小笠原・福徳岡ノ場とみられる軽石が 防草半島南部にまとまって漂着開始?
地盤災害ドクター 横山芳春 博士(理学)
小笠原・福徳岡ノ場に由来する軽石は、11月半ば以降は離島のみならず本土の房総半島や鹿島灘などで続々と発見され始めています。12月に入ると房総半島南部を中心に、海で集まる量も増えてきました。
①館山市南端部で漁港内に侵入
房総半島南端部、館山市南部の布良漁港では、港内に多くの細かい軽石らしきものが流入し、海面に密集していました。網ですくってみると、概ね直径1㎝以下(多いのは数mm)の軽石が浮遊していました。
港内に浮遊する軽石。突堤の脇の波の穏やかな場所に、ゴミと一緒に漂っていました。船舶の航行や操業への影響がないことを願います。
網ですくってみると、粒の細かい軽石であることがわかります。
南西諸島などのように港内を埋め尽くすというには至っていませんが、ある程度まとまって押し寄せているのでしょうか。今後、軽石が漂流し続けると、沿岸に漂着する軽石が増える可能性についても懸念されます。
持ち帰って洗ってみると、最大で直径2cmほどの軽石のほか、多数の細かい軽石、マイクロプラスチック、植物片を多く含んでいました。
小さなものは2~5㎜ほどの軽石も多く、船舶のエンジン冷却に影響を与えるサイズの軽石が多く含まれており、影響が心配されます。
②館山市南部の海岸では複数の帯状に軽石が漂着
布良漁港からすぐ近くの相浜海岸では、布良漁港で見たような軽石が多数浜に打ちあがっており、幾筋も帯状に軽石が集まっていました。
浜の端では、4筋程度の軽石が打ちあがった帯状の部分が見られました。これまでは浜で丹念に探して幾つか見つかる様相でしたが、軽石があることが容易にわかるような打ちあがり方となっています。12月1日の全線通貨では強い南風が吹いている影響があったのでしょうか。
近くで見てみると、細かい粒の軽石が溜まっていることがわかります。植物片やマイクロプラスチックも多く、近くの布良漁港で浮遊していた軽石と同じようなものと一緒に打ちあがっています。
打ちあがった軽石の帯を採取して持ち帰り、選別・洗浄してみました。軽石径は最大2cmで、数mmのものが多いですが、多数の植物片、マイクロプラスチックと共存しており、カメガイ類の浮遊性貝類も混じっています。
軽石を定規に乗せると、かなり粒が細かいことがわかります。2mm以下の「火山砂」に分けられるサイズもあり、かなり粒径が細かくなっていることがうかがえます。
プラスチック類なども多く問題となっているマイクロプラスチックと大きさも似ており、似たような漂流・漂着の過程も想定され、環境や生物、人間の活動への影響も懸念されます。
③房総半島の漂着状況
軽石の漂着状況(個人的調査)は下記にまとめています。
鋸南町竜島海岸の軽石(拾い集めたもの)
直径数cm代の軽石が浜辺にゴロゴロ漂着しておりました。探さなくとも歩きながら拾い集められるほど。富津市上総湊付近では僅かにしか見られなかったことから、房総半島では12月2日時点では鋸南町以南で多く漂着しているようです。
富津岬の北側でもわずかながら漂着が確認され、富津岬ー観音崎を超えた東京湾内湾側にも侵入していることが確認できました。
なお、東京湾の湾奥部では、千葉港(千葉ポートタワー前)、三番瀬海浜公園、城南島海浜公園で捜索しましたが明確に福徳岡ノ場とみられる軽石はありませんでした。城南島では浜の北東側の一部に軽石が多く見られましたが、異なる特徴のものばかりでした(かつ、沈むものも多い)。
人が捨てたものか、船舶による持ち込み(バラスト水は軽石の漂流経路先を考えると可能性低いか?)、いたずら目的など人為的なものである可能性か、他の場所から流れ着いたもの考えています。
城南島海浜公園の軽石(福徳岡ノ場とみられる軽石とは特徴が異なる)
最新の状況や各地点の漂着状況などは、下記で随時報告しています。
https://twitter.com/jibansaigai
地盤災害ドクター
横山芳春
<メールアドレス>
yokoyama1128geo(a)gmail.com
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