ネーミングに強いコピー制作会社が実践する、センスや奇跡に頼らないネーミング制作法。
ザツダンのWebサイトには「ネーミングに強い新潟のコピー制作会社」という文言を書いていますが、根拠もなく名乗っているわけではありません。
(注釈:2014年から文言を変更しました)
ネーミングとは、ブランドや商品の名前、またはそれを制作することを指し、デザイン業界ではコピーライティングの一種として何となく分類されています。そのため、コピーライターが所属する制作会社のWebサイトや会社案内には、サービス一覧の真ん中あたりに書かれていることが多い。トップに置くほど本腰は入れていないが、末端に置くほど軽視もしていない、といった感じでしょうか。
コピー制作をしている会社のWebサイトをいくつも見てみましたが、紹介されているネーミング実績の『量』だけで言えば、ザツダンはぶっちぎりでトップクラスです。「ネーミング◯◯」という名前をつけている企業やサービスと比べても負けていないので、胸を張っていいのではないでしょうか。
『質』は客観的に測るのが難しいので何とも言えませんが、「ネーミングならザツダン」とお客様や外部パートナーから言っていただくこともあり、そこそこの評価は頂けていると思います。
量と質においてはある程度のレベルにある。でも、それだけで「コピーに強い」と名乗るのはまだおこがましい気がします。そこで、経験値を勘や感性にとどめておくことがないように、再現性のある方法論に落とし込む努力もしてきました。
センスや奇跡といった不確かなものに頼らず、どんな案件に対しても一定以上のクオリティで答えを出すことができる。そんなネーミング制作のノウハウを持っていることが「ネーミングに強い」と、多少ビビりながらも名乗っている最大の理由なのです。
【1】良いネーミングとは何か
「名前をつける」という行為そのものは、そんなにハードルが高いものではありません。子ども、ペット、車やバイク、ぬいぐるみやおもちゃなど、誰もが人生で一度くらいは名前をつけたことがあるはず。
そのくらい馴染みがある「名前」ですが、「良い名前とは何か」と考えてみると、答えはそう簡単ではない。
良いネーミングを自分の言葉で説明できなければ、良いネーミングを作れるはずがありません。そこでザツダンではネーミングの品質を評価する5つの軸を設けています。
A.意味
まず意識するのが言葉の持つ「意味」です。特徴を表現することもあれば、商品や企業のコンセプトをネーミングに集約させることもあります。ひとつの意味に絞り込んで強い言葉にしたり、「ダブルミーニング」や「造語」によって、短い言葉にいくつもの意味を込めることもあります。
B.音
赤ちゃんにつけた名前が、声に出して呼ぶうちに馴染んでくるのと同様に、企業名や商品名も他者から呼ばれることで定着し、愛着へと育っていきます。「口に出して気持ちいいか?」「聞き取りやすいか?」「音だけで文字を連想できるか?」などを検討します。
C.見た目
『イエモン』と『伊右衛門』は、声に出した時の音は同じですが、全く違うものを指す言葉。バンド名の愛称にはカタカナが合いますし、緑茶のネーミングには漢字がしっくり来ます。ブランドの世界観やターゲットによって、言葉の「見た目」も選ぶ必要があります。
D.検索性
検索によって商品や企業の情報を集める。ネーミングはそんな時にも重要な手がかりとなります。同一または類似の企業・商品・サービスで使われていないことを確認するのはもちろんのこと、検索結果の数や内容も事前にチェックする必要があります。
E.入力のしやすさ
検索やシェアを想定し、PCやスマホで入力する時に手間ではないか、ミスを誘発しないか、なども検討していきたい点です。「大文字や小文字がいくつも混在する」「漢字やカタカナへの変換に手間がかかる」などのネーミングは避けたほうがいいでしょう。
この5つの評価軸は「3Dコピーライティング(栃内淳・ソフトバンク パブリッシング)」という書籍をベースに、実務の中での発見や学びをプラスして作ったものです。
【2】コンセプトの言語化とネーミングの素材集め
いざネーミングを作る際には、まず言葉の素材を集めなくてはなりません。コンセプトをひたすら別の言葉に置き換えることで、素材の数を増やしていきます。コンセプト制作の具体的な方法についてはまた別の機会にしますが、まずは核となるコンセプトを言語化します。
