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日本最大のコーヒーの祭典の喧騒のなかで。

ちょっと間が空いてしまいましたが、コーヒー業界に身を置くものとして、一度は耳にするイベントに行ってきた感想などを。

それがSCAJカンファレンス。

毎年9月から10月のどこかの水曜日〜金曜日3日間に開催される、日本最大のコーヒーの祭典です。

すんごい人・人・人!


今年は10月9日から11日まで開催され(一部12日まで)、世界各国の素晴らしいコーヒー生豆や、焙煎・抽出するための最新機器を扱う国内外のメーカーや商社、新しいコーヒーの提供方法を提案するスタートアップやベンチャー、更にSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)が主催するコーヒーの大会も開催され、業界の方はもちろんコーヒーファンや開業希望者、メディアや他業界からコーヒー業界に参入を考えている方などなど、たくさんの人でごった返します。

祭典には目がないヨコノは、毎年いろんな方々と視察に行ってます。今年は『情報収集』を目的に、弊店のロゴを作ってくれた親友でありデザインパートナーでもあるこばん産業・小幡氏と、来年開業予定のスタッフ・ムロさんを伴い、東京ビックサイトまで行ってまいりました。

コーヒー業界になんだかんだで20年近くいますので、たくさんの仲間や同業者の方々に出逢います。20mに1人は知り合いに出会う感覚です。
ほぼ同窓会のノリで、業界の最新情報より彼らのこの一年で起こった最新情報の方が気になって仕方がありません(笑)。誰かに会わないかなー♪と、ソワソワしながら広い会場を歩き回り、出会うと立ち話をし、人やブースを紹介され、また立ち話をし、を繰り返すうちに1日があっという間に終わります。もちろん目的は情報収集なので、この立ち話の中で、なかなか聞けない製品の特徴や業界のトレンドを教えてもらいます。普通にブースを回るよりは濃い情報に触れることになりますので、私にとっては交流を深めつつより良い情報を手に入れられる非常に効率の良い場となっています。

タイのコーヒー農園ツアーでご一緒した
pap.coffeeの皆さまと。
毎年約束せずとも必ずSCAJで会う羊ちゃん。



さて、そんな会場の中でいろんなモノ・コトを見聞きし、率直にヨコノが思うこと。
それは、主に以下の3点です。

①"スペシャルティコーヒーショップ"がこれまで以上に普遍的になり、味やクオリティはもちろん、デザインやサービスも含めて店舗ごとの差がなくなりつつある

②気候変動の影響もあり、スペシャルティコーヒーの風味特性の差が出にくくなってきている

③ブームと現実のギャップを感じる

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①に関しては、ポジティブなこととネガティブなことが混在していると思います。
ポジティブなことは、それだけスペシャルティコーヒーというカルチャーが世の中に浸透したということ。味を重視し、淹れ方や提供の仕方にもこだわりをもって接客するお店が増えたことは、お客様にとっては歓迎されることだと思います。

ただ、似たり寄ったりな内観外観が多かったり、こだわるポイントが重なるため、他店様との差別化が難しいなぁと思います。

②に関しては、非常に由々しき事態だと感じてます。ただただ今年だけの問題なのか?来年は農園側の努力で解決されている問題なのか、というと懐疑的です。地球規模の問題を感じます。美味しいものを飲みたかったら、いろんなことに視座を持たなければならない時代だと思います。

③に関しては、難しいところです。
コロナ以降たくさんのコーヒーショップが増えました。同業者が増えるということは、ライバルが増えるということなので、お客様というパイの取り合いになるのでは?と思われるかもしれません。が、案外そんなことはなく、相乗効果を生むことが多いので歓迎している方が多いのではないかと思います。
また、僕たちの仕事が評価され、やってみたいお仕事にコーヒー屋さんをチョイスしてくれる方が増えたということは誇らしくも思います。

一方、コーヒー業界と取り巻く環境は厳しくなっており、仕入れ原価の高騰や商品クオリティの低下、お客様の購買欲の低下や購買先の選択肢が増えたことはネガティブなポイントだと思います。
また、参入障壁が低いため、あまり経験を積まず、人脈を広げないまま、盲信的に始めてしまう方が多いと感じています。
他店様についているお客様を自分のお客様にするのはとても難しく、原価が上がっているので定価を高めに設定しないといけない(または、定価を安くして利益を下げないといけない)新規参入者は、ブームとギャップを埋めるための大変な努力をされていることと思います。

僕たちも他人事ではありません。
僕たちが提供するコーヒーや心からの接客が、いつまでも届くと慢心していてはいけないですし、新しい何かを始めていかないと出遅れてしまう気もしています。足元を見つめ直し、一人で始めた時の初心を思い返すとともに、たくさんの仲間に支えられている今だからできることをしっかり考える時がきていると感じたカンファレンスでした。

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