メディアの価値は「声の大きさ」ではなく、「耳の良さ」
今日は、あまりにうなずきすぎて首がもげそうになった記事を紹介したい。
その中でとりわけガツンときたのが以下の部分。
編集部というのは面白い組織体で、社会のなかからひたすら面白い人やもの、知られていないような情報を集めてきて、その何が情報として価値があって、社会にとってなぜその情報が重要なのか、といったことをひたすら議論している場所なんですよね。そして、それを記事化していくなかで、より思考の精度もあがり、それによって、さらにアンテナの解像度も高くなっていく、ということを延々やり続ける場所なので、まあ、やってる側にとっては、これはひたすら学びのプロセスなんですね
プロフィール欄に、雑誌編集者歴20年と書いている。昨今の社会における情報のあり方の変容により、メディアとしての発信の仕方が多岐に渡ってきている。この10年くらいは、「私の職業って一体なんだっけ?」という問いを自分に問いかけ続けなければ、自分の現在地が分からなくなるほどに業務がマルチタスク化している。実際に、私がコンテンツを作る作業は、全体の1割にも満たないのではないだろうか。時々、途方に暮れている。
でも、そうなのか、学びのプロセスなのか。そう考えることで自分を納得させ、楽になることができた。
一方、本当に日々の編集作業で自分のアンテナの解像度が高まっているのか、ということに疑問は残る。
企業はメディアを基本「発信装置」だと思っているんですよね。
耳が痛い。
メディアの価値って、「声の大きさ」ではなくて、「耳の良さ」に宿るんですよね。
至極の名言。
インタビュー中の「他人の歌は全く聞いていないのに、自分の番が回った時だけボリューム上げて熱唱するカラオケ」の例には吹き出しそうになった。確かに! これはメディアだけでなく、人の価値も同じなのではないか、と思う次第。
この言葉を胸に
経済を動かそうと思ったら、まずは文化を動かすんだよ
という気概をもって。
改めて、編集者である自分という人間が、今どこで何をして、そして、どこに向かうべきなのか。GPS機能を初期化して、きちんとナビゲーションシステムを起動できるようなインタビュー記事だった。
デベロッパー主導のハードウェアドリブンなまちづくり、溢れかえるマーケティング用語、テクノソリューショニズム、歴史を無視して未来を語ること……今の社会が抱える問題点が次々と明快に語られているので、ご自身に置き換えて考えらえる事案が必ずや内包されているかと。是非ご一読をオススメしたい!
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本日紹介したインタビューを読み、なんとなく点と点が繋がっていくような感覚があった、これまで書いた記事たち。