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【法律家の未来】全国2000名以上の士業から相談を受けてわかった、これから10年、活躍し続ける士業の「7つの条件」

横須賀輝尚です。今回の記事はちょっと思うところがありまして、いまの士業マーケティング、そしてこれから活躍し続ける士業になるために必要なこと、別の言い方をすると個人事務所で1000万円-3000万円稼ぐ方法のアウトラインをすべて解説することにしました。もし、あなたが長くこの業界で活躍し、成功し続けていきたいと考えていたらきっと役に立つ内容だと思います。

正しい努力をしなければ、どんなに努力してもそれは残念ながら無駄になります。逆の言い方をすれば、これさえ知っていればあとは努力を重ねるのみです

「横須賀輝尚」とは?-この記事を公開しようと考えた理由

本題に入る前に、私について説明しておきます。行政書士として開業し、この業界キャリアは19年士業・法律家の経営コンサルタントとしてはこれまで2000名以上から相談を受けて、そのほぼすべての問題を解決してきました。著作も20冊超20万部以上の実績があります。最近は日本経済新聞や週刊ダイヤモンドなどにも取り上げて頂いてます。

自分で言うのもアレですが、士業の世界で10年以上のキャリアがある人にとっては、「横須賀輝尚」というのはそれなりに名が通った存在だと思います。当時は士業関連のマーケティングや経営に関する情報はなく、ほとんどの人が書籍を読むことで開業準備を始めました。そうすると、1回はどこかで私の書籍に当たります。そういう意味では、過去は士業ならば「横須賀輝尚」は必ず通る道だったと思います(自分で書いてて何いってんだコイツという感じもしますけど、「本当?」と疑いのある方はキャリア10年以上の先生に聞いてみてください)。

でも、時代は流れ、士業マーケティングに関する知識は何も書籍を買わなくても手に入れることができたし、何なら私のように士業向けにコンテンツを提供したり、コンサルティングを実施する人も増えてきました。中には露骨に私の丸パクリをする人もいましたが、このあたりは自由競争なので好きにしたら良いと思っていましたし、コンサルタントとしてのキャリアでは負けるつもりもなかったので、まあいいやとマイペースで仕事を続けておりました。

そしてその後、2015年を境に自社の組織改革に乗り出したのをきっかけに、個人での情報発信を控えるようになったことも相まって、私自身ネット上からほぼ存在をなくしたようになっていました(笑)。諸事情を経て、2019年頃に個人活動を再開。SNSやその他の情報媒体を見るようになり、あることに気づきました。

「あまりにも、士業マーケティングに関する間違った情報が多すぎる」

と。見方を変えれば、老害と呼ばれる存在が若者に嫉妬しているみたいに見られなくもないですが(苦笑)、ここらでちょっと正しい業界のスタンダードを示しておこうかと考え、この記事を公開することにしました。

一応、簡易な自己紹介はあらためて下記に入れておきます。もっと詳しく知りたい場合には、リンク先の自己紹介記事をお読みください。

・23歳、東京会最年少で開業(当時)
・開業1年で月商100万円を突破
・資格系ブログアクセス全国1位を達成
・図解 株式会社設立シリーズ本を出版(シリーズ約5万部)
・士業マーケティング関連書籍を出版(累計約15万部)
・日本最大の士業向け経営スクールを主宰(のべ2000人以上が在籍)
・全国30都道府県以上でセミナー開催(のべ受講者1万人以上)
・週刊ダイヤモンド、日経新聞、日本テレビなどメディア出演多数

では、早速お伝えしていきましょう。

封建制度のようだった、かつての士業の世界

いま、士業個人がSNSで情報発信することも自由ですし、オンラインセミナーをしたり、オンライン講座を開催したりすることは当たり前になりました。「当たり前になった」というのは、当たり前じゃなかった時代があります。2000年前後は「士業は士業の業務だけをすべき」という考えが業界全体のそのほとんどを占めてました。さらにもっと言えば「士業は営業行為をすべきでない」みたいないまならトンデモ扱いされてしまう意見が普通にまかり通っていたんです

