見出し画像

アートは「見る」ではなく「読む」

「アートもフェミニズムも、なんだかよくわからない」にていねいに向き合った一冊『アートとフェミニズムは誰のもの?』。

アートを読むためには、美術批評や美術史などの知識は不可欠。でも、知識たでは、権威主義的なアートワールドに「社会化」されてしまうことがあります。そこで本書では、知識と疑う力の両輪で、アートを前進させることを提案します。

(第2章より)

フェミニズムをツールとしてアートを読み解くことで、アートについての知識を深めるだけでなく、実際に使いながらフェミニズムがどんなツールなのかを理解していくことができるはずです。(中略)

このツールの使い方を知ることは、アートを鑑賞するだでなく、社会的な思い込みや、あなた自身が置かれた状況を読み解くことを可能にし、自分を解放するためにも役立つはずです

(第2章より)


「フェミニズムをツールにする」という考え方は目から鱗だった。

私もジェンダーに関する知識をいれるようになったら、いろいろなことが「わかる」あるいは「違和感」を感じやすくなり、その理由を腹落ちさせることが容易になってきたように思う(そのような例が本書にはたくさん書かれている)。

ツールとしての使い方を指南しつつ、最後は、ツールを持つ人、持たざる人の間にある軋轢にも、筆者は思いを馳せている。読後感も爽やかな、そして、「よしっ」と視線が上がる1冊だった。


いいなと思ったら応援しよう!