見出し画像

【書籍編集者の「編む」以外の仕事】一冊の書籍を送り出すまで

発売まで、11月11日に発売する芸人りんたろー。さん初書籍『自分を大切にする練習』を担当している。

普段、雑誌の編集者をしているのだが、はっきりいって作業がかなり分業されているところがある。書籍では、編集部で分業している作業のほとんどが自分ひとり作業になるので、その度に「やること多すぎる!」とおののいている(年に1冊ペースの担当なので、毎回、新鮮におののいている自分もどうかと思う苦笑)。

企画し、著者に原稿をいただき、デザイナーにレイアウトを発注し、内容を編集する。それらは、ぼんやりイメージできると思うので、今回は「編む」以外のことを中心に

書籍担当者として就職活動される方などの参考になればと(出版社や部署、扱うジャンルでも異なると思います)。もちろん忘れっぽい自分の備忘録としても。

作る

紙を決める

内容に合わせて使用する用紙をデザイナーさんや営業部署などに相談しつつ決定します。今まで手にしてきた書籍イメージのストックを自分の中にいかにためておくかは重要な気がします。

束見本をつくる

用紙を決定したら、実際の製本方法と同じ工程で、白紙でサンプルを作ります。実際の厚さやめくりやすさをチェックします。

試し刷り

カバー、中面など、実際の用紙と加工で試し刷りをします。

束見本に試し刷りをまいてチェック。


色を決める

今回はテキストメインのモノクロページ(スミ1色)を2色で展開することにしたため、2色目となる特色をどの色にするかを決定するため実際使用する紙に試し刷りを。小さい文字でも可読性はあるか。濃度を落とした時の色の出方はどうか、などチェックします。


磨く

原稿の推敲

原稿をいただくまでも大変ですが、それを著者と共に磨き上げる作業も、時にそれ以上にカロリーがかかります。著者、(いる場合は)監修者、デスク、校閲、営業部署などにゲラを読んでもらい、意見や赤字を集約し、時に言葉を紡ぎ直したり、構成を変えたり。

今回は、赤字を入れる作業は合計3回で進行しています。


届ける

創って半分、届けて半分。編集者の仕事は「創って半分」の部分だけと思いきや、「届けて半分」も編集者の仕事です。売るためには、むしろ、そちらの方が大切な半分と言ってもいいくらい。担当した書籍のことを、著者以上に把握している(というか、俯瞰から見られる)わけなので、「どうやってその魅力を伝えるのか(つまりはどう売りたいのか)」を理解している編集者が体重をのせて行ったほうが良いと私は考えています。

書籍発売をアナウンス

発売前にリリースを作成し、それをまいて、ネットメディアなどを中心に媒体に取り上げていただきます。


帯コメントをいただく

どなたに書いていただくか、著者と相談しながら決定します。作品のいわば宣伝隊長的役割をどなたに担っていただくかは、たくさんの方に作品の魅力を届ける上で、かなり重要な意味をもちます。帯コメントをいただく場合は、ゲラを読んでいただくため(たいていご多忙な方に依頼することになるので)、やはりできるだけ余裕をもった進行を心がけることも大切かな、と思います。

今回は、りんたろー。さんが尊敬し、お世話になってきた先輩芸人・山里亮太さん一択でした。


特典案や書店施策を考える

書店ごとカバーを替えたり、ネット書店ごとに特典を替えたり、イベントをセッティングしたり。見渡せばたくさんの施策が走っているのがわかるかと思います。それを考え、提案するのも編集者の仕事(もちろん著者からの提案がある場合もある)です。

今回は、ファンクラブ用(EXITはファンクラブが存在するお笑い界では稀有なコンビ)カバー、その特典を著者と考えました。


公式SNS運用



もちろん、「編集者ひとりでやっている」わけもなく、それぞれの作業の先にいろいろな方達に動いていただいている。それはそれはたくさんの方に!

=====================

発売まで残り1ヶ月を切り、これからもっともっといろいろな作業が発生するので、ご興味ある方は、ぜひ公式アカウントをフォローして、流れをチェックしてみてください。

【追記】




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?