私が行政書士として開業したのが2003年頃。まだメールアドレスを持っていない士業事務所もいたくらいの時代ですが、この頃はちょっと目立つことをするとすぐに叩かれました。私は開業後、仕事がほしかったのでめちゃくちゃ営業しました。そして、結構早い段階で「士業はコンサルティングやコンテンツビジネスと相性が良い」と考え、早々にセミナービジネスに取り組みます。これらの行為が業界の逆鱗を踏んだわけです(笑)

私が当時20代前半。ブログが流行りだし、アクセスも増えて注目を集めてしまったことも影響して、ぜんぜん知らない士業の先生から電話がかかってきて営業行為やセミナー開催を怒られる、なんてこともありました。でも、ひねくれ者の私は「なぜ、士業が士業以外のことをやってはいけないのか?」と先輩のありがたい指導(?)に納得することができず、独自のマーケティングを続けました。

それで生まれたのが2006年「資格起業家になる!成功する超高収益ビジネスモデルのつくり方」(日本実業出版社)です。要は士業もコンサルタントにならなきゃならない、コンテンツビジネスに取り組むべきだ。そう解説した最初の書籍になります(現在、noteで全文無料公開中)。

行政書士会にお呼び頂き、研修講師を務めさせていただいたこともこれまであるんですけど(三重、甲府、新潟、福井等)、私を呼ぶってことでその是非を巡って議論が真っ二つに分かれて紛糾した会もあったとかなかったとか

まあ、私としてはこの「資格起業家」の発想こそ士業が長く生き残る正しい道だと思ってましたし、それはいまも変わりません。ただ、結構昔は批判も多くて某匿名掲示板にスレッドが立つくらいの勢いでした(検索しないでください←)。

その後も関連書籍を出し続けましたし、全国セミナーと銘打って500回くらい全国でセミナーを行いました。この方法が、士業のためになると。既存の業務だけで価格競争をするだけでは、絶対に全員が共倒れする。だから、コンサルティングやコンテンツビジネスに取り組んでほしかったし、それを伝えてきたつもりです。

いま、情報発信やコンテンツ配信、セミナーなんかがバッシングされることはほぼないでしょう。もちろん、私ひとりだけがそういった環境をつくってきたとは思いませんが、少しでも寄与できていたり、評価して頂けるのであれば嬉しいことです。

このリプライには心沁みた泣いた(横須賀輝尚)

起きてしまった価格崩壊と業務の性質の問題

もうひとつだけ前提を。もともと士業の世界には、報酬規定なるものがありました。最近になって士業を目指した人にとっては信じられないかもしれませんが、「誰に頼んでも特定業務に関しては報酬が一緒」だったわけです。すごい世界ですよね。さすがにこの自由競争社会の中で議論されるようになり、報酬規定は撤廃されました。その後、何が起きてしまったかといえば、価格競争、そして価格崩壊です

士業はインターネットが普及する前には、本当に営業が不要でした。「資格を取れば人生安泰」って、昔は本当だったんです。でも、インターネットの普及や士業人口の増加、そして前述の報酬規定の撤廃などが重なり、士業も2000年頃から完全なる競争時代に入りました。

そこで、士業全体が「値下げ」という最悪のマーケティング手法を取ってしまったのです。そもそも、新法施行や法改正を除けば商品開発のない世界です。実際のところ、個々人の実力差はありますが、お客から見れば同じ商品。そのため他所の事務所より、より安くより安くより安くを徹底してきてしまいました。もちろん、価格を維持できている業務も中にはありますが、それでも20年前と比べれば、価格は地に落ちたようなものです。

15万円は取れた会社設立業務もいまや0円で税理士顧問契約のフロントエンド商品に。ほかにも30-40万円くらいは報酬が取れた商標出願とかも2万円を切るような現在。厳しい言い方をすれば、自分たちで自分たちの価値を下げてしまったとも言えます。

ただ、嘆いていてもしょうがないんです。そうなってしまったら、自分たちで状況を打破する。ないなら、つくる。これが起業家精神だと思います。そのためには、まず士業の業務の性質を知っておかなければなりません。この性質について一言で言えば、次のツイートのようになります。

そう、士業業務のそのほとんどが、「ニーズ商品」なんです。一部の助成金、補助金、節税などを除けば「お客にそのニーズが発生したときのみ仕事が生まれる」という性質を持っています。まずこれを理解することが必要です。別の言い方をすれば、ただやたらめったに動いたところで、仕事は取れないとも言えます。と、ここまで踏まえてから、具体的な活躍し続ける人の条件に進んでいきましょう。

