神さまのつぶやき
日常は作り物より面白きことで溢れている
その日、私の両足は目的地に早く着きたいといわんばかりに回転リズムは速めモードだった
周りの景色を味わうことよりも空腹を満たしてくれ、と脳からの緊急指令が出ていた
そのときの私はとてつもなくお腹がペコペコだった
お腹が空きすぎると持ち前の待てないセンサーが発動する仕組みとなっている私の身体
私にとっては一刻を争う事態
早歩きには自信があった
どれくらいかと言うと「競歩で走ってる人抜かしたことあるよ」と、昔ホラを吹いたことがあるくらい
両足の回転が実にいい感じ
2人並んで歩くほど幅がない細い道も、向かいから来る人をするりと交わしリズムよく目的地へ
思いがけないことは突然起こる
目的地へ急ぐ前方の視界の右下部分になんとなくの違和感を感じる
条件反射でフッと首を曲げる
歩道に面した建物から50センチ程の狭いスペースに若い男性が横たわっている
顔は、目と鼻と口半分をマスクで覆っている
コンクリートに妙に溶け込んでいた彼を見て、私は人生お初のまるでコントのような大振りな4度見をかました
1度見、びっくりして、えっ??!!
2度見、目を疑い、ぎょっ!!!!
3度見、心配して、大丈夫かい、、??
4度見、納得して、うん、大丈夫そう、ね
4度見の納得まで、ざっと5秒
人間の脳の処理速度は速い
びっくりから納得までの私の脳内はこう
人間だ!?人形??んなわけない、倒れてる??具合悪い??生きてるよね??寝てそう、、気持ちよさそうだ、、な、、?
マスクに覆われた顔からは眉毛と下唇しか見えなかった
だけど彼はとても気持ちよさそうだった(そう見えた)
私の推察はこう
彼はおそらく休憩中だった(んなこたある?)
引っ越し会社のユニフォームの用なものを着ていたから(ホントかよ)
そして、マスクの下から出ていた下唇の口角がほんのり上がっていたのを見逃さなかった(おい)
人間の勘というものを見くびってはいけない
彼から出ているオーラは確かに負ではなかった(これは、ホンマ)
つい昨日、私はあることを決めたばかりだった
必要以上に人を助けようとしない人生を始めること
どこにいても困っている人がいないかを探す人生はもう終わり
人を助けることで「私」を感じていたフェーズとおさらばするのだ
人を助けたいと思って生きてきた過去は、助けられる人を周りにいっぱい作っていた
神さまは、よく見ている
求めたものを差し出してくれる
私の周りは今、喜びを感じる人が溢れている
帰り道、同じ道を通る
信号のない横断歩道をゆっくり渡るおばあちゃん
少し心配になる
長年染み付いた癖で、おばあちゃんの側に駆け寄ろうとしたけど車のドライバーは止まってくれた
人を信じよう
そして、私は私の人生を生きるのだ
あなたはあなたの人生を好きに生きなさい
神さまがそう呟いた
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