「私はリベラル」と思う人にこそ、ドランが効く!?
その作品が好きか嫌いかはさておき、映画好きなら避けては通れない(!?)、グザヴィエ・ドラン。
幼少期から子役として活躍。独学で映画制作を学んだ彼は、19歳で主演・脚本・初監督を務めた『マイ・マザー』(09)が高評価を得て、一躍“カナダの神童”と呼ばれ熱い支持を集めることに。
クリストファー・ノーラン監督の『TENET』を観るために映画館に足を運ぶことは二の足を踏みまくっているのに(体力と気力が対峙するには不足気味)、ドランの最新作『マティアス&マキシム』は初日に足を運んだ。
神童と呼ばれたドランも、“もう“30歳(通常なら、“まだ“と言われる時期なのに!)。「『君の名前で僕を読んで』を観て、恋愛映画を撮ろう」と本人が決めたのも納得の、繊細で瑞々しい、そして何より王道の作品に仕上がっている。
ドランは、下の世代について以下のように語る。
僕は若い世代の人たちを常に賞賛します。彼らは向こう見ずで粗削りで、何事にも本気でケンカをふっかける。変化を求めて必死で反抗して、努力する。でもそれは若さゆえのものなんだけど。ただ、彼らの戦いはこれまでの世代よりももっと状況的に大変で切羽詰まっているということは感じます。
今までは明らかにそう言われてきたであろう側なのに! すっかり大人になって(なぜか芽生える親心)。
ちなみに、instgramに書いた私の感想は
繊細な表現のミルフィーユ。後半ドライブかかってからは前半のそれらが効きまくり。ドラン特有のえぐみは抜けているのに、しっかり濃厚。ひょー。
ひょー!
ドランのリラックスしたピュアで真っ直ぐな表現に驚いて、しばらく本当に腰を抜かして席を立てなくなるくらい。彼の円熟味をしかと受け止めた次第。
インタビューで自身の過去作を
僕の20代を知っている人は、僕がいろいろなことをやりすぎていると思っていたかもしれない。作っていた映画はうるさくて派手で緊張感にあふれ、いつでも叫んでいるような。
と語っている。今作が明らかにこれまでの自分の作品群とは一線を画していることにとても自覚的だ。
監督は「テーマは、愛。その瞬間が突然やってきた時、どう反応すべきかを描いている。同性愛を描いたわけではない」としつつも、「本当に自分のことを理解しているか。アイデンティティを追求する覚悟はあるのか」という問いかけが、今作の隠されたテーマだと語る。
自分がリベラルだと思っていても、実は固定概念に縛られている場合がある。
自分に置き換えて考えると、思わずヒヤリとしてしまう。
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以前に書いた、炎上騒動に触れたnote↓