条件①:新人・初心者は1秒でも早くプロ精神を身に付けてほしい

まずは、これから開業、あるいは開業間もない人に向けて

2021年、久しぶりに新刊を出しました。「会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業」というタイトルで、重版もかかりそれなりの反響がありました。

※この書籍から週刊ダイヤモンドなどおかげさまで多くの取材を頂きました

SNS界隈を見ていると、新しく開業した人も多く見受けます。私も何にもないところから開業したので不安なのもわかりますが、開業した以上、プロであるという覚悟を決めてほしいということ。要は「新人だから仕方ない」とか「開業したてなので、未熟だ」みたいなメンタリティをやめ、ハッタリでも良いのでプロという精神で業務や経営に臨んでほしいということです。

士業で開業するということは、まずは実務家としてプロであるということ。そして、経営のプロであることです(「経営」というスケールまでいかなくても、事業を維持発展させ、営業・マーケティングの実践ができるくらいのプロ意識は必要)。

お客にとって、あなたのキャリアは関係ないんです。開業を宣言した以上は、もうプロなんです。だから、早くそういう段階や意識からは脱却してほしい。これは条件というか、前提ですね。士業のマーケティングや経営に関することの基本的なQ&Aは、「資格起業BIBLE」(技術評論社)にまとめてあります。現在は私のnoteにて全文無料公開していますので、基本的な悩みはここで解決してしまってください。

あえてこの項目を条件とするなら、「強いプロ意識を持て」ということになります。

それから、これは新人もベテランも関係ないことなんですけど、TwitterやYouTubeを見ていて思うこと。最近は本当に色んなかたちの情報発信がありますけど、同業者同士の足の引っ張り合いが散見されます。もちろん、業際などの法令は遵守すべきですし、一定の品位的な問題もある。ただね、具体的にどうこう言うつもりはないけど、つまんねぇ小言のようなあるいは三流以下のゴシップのような言動や噂話、そういう他者への嘲笑や批判はダサいってことです。そんなことより目の前のお客様のことを、そして自分の大切な人のためや自分の夢に向かうことの方がよっぽど価値あることだってこともに、早く気付いて、本物のプロの道に進んでほしいと思います。

条件②:正しい方向性と絶対的USPを持つこと

建設業許可専門、相続業務専門と専門を持つことが、これまで王道だと言われてきました。特に行政書士の世界なんかじゃ、当たり前のように言われてきましたが、今後生き残っていくために必要なのは専門業務の決定ではありません

業務を絞る、尖るということ自体は必要です。「何でもできます」は何にもできないのと同じとは昔から言われていますが、業務そのものに特化するというのは、大きな危険を孕んでいます。理由は2つ。

業務を絞るということは、競争を仕掛けるのと同義です。あなたが何か専門特化しても、すでにその業務に特化している事務所は無数にあります。ですから、業務特化というのは競争の土俵に乗ることと同義です。なので、専門業務をつくってそれに特化していくというのは、その分野で少なくともトップ10%に入るくらいの極め方を目指していかない限り、勝っていけないということになります

考え方としては専門業務をつくるのではなく、正しい方向性を選び、自分なりの事務所コンセプトをつくり(もしくはネーミングを付ける)、自分だけのポジショニングをとって独自性を出すというのが最適解となります

例えば、
・会社設立専門、ではなく起業家支援
・就業規則専門、ではなく自立型組織構築の支援
・商標出願専門、ではなくクリエイター支援
などです。

最終的にコンセプトは「起業家支援」かもしれないし、「クリエイター支援」かもしれません。こればかりは正解はなく、個々人で決めていくことですが、これをしないと将来あなたの事業は膠着化します。それが危険その2。業務にだけ特化していると、その業務の価格が崩壊したり、その業務が不要になった場合に極めて苦しくなるということです

決める方向性(コンセプト)は、長い将来なくならないものがベストです。例えばお金の悩みは企業からなくなることはないし、同じく組織の問題なんかもなくなりません。正しい自分の事務所コンセプトを決めることが、長く活躍し続けることができる士業の条件です。

