【映画】ミリオンダラー・ベイビー
今更ながら初めて観た。イーストウッドの世界観全開だったな。彼の映画はテーマはなんであれ、大切なものは何かを問われながら、いつも清々しい気持ちになる。最高だ。
ミリオンダラーベイビーは、死や倫理観を問うメッセージの強い作品にも見えるけどたぶんそこではなくて、個人の「生」に対してフォーカスされている映画だと感じた。それを決して綺麗事で描くのではなくて、賛否両論あるストーリーで表現するのがまた彼のすごいところ。
ぼくたちは、何に命を燃やすのか。燃やせなくなった時、もしくは燃やし尽くした時、ただ生きながらえることは生きることなのか。死ぬことで自分を守るという矛盾が、成り立つことだってあるんじゃないか。そんな問題提起が作中では行われている。
キリスト教(カトリック)の神様信仰や、家族観などをうまく使いながら、「自分を救ってくれるのは誰なのか」を描いているのも非常によかった。フランキー(イーストウッド)は、過去に犯した過ちを償うため23年間ミサに通い続けた(神様を信じ続けた)にも関わらず、娘との連絡はついにつかなかったし、マギーの家族の堕落っぷりは、家族=正しいなどという常識的な正義を根底から覆すものだったわけです。
一方、自分の道を拓いてくれるフランキーが、マギーにとっては心の拠り所だったし、フランキーにとっても、マギーに娘の姿を重ねながら信頼関係を築いていったところが見所だったなと。
周りの常識がどうのこうのじゃなくて、自分にとっての正義は何なのかを自分で判断して、自分で決めた生き様を頑固に貫くこと。めちゃくちゃ大事だなと。
「生まれてきたことに大した意味なんてないけど、せっかく生まれてきたんだから、どうせ死んでいくんだから、ちょっとでもいい人生にした方が楽しくない?」ってぼくはいつも思ってる。
ただ闇雲に生きるんじゃなくて、誰かに用意されたレールを進むんじゃなくて、無謀でも、無意味でも、それが正しいと思うならそれを信じて自ら切り拓いて、自分で作っていく人生って、むちゃくちゃかっこいい。最期に振り返った時に、納得できるくらいには、燃焼し尽くせる人生を送りたいな。