そのフレーズを中心に置き、連想ゲームのようにキーワードを挙げていったり、類語辞典で関連する単語を探したりします。外国語に置き換える方法もありますが、私の経験上では、英語以外の言語への置き換えはよほどの理由がない限り上手く行かないように思います。
【3】キーワードからネーミングを考案
キーワードの数が揃ったら、まずは単体でネーミングになりそうなものをピックアップ。それはそのままネーミング候補になります。次に、組み合わせられそうなワードを2〜3個ずつチョイスし、そのままつなげてみたり、造語にできないかを検討します。選ぶ言葉は「同一もしくは似た音を持っているもの(造語が作りやすい)」「意味が重複しないもの(短いネーミングに意味を集約するため)」「見た目の印象が遠いもの(例:漢字とアルファベットなど/見た目の面白さが生まれる)」などを基準にします。
この手法はオーソドックスかつ泥臭いのですが、【1】で品質を見定めるための軸ができているので、ネーミング案の精度が高まります。締切までの限られた時間でクオリティを高めていくためにも、闇雲に作らないことは重要なのです。
また、この段階ではとにかくたくさん作っておくことが大事です。その理由は次のステップで。
【4】商標チェックとGoogleチェック
工場での検品作業にあたるステップです。考案したネーミングが他者の商標権を侵害していた場合、損害賠償請求などにつながることも。差し止めで済んだとしても、ロゴマークやパッケージ、Webサイトなど、そのネーミングが使われている制作物の修正が必要となり、多くの手間やコストが発生します。
商標チェックでよく使われるのが「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」です。
商標の他に、特許・実用新案、意匠なども検索が可能。「簡易検索」を使われる方が多いと思いますが、知り合いの弁理士さんから商標の「称呼」から検索したほうが精度が上がると教わったので、普段はその方法を使っています。ただ、検索にコツが必要だったりもしますし、そもそも申請されたばかりの商標はまだ登録されていない場合もあり、つまりは完璧な商標チェックの方法は存在しません(最終的には申請してみないと分からないということです)。もちろん明らかにアウトなネーミング案はここで除外できるので、重要なチェックであることに変わりはありません。
ちなみに私は、三級知的財産管理技能士の資格を持っています。クライアントに商標の知識を提供するために勉強をしましたが、なかなか一筋縄では行かない分野です。
もうひとつ、Googleでの検索チェックもしています。同じネーミングや類似のネーミングが商標登録されないまま使われている可能性もあるためです。商標では先願主義(先に出願した方の商標登録が認められる)が取られているため、先に使っている人がいても出願してしまえばいいという考え方もあるのですが、不要なトラブルは避けるべきです。また、ネーミングがネガティブな印象につながる使われ方を発見した場合も、候補から外します。
ただし、膨大な検索結果をすべて見るのは不可能なので、2〜3ページ目までとしています。また各種検索サービスをすべて網羅することも不可能なので、Googleのみのチェックとしています(これらは提案時にクライアントに説明し、了承を得ます)。
実はこの段階でかなりのネーミング案が脱落していきます。世の中には無数のネーミングが溢れていますし、名案であればあるほど、すでに他の誰かが使っているものです。実務でも、この段階で候補がほとんどなくなり、もう一度ネーミング案を考え直すというケースが多々ありました。何度悔し涙を流したことか…。
【5】やっぱりネーミングは大切
ネーミングは完成直後がもっとも価値がありません。世に出して、名前を知っている人が増え、名前を声に出して呼んでくれる人が増えていくことで価値が出てくる。使えば使うほど、ネーミングは力を増していくわけです。
一度決めたネーミングは数年間、場合によっては数十年、数百年と使っていく可能性のあるもの。愛着を持って使ってもらえるようなネーミングを、これからも生み出していきたいと思います。
以上、ネーミングに強い新潟のコピー制作会社ザツダンがお届けしました!Webサイトではザツダンのネーミング実績を紹介していますので、ぜひご覧くださいませ。
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