コンセプトづくりについては、ちょっと難しいので下記の解説動画もご参照ください。

これに加えて、絶対的USPの確立。これも長期的に考えるとあなたにとって必要なものですし、あなたを助けてくれる存在です。ただし、これも言葉で書くと簡単ですが、実際は方向性の選択なども含めて一口に言えるものではありません。

それは人によっては就業規則なのかもしれないし、人事コンサルティングなのかもしれません。あるいは上場支援ができることが強みになることもあれば、事業再生が強みになることだってある。もしくは、お客様の声の数が日本一なのかもしれないし、業務受注数が日本一なのかもしれない。

重要なのは、その分野で日本一を目指せるような領域かどうか、という点です。これは前述のポジショニング、コンセプトにも関わるので、一概に本当に言えないのですが(例えば、新しいポジショニングを確立できれば競争せずに日本一になることもある)、あなたにしかない、代替性のない強みを持つことがこれから生き残るための最低条件になってきます

もちろん、必ず何かの分野で日本一にならなければ、もう食べていけないかといえばそんなことはないのですが、業務単価が落ちていき、AIやRPAとの共存時代になれば、あなたにしかない何かがなければ、士業・コンサルタントとして成功を続けていくのは難しいといえるでしょう

絶対的USPを構築する方法にはいくつかの方法があり、本当に人それぞれですが、ひとつだけ確実なヒントを伝えるなら「蓄積系のなにか」を持つことで必ず最終的なUSPにつながるということです

前述のお客様の声もそのひとつ。ただし、これが業務受任数だと上には上がいるわけで、ずっと競争になってしまいます。例えば、YouTubeの動画投稿数だとか、SNSのフォロワー数なんかでも蓄積はつくれます。これが10個や20個、100、200フォロワーではUSPとは言えませんが、動画1000個、2000個となればそれは蓄積になりますし、1万、2万というフォロワーになれば確固たるブランドです。そしてそれが確立されれば、あなたのポジションの大きな参入障壁になる。こういう考え方、ぜひ覚えておいてください。

ちなみに、私は2004年頃「資格系ブログアクセス全国1位」で絶対的USPを確立。書籍にもなりました。そのほか「株式会社 はじめての設立&かんたん登記」(技術評論社)シリーズで6万部ほどのヒットになったのですが、新会社法のブームも相まって株式会社の設立実務本では日本一の販売部数となりました。まあ、運もだいぶありましたけど、これで当時はコンサルタントとして、行政書士としての絶対的USPを確立したという経緯があります。
「小さな会社の逆転戦略 最強ブログ営業術」(技術評論社)はnoteで全文無料公開中です。

条件③:正しいビジネスモデルの構築ができていること

抽象的に言えば、やればやるだけ結果につながる正しい努力の道ができている、ということになります。士業は商品がもともと法律によって決められていて、商品開発のない超特殊な業界です。ですから、法律によってただ与えられた業務だけしていても、成功しないことがあるのです

これはいったいどういうことか?丁寧に説明すると長くなり過ぎてしますので、簡単に言うとビジネスモデルが破綻しているとどんなに頑張っても成功できない、そういうことになります。これは例をもとに解説していきましょう。

例えば、行政書士のひとつの業務である内容証明郵便作成業務。これだけではビジネス的成功は難しいと言えます(絶対に無理ではないですが)。内容証明郵便作成業務のビジネスモデル的特徴を考えると、

・単価がかなり低い部類に入る
・リピート性が低い(クーリングオフとか何回も出さない)
・その上、作成に時間がかかる
・継続して依頼してくる企業や個人はほぼいない

というものになります。別の味方をすれば、長時間大量の仕事を新規で受注しなければならないビジネスモデルというわけです。これだと現実的に厳しい。では、どのような基準が成功できるビジネスモデルかというと、主要なものを挙げれば下記のとおりとなります。

・高単価/・リピート性がある/・継続性がある/・仕入れがない少ない/・前払い方式/・etc

もちろん、これをすべて満たさなければならないわけではありません。条件を満たすビジネスを持てば持つほど、成功確率は高まっていくという感覚です。内容証明郵便作成業務は、これをほとんど満たしていないため、かなり苦しい業務ということになります。

