トレンドが通用しない時代のファッションのこと
雑誌『FRUiTS』のエキシビジョンを観に行った。BOOKMARCへ。
マーク・ジェイコブス✖️『FRUiTS』
いや〜、懐かしいの一言。当時、私自身がどっぷり浸ったカルチャーではなかったけれど、ファッションや雑誌に勢いがあった時代に産み落とされた『Street』や『FRUiTS』は革命的であったよなぁ。
雑誌『フルーツ(FRUiTS)』から厳選したスナップ写真を展示する写真展「"FRUiTS" My Best 100 #1-#10」をブックマークで開催。撮影はフルーツの創刊編集長 青木正一氏が手掛けた。会期は9月30日まで。
少年の心を持った少女、少女の心を持った少年のほか、そのどちらにも属さない人など、過去30年間にわたりマーク ジェイコブスの世界観を作り上げてきた様々なセクシュアリティにフォーカス。コレクションラインと比べて、手に取りやすい価格帯のアイテムをラインナップする。
新ラインHeaven by Marc Jacobs
BOOK MARCの地下の展示会場の一画は、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」の新ライン「ヘブン バイ マーク ジェイコブス(Heaven by Marc Jacobs)」のショップが常設されるもよう。
ルックブックも青木氏が撮影。現在のユースカルチャーを代表するキャストを迎えている。あの頃のスナップと並べて展示もされていたが、それにしても、全く違和感がない。
『ドレス・コード? 着る人たちのゲーム』
青木さんの写真を見ていると、先日まで開催されていた『ドレス・コード? 着る人たちのゲーム』展を観覧した時と同じような高揚感、そして問いかけを感じる。
で、あなたは何を着るの?
その時の気分で選ぶこともあれば、何をするか、誰に会うかで決めることもあるでしょう。コスプレのように自分とは別の〈だれか〉になろうとすることだってあります。一方で、ファッションは「着る」だけでなく、「視る/視られる」ものです。特定の文化や社会、グループで通用するコードがあり、そこから駆け引きあるいはゲームにも似た自己と他者とのコミュニケーションが生まれています。
以下、同展出品者でもある都築響一さんのインタビューより。
ある時点からハイファッションがストリートの後追いになっていくんです。元田敬三さんの撮った革ジャンみたいに、まずストリートファッションがあってそれをうまくアレンジして高い値段をつけて売るっていうゲームが主流になっていった。
いまの僕たちは、できあがった世界観に無理して自分を合わせることに慣れすぎちゃってる。そして、そこで考えるべき「僕たち」とは誰のことなのかを考え直す必要があると思うんです。
トレンドってものが通用しない世界になりつつあると思います。音楽の場合だと、昔のようなハードロック、パンク、ニューウェーブのような時代を代表するトレンドがなくなって、一人ひとりが自分の好きな曲をミックスして聴いている、全部がぐちゃぐちゃになった時代。流行色やスタイルを示せなくなったファッション業界も同様じゃないでしょうか?
90年代のティーンの部屋
『Heaven』のショップは90年代のティーンの部屋がイメージ。
EC(オンライン)もそのストーリーが続いて楽しい。
『Heaven』には、90s当時のユース・カルチャーのエッセンスがたくさん鏤められている。
中でも、映画『トータリー・ファックト・アップ』(1993年/原題: Totally F***ed Up, 別題: Totally Fucked Up)を題材したものにグッとくる。私は完全にノーマークだった作品だったけれど、BOOKMARCの店長さん曰く、『KIDS』と並んで90年代の青春映画の代表とされていたのだとか。知らなかった!
関連したTシャツに食指が動く。
重ねられたCDのラインアップも抜かりなく。ずっと眺めてしまう。
シーズン・ヴィジュアルは、「ユースカルチャーと言えば」のライアン・マッギンレーが撮影。
余談だが、今季ユニクロでもライアンの現在Tシャツが発売中。
VIVA! 90s
先日、noteに書いた映画『mid90s』とも呼応。自分の意識が向かうだけで、それに関する嗅覚の感度がググッと高まるのを感じる。
私が雑誌を読み耽っていた80年代後半〜90年代には60〜70sのファッションがよく特集されていた。古着屋で買ったワンピースを「お母さんも若い頃、そんなワンピースを着ていたわ」と、懐かしそうに眺められたっけ。
(私のような)90年代を懐かしむ世代と90年代を知らず「可愛い!」と反応してくる世代。「世代を超えて世界観に反応していただいている」とは、店長談。
写真展は、9月末まで。お近くにお越しの際は是非。
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今日の一冊
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