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遺言書が必要な場合:元の配偶者との間にお子さんがいらっしゃる場合


1.はじめに


いつも、横須賀市民相続相続センターのブログをご覧いただきありがとうございます。本日は、元の配偶者の間にお子さんがいて、その子に財産を相続させたくない場合には遺言書が有効な理由についてお話したいと思います。

2.元の配偶者の間にお子さんに相続させたくない場合

離婚後も、前の配偶者との間に生まれた子供には相続権があります。たとえ離婚後に一度も会っていなくても、連絡を取っていなくても、法律上は相続人として認められています。このような場合、遺言書が有効な場合がありますので、説明します。
【遺言書を活用】
遺言書で「前の配偶者との子供には相続させない」と明記しても、子供には「遺留分」という法律で保証された最低限の相続分があります。遺留分は、遺言書の内容に優先します。ですから、遺言書で相続を完全に否定することはできません。

しかし、遺言書で次のポイントに留意して記述すれば、遺留分の請求には時効がありますので、財産を渡す必要がなくなる場合もあります。

3.遺言書を書くポイントと効果


(1)遺言書を書く場合は以下のような相続人の指定と付言がポイントになります
①相続人の指定: 遺言書で、前の配偶者との子供以外の相続人に財産を分けるように指定します。例えば、「不動産は現在の妻に、預貯金は現在の妻との子供に相続させる」とすることで、前の配偶者との子供には相続させないようにします。
②付言事項の記載: 遺言書に「付言事項」を加えることができます。これは法的な効力はありませんが、遺言者の意向を表すものです。なぜそのような遺言を残したのか、その理由を説明する部分です。
(2)遺留分は請求しない受け取れないし時効もある
また、遺留分は自動的に与えられるものではなく、権利を持つ人が請求しなければ実質的には受け取れません。また、遺留分の請求には時効があります。遺言者の死後10年間、または相続が開始されたことを知ってから1年以内に請求しなければ、その権利は失われます。

4.生命保険を活用

遺留分を請求されても、渡す財産を少なくする方法もあります。それは、生命保険を活用する方法です。もし、配偶者やその子たちに確実に財産を渡したいのであれば、被相続人となる夫が契約者・被保険者となり、現在の配偶者やその子が保険金受取人となる生命保険に加入することで、確実に後妻やその子に財産を取得させることができます。
さらに、生命保険金は、民法上は相続財産ではなく「受取人固有の財産」とされるため、原則として遺産分割協議や遺留分侵害額請求の対象とはなりません。
この点を上手活用して、相続の対象となる財産を減らしてしまうことも可能です。相続の対象となる財産が減れば、遺留分の額も減るのです。
また、相続人が受け取った生命保険金は、相続税法上は「みなし相続財産」とされ、相続税の課税対象になります。しかし、受取人が相続人にあれば、受け取った死亡保険金のうち「500万円×法定相続人」には相続税がかからないため、節税効果も期待できます。

5.終わりに

遺言書を作成する目的は、自分が亡くなった後に家族が直面するであろう手間や相続トラブルを減らすことです。遺言書によって、相続の意向を明確にし、将来のトラブルを防ぐことができます。ただし、遺留分を無視した遺言書を作成した場合、遺留分の請求を受ける可能性が高くなるため、相続準備をする際には、遺留分請求を考慮に入れた遺言書の内容にしたり、遺留分を少なくする工夫をすることが多いです。これにより、後々のトラブルを避けることができます。

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