※ただし、「ビジネス的成功」が難しいというだけであって、内容証明郵便作成業務に価値がないという意味ではないので悪しからず。私も開業当初結構な数の受任をしてました。

このビジネスモデル要件を自分自身のビジネスに当てはめて考えてみてください。例えば、税理士や社労士、弁護士は顧問契約という確立された継続するビジネスモデルを持っています。そういう意味では成功しやすい資格だと言えますが、何度もお伝えしているように「ないなら、つくる」が起業家の発想です。コンサルティングビジネスをつくっても良いし、コンテンツビジネスをつくっても良いわけで、そもそも商品開発を新しくするって発想があれば、士業ビジネスなんてもっと自由なんです

このあたりをさらに明確にモデル例としてつくったのが「資格起業家」というもので、2006年に「資格起業家になる!成功する超高収益ビジネスモデルのつくり方」(日本実業出版社)、2011年に続編として「もう、資格だけでは食べていけない」(すばる舎)を執筆しています。出版社は違いますが、私の中ではこの2冊はセットです。出版年はさすがに古くなってますが、長期間使えるように骨太に書いてますので、いま読んでも遜色ないはずです。

この2冊もnoteで全文無料公開しています。士業として新しいやり方を追求したいと考えたら、一度は読んでおいてほしい2冊です。

条件④:正しい士業マーケティングと商談の本質の理解

まずは全体像の整理から始めましょう。前述のとおり、士業のビジネスは顕在ニーズに基づくものがほとんどです。相続、会社設立、許認可その他士業の業務は「必要に迫られて」専門家に依頼するものが大多数。まずはその顕在ニーズが発生したとき、お客がどのような行動で士業を探すのかを考えることが重要です。基本的にはこの2つ。

①直接知り合いの士業に相談するか、知り合いに相談する、紹介してもらう
②検索エンジンで士業を検索して探す

つまり、最初は近い人に相談する。その次がネット検索という流れになります。これを踏まえると、すべき営業は「知り合いを増やす」ことと「検索エンジンから探されたときに、あなたのことを見つけられるようにする」ことになります。これを手段に変えると次の通り。

①シンプルに、人に会う
②ランディングページをつくってリスティング広告を出す

これが、旧天才塾時代から伝えてきた2つの「鉄板」と呼ばれた営業方法です。このほかにもセミナー、広告、ダイレクトメールなど様々な営業方法がありますが、優先順位的にはこの2つが先。

ただし、いまはコロナ禍(※執筆時点)なので直接人に会うのは難しいわけで、オンラインを通じて知り合いを増やすなどひと工夫は必要です。加えて、②の手法も有効で多くのLEGALBACKS会員がこの方法で成功していますが、年々競争が熾烈になり、広告費も高騰化してきているという点は、覚えておく必要があるでしょう。

これが従来の定型業務を取るための考え方です。繰り返しになりますが、別の言い方をすれば「顕在ニーズの仕事の取り方」とも言えます。そして、もちろん顕在ニーズがあるなら、潜在ニーズもあるわけです

潜在ニーズを一言で表すと「言われたら気付く」ニーズと考えるとわかりやすいでしょう。士業の業務でいえばその代表例は、助成金や節税の提案。補助金業務や融資業務は厳密に言えば士業の独占業務ではありませんが、これも含まれます。例えば「もらえる助成金ありますよ」と言われて初めて気付く。これが潜在ニーズの業務です。これに加えて、例えば社労士などに多い人事系のコンサルティングなど、士業の業務の枠に留まらないコンサルティング業務も潜在ニーズと言えます(「資格起業家」でいうところのコンサルティングやコンテンツ、コーチングなどがこれに当たります。士業の枠に「留まらない」仕事なので、自分自身でつくり出す必要があります)。

そして、年商3000万円以上を稼ぐためには、ここで高額商品であるコンサルティング業務を設計できるかどうかは大きな分かれ目です。LEGALBACKSやLEGALMAGICの会員は、顧問料なら月額10万-30万円程度のコンサルティング契約を提案します。プロジェクト的コンサルティングなら、1件100万円以上。この商品作りが高額報酬を実現できるかどうかの最大のポイントです。

