モノを「選ぶこと」は、苦悩か? 快楽か?
ラスベガスでCESが開催中だ。自動運転等の次世代自動車、5G、AI、IoT、AR/VR、ロボティックスなど最先端テクノロジーの祭典。世界で最も影響力の大きいテクノロジーショーとされている。
そのCESでロレアル社が発表したパーソナライズ・コスメのためのガジェット。
アプリのカメラで顔写真を撮影し、自分のその時の肌悩みをデバイスに話す。で、その日の天気、紫外線量、湿度に応じてその時つけるべき化粧品をAIが算出し、機械から1回分が出てくる。スキンケア、ベース、リップの3種が2021年に本格的にリリース予定とのこと。
スキンケアver.は、資生堂からも既に発表されている。
いよいよ本格的なパーソライズ時代の幕開けになるのだなぁ、としみじみ。
自分に合ったコスメを探す必要がなくなり、その日の自分に合ったコスメが毎日調合できる時代に。日々、揺れ動く肌の変化に対応するコスメをすべて揃え、使いこなすのは至難の技。時間とお金の節約につながることは間違いない。スキンケアに熱心、かつガジェット好きな男性が一気に飛びつくかもしれない。需要がある程度見込めればコストダウンにつながるはずで、爆発的な需要を創出する可能性を秘めている。
ただし、「正解が決められてしまう」ということが心地よい人もいれば、心地悪い人もいるのは確か、だ。
正解には、ある意味逃げ場がない。たとえば、これを食事に置き換えてみればよく分かる。太ると分かっていても甘いものを食べたい時がある。そんな不合理な欲求が人間が最も人間らしい部分だったりする。
新しいコスメには、「使うと気分が上がる!」「選ぶこと自体がワクワクする」「私は変われるはず、という希望(ロマン?)を託したい」という情緒的価値が絶対にある。目的は美肌になることだったとしても、美容好きにはそれ以外の意味が絶対にある。
コーディネイトを楽しめる人もいれば、「選ぶ時間がもったいない」と同じ服を買い揃えるスティーブ・ジョブスのような人もいる。車の運転だってそう。運転をAIに託したい人がいる一方、趣味で運転を楽しみたい人は絶対に途絶えることがないはず(いずれ一般道は走行不可能になったり、オートマが消えたりはしそう)。
自分が楽しいことは、悩むことすら楽しい。面倒が楽しい。
それ以外のことをすべてAIに託す時代が来る…のか⁉︎ いずれにせよ、「自分の楽しいこと」は何なのかをハッキリさせておくことが肝要そうだ。
今日の一冊
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