まずは、おにぎり屋さんから⁉︎ スキー場のグリーンシーズンにリゾート運営を考える。
大学院のゼミ合宿で白馬に来ている。昨日は、白馬の岩岳(いわたけ)。本日は、白馬のうさぎ平へ。
白馬うさぎ平にビーチあり!?
ゴンドラで向かいます。岩岳には、ハーバーがあったけれど、こちらはにはビーチが。ん、ビーチ?
こちらが白馬マウンテンビーチ。朝イチだったため静かだったが、週末はカップルやインスタ映えを狙う若者たちで賑わっている。
ジャグジーやゴンドラを利用したサウナも。「なんだかやけに東京っぽいな」と思っていたら、企画コンセプト・クリエイティブディレクションは、TRANSIT GENERAL OFFICEだった。
シャレたバーも。
眼下にはコロナが運営しているデッキも。ちなみに、ビーチのこれらのサービスは冬でも提供されるのだそう。白馬エリアはパラグライダーも人気。
“We Proudly Serve Starbucks™”という取り組みで、日本で初めてスターバックスがライセンス出店したカフェも。商品供給契約を結び、店舗と同じ高品質のアラビカ種コーヒー豆を使用し、専用のマシンで抽出することで、スターバックス店舗外においても、本格的なコーヒーの提供が可能に。
八方尾根トレッキングの入り口
ビーチがあるうさぎ平からリフトを乗り継ぐことで、八方尾根へのトレッキングも可能。
ウィンターシーズンよりリフトが低く設置してあり、草原を滑るように走るリフト乗車はかなり気持ちいい!
こちらは黒菱平。タイミングが良ければ眼下に雲海を観ることができる。
この日は快晴でトレッキングを楽しむ方々で賑わっていた。トンボがたくさん飛び始めており、あと1〜2週間で景観は一気に秋の様相に変わるのだという。高山植物も気軽にたくさん楽しめる。
これからの日本のスキーリゾート経営
教授の計らいで、白馬岩岳のハーバーやうさぎ平のビーチなどを含む、白馬エリアのリゾート運営する日本スキー場開発の社長のお話を聞く機会があった。
まず、驚いたのは、(減っているとは聞いていたものの)スキー人口の減少ぶり。日本人のスキー人口はピーク時の約4割という数字が出ているらしい。ゲレンデを整備して、リフトを設営し、食事処を提供するだけでは収入を確保できなくなる数字だ。
日本人のスキー人口は減少している中、これからのスキー場運営で大切になってくるのは、「インバウンド(白馬はオーストラリア、ニュージーランド)」と「グリーンシーズン(雪がない季節)」の集客だという。ラグジュアリー化しているヨーロッパや北米のスキーリゾートと肩を並べていかなくてはいけない。
ちなみに欧米の1日リフト券の相場は200ドル。日本は40ドルくらい。日本のデフレぶりも良くわかるが、海外のスキーリゾートは、いかに富裕層向けなのかもよくわかる。
さらに、通常、山に足を運ばない人たちに、(白馬のハーバーやビーチのようなものを作って)いかに足を運んでもらうかを考えなくてはならない。
白馬の取り組み
白馬には全山共通(それぞれ運営会社が違う!)のHAKUBA VALLYチケットが存在する。業界的にはかなり革命的なことだったと思う。それにより、アジア最大級のスキーリゾートとなった。そして、2018-2019シーズンより、ワールドクラスのスノーリゾートアライアンスEpic Pass(※1)とHAKUBA VALLEYの提携がスタート。昨シーズンは過去最高の外国人来場者数を記録(※2)したという。
※1 北米、オーストラリア、ヨーロッパ7か国76のトップリゾートにて使用可能な国際スキーシーズンパス。※2 約37万⼈(前年⽐約11%増、過去6年平均25%増)に迫る増加。
ゲレンデだけではなく、宿泊施設や飲食店も、ラグジュアリー滞在に慣れている世界のスキーヤーたちにとって魅惑的なサービスを提供していかねばならない。インバウンド需要を考えると、四つ星以上レベルの宿泊施設が足りていないのが現状のようだ。トレッキング以外に山にきてもらうグリーンシーズンの集客(いわゆるインスタ映え需要?)も、これまで以上に考えていかねばならない。
経営者に必要なこと
これまでのスキー場運営はスキー上級者によるところが多かったとも聞く。言い換えれば「なぜ、こんなに楽しいスキーを皆がしないのか分からない」人たちによる経営。
日本スキー場開発の社長はひとしきり話した後に「実は僕はスキーヤーじゃないんですよ(笑)」とポツリ。まったく慣れ親しんできていなかったら、「なんでこれはこうなっているんだろう? ということがたくさん目について、気になっちゃって気になっちゃって」と彼は笑う。この日いちばん驚いたけれど、「なるほど」と深く納得。
なんでも、社長が現場時代に一番最初に着手したのは、おにぎり屋さん(美味しい飲食は観光の要!)だったとか⁉︎ 「だって、お米が感動的に美味しかったんですよ!」と。なんとも純粋。
「当たり前」を「当たり前に感じないこと」の大切さ。トップにその意識があることは、スピードやグローバル視点の改革が必要な事業にとっては本当に意義があることだと思う。