これら潜在ニーズの仕事は、気付かせることが必要です。ですから、オンラインセミナー、商業出版、電子書籍、YouTube、SNSなどを通じた情報発信が重要になります。あなたの情報発信を見て、自身の潜在ニーズに気付き、相談が来る。大雑把に言うとこんな流れです。

そして、今後は定型業務であれ潜在ニーズに基づくコンサルティング業務であれ、お客と接点を持ったときに、お客のニーズを最大限まで引き出す工夫が重要になります。例えばこんな感じ。定型業務(顕在ニーズ)の例です。

*社会保険労務士の例
✗ 助成金の相談が来た→要件に合わなかったのでまた今度
○ 助成金の相談が来た→要件に合わなかったけど、色々ヒアリングしてみると人事労務の様々な相談が出てきたため、コンサルティングを提案。

このように、顕在ニーズで来たお客にも潜在ニーズがあります。これを聞き出すことが重要です。オンラインセミナーや電子書籍から来た問い合わせなどは、潜在ニーズなのですでに困りごとや実現したいことがあるからこそ相談に来ているわけですが、本人が気付いていないニーズもあるわけで、詰まるところ、

お客のニーズを引き出す質問力が重要

ということになります。ですから、質問スキルを高めていくことは極めて重要です。商談についてすべてのことを解説するのはさすがに難しいですが、本質だけ言えば、商談は人間的に信頼され、相手のニーズを最大限まで引き出し、あなたにできる士業・士業外の最適な提案をすることにあります。これに気付くと、相談や問い合わせがきたときだけが提案の機会じゃないってことがわかります。どんなつながりであれ、見込み客と接点を持てた段階で、全て提案のチャンス。これが本質であり、押さえておいてほしいポイントです。

条件⑤:スペシャリストでありゼネラリスト、そして”ハブ”

「○○業務専門」だけでは、もう強みにはならないとお伝えしました。それを超える強みが必要と。しかしながら、矛盾するようですがスペシャリストだけでは今後生き残るのは厳しくなります。すでに前述したとおりですが、専門業務のスペシャリストとして生き残るのであれば、トップ10%くらいに入るくらいのつもりでないとやはり厳しい。それは士業の仕事の代替性に起因します

別の言い方をすると、中途半端なスペシャリストには、いくらでも替わりがいるのです。そこそこの建設業許可専門。そこそこの助成金専門。そこそこの…とひとつの事務所が潰れようとも、世の中は回ってしまう。もちろん、仕事に価値がないという意味ではありません。しかしながら、厳しい現実としては、突き抜けてない専門性は士業という特性上、ほかの士業でもできてしまう業務を取り扱っているということになります(だから、値下げが横行するわけですけど)。

だからこそ、士業以外の強みを持つべきですし、ゼネラリストであるべきです。要は「替えの効かない人材」を目指すことがこれからも活躍し続ける条件になります。それはコンサルティングスキルなのかもしれないし、何か特定分野の研究かもしれない。それはあなたのコンセプトによって変わってきますが、この人とのつながりは絶対に外せないと思われたとき、あなたは長く活躍でし、いつまでも必要とされる人材となるでしょう。

ところで、もうひとつ俯瞰した話を。士業はもともとそれぞれの専門分野を持ち、独占業務を持つ縦割りの専門家です。ですから、税務は税理士、労務は社労士、知財は弁理士、許認可は行政書士、登記は司法書士というように仕事が割り振りされていて、それぞれの領域に入っていくことは当然できません。

だからといって、お客の困りごとやニーズに対して、自分の専門分野だけやっていればそれでいいかと言えば、もうそんな時代ではありません。私はいま、世の中で起きている問題は、高度複雑化していると考えています。これまでのように社員を雇ったから社労士、許認可を取るから行政書士…といったシンプルな構造ではなく、専門家同士が連携して問題を解決したり、ニーズを満たしたりする必要があります。

このため、いま士業は総合化が顕著です。他士業と連携、提携してサービスを提供するというのは当たり前のことですが、すべて自前で提供しようと考える事務所も増えてきました。とはいえ、個人事務所がすぐに総合化できるかといえば、資金的な問題もマンパワー的な問題もありますし、総合化はとことんやり切るところまでやり切らないと、個性が消えてしまうリスクも孕んでいます。

