにちは。michinaru株式会社の横山です。

先日、博報堂クロスコンサルティング社からこんな調査が発表されました。


●「会社と私の本音調査」第2回〜新規事業の本音〜
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/94051/


ご覧になった方もいらっしゃるでしょうか。

コンパクトな調査レポートではありますが、とても示唆に富んだ結果が書かれていました。

ここで私がすごく興味を持ったのは、新規事業に対するミドル層の「本音」です。


調査では、経営層/管理職層(ミドル層)/一般社員層の3層に分けて「新規事業の本音」を聞いているのですが、「主力既存事業に対する危機感」が最も高いのは実はミドルなんですね。経営層よりも切迫した危機感を持っているようにも見えます。

ですが、実際の「新規事業へのかかわり」は経営層よりも下げ止まっています。


ミドル層は現場を支える屋台骨ですから、既存事業における顧客や市場からの反応をリアルに感じていると同時に、現場から自分が抜けるわけにはいかないという焦りや責任感も強く感じていることが浮かび上がってくるようです。


ですが、実は、michinaruが新規事業を生み出したい企業さんからご相談を受ける際、少なくない頻度で問題視されるのが「経営の号令に呼応して元気づいた若手の挑戦の芽をミドルがつぶしてしまう」という現象です。


それに対して、これまでは、既存事業の現場に責任を持つミドルが提案してきた若手メンバーに「新規事業を考えるくらいなら、切迫している目の前の仕事を片付けてくれよ」と思うのは無理もないことだと捉え、

「トップや新規事業主管部署へダイレクトに提案できるルート」の整備等、ミドルに依存しない事業創造の仕組みを構築してきた組織が多いように感じます。

私も「それが妥当だ」と考えていた節があります。


ですが、ミドル層の「既存事業への危機感」や「新規事業へのニーズ・意欲」を感じさせる今回の調査を受けて、それは得策ではないよ、得難い機会を逃しているよ、と示唆をもらったように感じます。


もともと「Japan as No1」と呼ばれた時代を支えたのは、ミドルアップダウン(ミドルを起点として現場主導で戦略実行する)と呼ばれた日本独自の組織カルチャーでした。

調査結果でも事業創造の課題認識として多数を占める「挑戦風土の醸成」も
ミドルを邪魔者にしていては進みません。


「ミドルを事業創造の味方につけ、より中心的に創造の原動力になってもらうにはどうしたらよいか?」

いま改めて、この問いに向き合ってみたいと思います。


そんな風に思っていたら、タイムリーにも、成熟企業で事業創造に挑んでいる実践者とお話しする機会がありました。


詳細は割愛しますが、その方との対話の中で、ミドルを味方につけた事業創造のあり方とは、

「ミドルの経験 VS 若手のエネルギー」になっている構図を、「若手のエネルギー With ミドルの経験」の状態に変えるということではないかというアイデアをいただきました。

つまり、若手のエネルギーがミドルの過去の経験によって押さえつけられてしまったり、誤った評価判断によって冷や水をかけられてしまう状態から、若手のエネルギーが生みだす芽をミドルの経験に基づく幅広い引き出しで支援する状態へと変えていくことによって、

両者のいいとこどりで結果として事業創造の成功確率を高めていくことができるのではないかということです。

イノベーションはできるだけ遠くの知と知を結合した方がいいと考えるとき、若者が外に出て探索しにいくことで発見してきた知に、ミドルが深化にこだわって培ってきた知を掛け合わせて新規事業を生み出す協働体制を築くことは、実は可能性を秘めた処方箋なのではないかと感じています。


今日はここまでですが、個人的にとっても興味が湧いているので、研究対象に加えて、さらに掘り下げていきたいと思います。

事業創造とミドル、皆さんはどう考えられますか?



(おまけ)

この調査をもとに、michinaruメンバーで新規事業創造の実践現場で起こっていることと紐づけながら、さまざまな考察をしてみました。

お時間のある方はちらっと覗いてみてくださいー。


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