追憶のミーコ その10 終
ミーコが姿を消した翌2007年、
連載していた「電車屋赤城」が、
角川書店より刊行された。
無名新人の、初めての長編小説である。
今までにない、
電車整備の世界を描いたためもあろう、
おかげさまで好評であった。
受賞は逃したが、
有名な文学賞の候補にもなった。
すると角川から連絡があった。
「映画化のオファーがあるのですが、お受けしますか?」
私はなんとも驚いた。まるで夢のようである。
監督と脚本家の名を尋ねると、どちらも高名な方である。
舞い上がった私は、もちろんです、と