そこで重要なのが、お客に士業とその業務を積極的にディレクションする意識を持つこと。言い換えればハブ機能です。お客は当然法律や会計のプロではありません。「あのとき、あの人を紹介しておけばこの問題は防げたのに…」ということは、少なからずよくあること。ですから「言っていただければ紹介しますよ」というスタンスではなく、お客の状況を良く聞き積極的にディレクションすることが重要で、そうした「ハブ人材」はとても重宝されます。積極的に、ということがポイントですね

条件⑥:継続した自己投資と俯瞰

ビジネスモデルの構造的理解、適したマーケティングと接点の本質。因数分解してみると士業のビジネスは決して複雑な構造ではなく、すべきことはシンプルだということが理解して頂けたと思います。もちろん、この記事に書いたことは本当に「骨格」で、細部のテクニカルな部分は解説しきれていません。ただ、大きな方向性という点では、この記事に沿って考えて頂ければ、大きなミスや取り返しの付かないことにはならないはずです。

ただし、やはりこの記事がすべてではありませんので、今後も長く活躍し続けるためには、圧倒的な自己投資が重要です。それは実務的なことでもあり、経営・マーケティング的なことでもあります。いま、弊社ではLEGALBACKSとLEGALMAGICという2つの会員制サービスを提供しています。BACKSは経営・マーケティングを伝え、コンサルティングするサービスでかれこれもう2021年の時点で14年運営。MAGICは4年になります。この中で、最初はひとり事務所だった士業が最大で100名規模の事務所になるまで成長したり、上場企業と顧問契約を取るような大成功例が何名も出ています

こうした成功した士業に必ず聞くのが、自己投資額。多くの成功者が「もはやどのくらい自己投資にお金をつかったかわからない」という回答なのですが、「100万円以上、自己投資に使いましたか?」と聞くと「100万円なんて、とっくの昔に通り過ぎてます」という回答ばかり。

逆言うと、自己投資をする以外の成功方法なんてあるんだろうか?と私は考えています。自分の事務所が成功するために、自分を成長させないでどうやって成功するんだろう?だから、成功している人は自己投資に迷いがないです。そして、それを継続する。多くの成功者が、成功してもまだ学び続けているんです。

さらに加えて、成功した人は俯瞰的な視点を必ず持っています。自分自身で俯瞰的に見ることができる人は自分で。そうでない人は外部にコンサルタントをつける。要は、自分の実践の客観性を把握して検証しているということです

これまで、全国2000名を超える士業から経営相談を受けてきました。頑張っていない人なんて、ほとんどいないんです。何かしらみんな努力している。でも、どこかズレているってことが本当に多いんです。例えば、完璧なLPをつくって精度の高いリスティング広告を出している。問い合わせは多数きているけど、肝心の成約ができない。LPを拝見させてもらってもよくできているし、広告設定も問題ない。なぜこれで成約しないのかとヒアリングしたら、電話対応に問題があったなんてこともあります。

だから、あなたの努力が報われるためにも、俯瞰した検証が重要です。自分でできる人はその意識をしっかり持てば良いとおもいますし、それができない場合は外部にそういった人を持てば良いと思います。

自己投資と俯瞰については、私を信じてくれる人は私を頼ってくれれば良いと思いますし、あなたの信頼できる人がいればその人を頼れば良いと思います。自己投資の継続と俯瞰。必ず覚えておいてください。

条件⑦:替えの効かない存在になるために-理念と人間力-

いよいよ最後の条件です。やるべきことは明確。あとはこの記事をもとにあなたなりに考えて実践すること。これ、サラッと言ってますがとても大事です。「あなたの頭で考えて実践すること」。検索する前に自分の頭で考える。案外できていないことなので、これは習慣にしてください。

マーケティングなんて概念もたかだか100年程度の概念です。それまでも商売はあったわけで、人間はそもそも考えていろんなことを実践してきました。もちろん情報を得ることは重要ですが、情報がそろったら自分の頭で考え、実践していくこと。これは覚えておいてください。

これから、AIだRPAだなんだの課題も出てくるでしょうし、何より日本は人口減少社会。コロナ禍も相まって、士業にも様々な課題が生まれるでしょう。だからやはり、考えて行動することが重要になります。

