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わたしが動けば、世界は動く

尊敬しているスタイリストさんが何人かいる。その中の一人が北村道子さんだ。

先週の土曜日、知人がPRを務めるノースフェイスのイベントに参加した。2日に渡ったそのトークセッションのラインアップはかなり魅惑的だった。年末のせいか予定が立て込んでおり、それでも私が是が非でもと思い時間をつくったのがスタイリスト北村道子さんのセッションだった。

人間の体は、前に進むようにできている。
強い興味と好奇心を持って、
生きていくしかない。

たとえば、北村さんが手がけると、同じ俳優さんがまったく違う人格の人間に見えることがよくある。雑誌などで、その魔法を拝見する度にいつもウットリと眺めてきた。著書も読んでいる。衣装を手がけた映画も観ている。

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かれこれ10年くらい前に、ある俳優さんの撮影を組む際、「スタイリストは北村さんで」と指名が入った。北村さんによってスタイリングされた、その俳優さんを見たことがあったし、その彼は本当に素敵だった。「遂に、北村さんと仕事ができてしまうのか!」と、極度に緊張しながら電話をかけたのを覚えている。

結果から言うと、きっぱり断られた。「それは私の仕事ではない」と。自分の依頼の言葉に落ち度があったのかと、しばらくかなり落ち込んだ。

明確に言葉にして伝えるから嫌われることもあるけれど、会ってみて合わないから、「この仕事は私じゃないです」と伝えるのは礼儀じゃないですか。でも、いつもそう捉えてもらえるわけじゃなくて、「北村さんはワガママだ」っていうレッテルがついてくるわけ。でも嫌われるのも好きですからね、私。(上記インタビューより)

この日のトークセッションでも、上記インタビューと同様のことを北村さんは繰り返した。聴き手であり、仕事を一緒にする機会が多いカメラマンの鈴木親(ちかし)さんも、「北村さんは、自分が手がけた俳優さんが売れたら、ほっぽり出しますよね」と言い、「もう、そこに私がするべき仕事はないから」とキッパリ答える。その真摯な横顔を見つめ、やはりいつか仕事をご一緒してみたいと思った。

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SHE MOVES MOUNTAINS.

今回のノースフェイスのキャンペーンのコピー。山好きとしては、とても好きなフレーズだ。意訳するなら、

わたしが動けば、世界は動く。

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私も動き続ければ、北村さんと仕事でご一緒できるように世界は動くのかもしれない。まだ、しばらくジタバタしてみようと気持ちを新たにした2019年の年末。



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