『京アニ』『いだてん』『東京ブラックホール』。とどのつまり、NHKに拍手
朝ドラ『スカーレット』の後に、京都アニメーションのアニメ作品が放映された。視聴者からの放送を求める要望が強く、NHKがそれに応えた。
昨日、今日とお別れ会が行われている。あきらかに京都アニメーションを舞台にした作品であった『バジャのスタジオ』。お別れ会では、そのワンシーンが描かれたポストカードが配られた。
昨夜の『いだてん』では、女子バレーの監督・鬼の大松を演じた徳井さん出演についてのテロップが初めに挿入された。いろいろ苦慮したと思うが、ほぼカットせずに放映に踏み切ったのではないかと思う。
主人公のまぁちゃんが、「国民の五輪とおっしゃいましたな。だったら渋滞なんとかしてくれよ。国民ひとりひとりが俺の五輪だと思えるように盛り上げてくださいよ、先生方! 功名心で組織委員会に名を連ね、記者が集まる公開討論にしか顔を出さん。そんな役立たずの役人や政治家は出てってくれ!」と当時の大勢の政治家たちを前にシャウトした。
さらに、選手村を代々木にこだわるまぁちゃんは、「一時間を5分にするのが開催国の矜持だ。スタジアムの興奮が冷めない距離じゃないとダメなんだ。選手の記憶に刻まれるのは選手村で過ごした時間なんだ! 予選で敗退する名もなき選手ですら生涯自慢できる大会にしたい」と訴える。
もちろん脚本を書いた時に知る由もなかっただろうが、先頃、2020年の東京オリンピックのマラソンと競歩の開催は札幌に決まった。
数週間に放映された(しかも、『いだてん』放映直後に!)、『東京ブラックホール』もすごかった(オンデマンドで観られます)。21世紀に生きる若者が、戦後ゼロ年の東京にタイムスリップ。山田孝之演じる現代の若者が、1964年に迷い込み破壊と創造の時代を追体験する(当時の映像に合成で溶け込ませる技術と山田さんの演技力がすごい)。
希望に満ち溢れたオリンピックと記憶されている1964年のオリンピックだが、当時の国民の関心は薄く(おそらく今と同じか低いくらい)、国家予算の1/3をつぎこみ安全管理を後回しにした工事は突貫(出稼ぎで行方不明になる人多数)で、スモッグもひどく(工場のまわりでは8割の子供たちの呼吸器に異常が見つかる)、工場廃液はたれながし……。ちなみに、高度成長期は今より年間600時間長く働く社会だったらしい(ひょー!)。
私たちが思う『三丁目の夕日』(ちなみに舞台は1958年)的趣は、「そうであった」という事実でなく、「そうでありたかった」と願望であり、いつしかそれが私たちの頭の中で美化されたノスタルジアに昇華されてしまっただけなのか。
ダラダラ書いてしまったが、つまり、言いたかったのは、NHKに拍手。