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画竜点睛。「場」の中で作品は完成する

時々、ハッとすることがある。先日、紹介した手塚愛子さんの展示にもそれがあった。

2018年に発表された『Do you remenber me-I was about to forget』。この作品では、明治時代にハワイに移住し、砂糖農園に入植した日本人の姿が、やわらかく光を通すオーガンジーに機械刺繍されている。

欧米人によってハワイは大規模にプランテーション化され、日本人を含むアジア人が新天地を求めハワイに赴いた。彼らは財を成したら帰国するつもりだったが、現実は安い労働力として厳しい条件かでの労働を強いられ、彼の地を離れることはかなわなわかった。ガラス窓での展示を意図した本作は、薄い布や刺繍の奥に広がる現在の此処の風景と、ハワイ、そして日本人移民の姿が重なりながら、記憶と忘却の間を揺れ動く。(展覧会解説より)

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実は、数日前のお昼時、2階のスパイラルマーケットに行く際、その階段途中の踊り場に展示されていたこの作品を観た時は何気なく眺めただけで通り過ぎてしまった。後日、日が落ちて、その作品を観てみると……

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国道246。流れ行く車のライト。色とりどりのショップの灯り。2019年の青山の光。

解説を読んでからその場に佇むと、後ろに透けて見えるケンタッキーフライドチキンのネオンが、とりわけ沁みる。

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画竜点睛。竜に睛(ひとみ)を入れたら、たちまち雲に乗って昇天したという故事ではないが、そんな作品に出会うと、私は今そこにいる偶然と必然にただただフワフワとした気分になってしまう。

【おまけ そこにあってこそ】

フォルダーに入っていた写真から。

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21世紀美術館のタレル。

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吉岡徳仁のガラスの茶室。天台宗青蓮院門跡 将軍塚青龍殿前にて。

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今は新国立美術館前に。

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やはり太陽の光が透けてこそ。

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この春の銀座のエルメスの壁面。「うつろひ、たゆたひといとなみ」 湊 茉莉展にて。

ガラスブロックの表面に描き出された赤やオレンジ・ピンクの色は朝東から日中・夕方にかけて西へと移動し、ガラスブロックの水を湛えたような潤いある表面や光の様子を更に浮き上がらせる。その光はフォーラムの内側にも赤味を帯びた光を導く。(HPより)

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中から。

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青森県立美術館の奈良美智のあおもり犬。訪れた時は雪帽子をかぶっていた。

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新国立美術館でのダリ展の時には、スペインのダリ美術館の『メイ・ウエストの部屋』が再現。レイアウトの妙。


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KYOTO GRAPHIE2017にて。京都の両足院(建仁寺内)に展示された荒木経惟の写真。

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札幌国際芸術祭2017より。モエレ沼公園会場での大友良英+青山泰知+伊藤隆之《without records》。

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国立近代美術館。作品名……失念!

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