そして、最後まで生き残るのはきちんとした理念を持った人間力のある士業だと私は考えています。キャラ設定くらいでは仕事が取れなくなり、実力主義になった現在。実務的にもコンサルティング的にも高い能力が求められます。いまはその黎明期だと考えると(本当はもっと早くこの黎明期が来てほしかったんですが)、これからより高度なコンサルティング主体の士業も増えるでしょう。どの士業・コンサルタントも甲乙つけがたいとなれば、最後に判断されるのは理念と人間力です

レベルの高い経営者は、本当にこのあたりを重視します。メリット、デメリットなども考えますが、成功している以上「ただ儲かる」「ただメリットがある」だけでは動かないのです。ですから、そういった経営者から共感されるような理念や人間力は最終的に一番大事になる。これは頭の片隅にでも留めておいてください。

以上、私からの【法律家の未来】「活躍し続ける士業の7つの条件」はここまでです。少しでもあなたのお役に立てましたら幸いです。さて、もともと私が士業向けに情報提供やコンサルティングを始めたのは2007年頃。現在のLEGALBACKSの前身である経営天才塾をつくったのもその頃です。

あれから時間が経ち、士業も増え、また士業に関わる情報も増えました。この記事を書こうと思ったきっかけは、むちゃくちゃに蔓延する誤った情報も含め、正しい情報を伝え、ひとりでも多くの士業としての成功者を出し、あらためて士業という世界を良いものにしたいと考えたからです。

もし、あなたが私を信じてくれれば、必ず勝たせたいと思っています。それはLEGALBACKSでもMAGICでも各種の講座なのかわかりませんが、私を信じてくれた以上、あなたが実現したい未来を一緒に実現するつもりです。

最後に。「お母さん、明日からぼくの会社はなくなります」という書籍を2014年に出版しました。これもnoteで全文無料公開していますが、私はもともと新卒で入ったベンチャー企業をリストラされ、手元にあった行政書士の資格で独立するしかなかった。いや、行政書士の資格しかなかったというのが本当のところで、この資格がなかったら今頃本当にどんな人生送っていたかわからない。そういう意味では、この資格に恩があるわけで、その恩返しの意味も含めて、コンテンツ・コンサルティングサービスを始めました。

正直、いま士業にとって必要なものを詰め込んだら、巷で販売されている有料記事並の内容になってしまいましたが(苦笑)、これまで横須賀輝尚を追ってくれていた人も、しばらく追っかけてなかった人も、初めて私のことを知った人も、これからまた積極的に情報発信していきますので、これを機によろしくお願いいたします。まずはTwitterのフォローからぜひ!

追伸:この記事を最後まで見てくださったあなたへ

結局、この記事は1万3000文字を超えました(苦笑)。最後までお読みいただき、ありがとうございます。いま、あなたがどんな状況か私にはわかりません。開業前なのか10年を超えるベテランなのか、あるいは上手くいっているのか思うような結果が出ず厳しい状況にあるのか。私にはわかりません。

でも、この記事をここまで丁寧に読んでくださったということは、何か変えたいと思って読んでくれたのではないかと思います。ここまでしっかりと読んで、行動を起こすつもりがあるなら、いまあなたがどんな状況であっても、きっとうまくいくと思います。ここまで読む素直さがあるわけですから、あとは行動です。

そして!「資格起業BIBLE」のあとがきでも書いたことなんですが、私の本を読んだ人とはちゃんと縁がつながることが多いようなんです。かつてはセミナーが縁のつながる場でしたが、いまはオンラインセミナーがその場。ちょこちょこオンラインセミナーやっていきますので、そちらでお会いできたらと思います。

最後の最後。この記事の途中でこれから必要なマーケティングの話をしましたが、それをまとめて解説したオンラインセミナーがあります。

こちらはもう開催終了してしまったのですが、この記事をここまで読んでくださったあなたに、このオンラインセミナーの動画を差し上げようと思います。最後まで読んで頂いた感謝です。

動画の視聴方法は「LINE登録特典」としました。ぜひLINE登録をして頂き動画を手に入れてください。

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というわけで、当初の予定の3倍くらいのボリュームになってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!

パワーコンテンツジャパン株式会社
代表取締役 横須賀輝尚


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横須賀輝尚 | 士業のための生成AI・ChatGPT活用研究
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