個人的な話
私はつくづく、一人称、肖像画、ひとりの誰かを追ったようなポートレート的な作品が好きなんだなぁ、と思う。
小説『ベル・ジャー』
2025年初めて読んだ小説は『ベル・ジャー』。英米だけで430万部以上を売り上げている世界的ベストセラーの新訳。
20歳の頃、大人たちは無責任に「若いからなんでもできる」と言ってきて、「本当にうざいなぁ」と思っていた。とはいえ、そう簡単に流せるわけもなく、焦燥感が全身を覆っていた。「こうしている(例えば、近所のレンタルビデオ店でビデオをあ行から借りて全部観ようとしていた)間に、日々、可能性だけはスルスルと手のひらからこぼれ落ち、どんどん目減りしていくんだ」と鬱々としていた。
その頃の記憶が瑞々しく甦る作品だった。
年始に観た映画は以下の2本もポートレート的。昨年の『ナミビアの砂漠』に興奮したことにも顕著だったが、引き続き、好き。
映画『ブラックバード、ブラックベリー、私は私』@アップリンクにて
映画『時々、私は考える』@unextにて
ブック・コーディネーターの内沼さんの以下のポストがずっと頭の片隅にあった。
人間が書くべきはパーソナルなことだけだ。
私の中でそれが腹落ちする2025年の年始なのだった。