
【書籍編集者の「編む」以外の仕事】一冊の書籍を送り出すまで
発売まで、11月11日に発売する芸人りんたろー。さん初書籍『自分を大切にする練習』を担当している。
普段、雑誌の編集者をしているのだが、はっきりいって作業がかなり分業されているところがある。書籍では、編集部で分業している作業のほとんどが自分ひとり作業になるので、その度に「やること多すぎる!」とおののいている(年に1冊ペースの担当なので、毎回、新鮮におののいている自分もどうかと思う苦笑)。
企画し、著者に原稿をいただき、デザイナーにレイアウトを発注し、内容を編集する。それらは、ぼんやりイメージできると思うので、今回は「編む」以外のことを中心に。
書籍担当者として就職活動される方などの参考になればと(出版社や部署、扱うジャンルでも異なると思います)。もちろん忘れっぽい自分の備忘録としても。
作る
紙を決める
内容に合わせて使用する用紙をデザイナーさんや営業部署などに相談しつつ決定します。今まで手にしてきた書籍イメージのストックを自分の中にいかにためておくかは重要な気がします。
【制作現場より/紙を選ぶ】
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) October 4, 2022
内容(例えば、写真が多いのか、テキスト中心なのか)予算、在庫状況……たくさんの候補の中から使う用紙と厚さを決めます。同じ「白」でも色みも質感も違うので悩ましいですが、楽しい作業です。(スタッフ)#自分を大切にする練習 #ジブタイ #りんたろー #膝も大切に pic.twitter.com/1oWNy5mkMI
束見本をつくる
用紙を決定したら、実際の製本方法と同じ工程で、白紙でサンプルを作ります。実際の厚さやめくりやすさをチェックします。
【制作現場より/束見本を作る①】
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) October 8, 2022
表紙と見返し(表紙の裏に貼られている紙)や本文など、本番と同じ用紙、同じ製本方法で作るサンプルのことを「束見本」と言います。
実際の厚みやめくりやすさなどをチェックします。(スタッフ)#自分を大切にする練習 #りんたろー #ジブタイ pic.twitter.com/7WkjIdsxTn
試し刷り
カバー、中面など、実際の用紙と加工で試し刷りをします。
【制作現場より/カバーの試し刷り①】
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) October 10, 2022
色味をチェックします。
通常版は温もりを。ファンクラブ版はツヤ感を。使用する「紙」も「加工」も変えます。
発売1ヶ月前! ファンクラブ版は受注生産で注文は15日までです。https://t.co/TL0UZjpwfj#自分を大切にする練習 #ジブタイ #りんたろー pic.twitter.com/eXOZP5poNQ
束見本に試し刷りをまいてチェック。
【制作現場より/カバーの試し刷り②】束見本にカバーをかけて。書店の棚を想像しながら、他の本と並べてみたりします。「どんなふうに手に取ってもらえるかなぁ」などと想像するのは楽しいです(スタッフ)
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) October 11, 2022
ファンクラブ版→https://t.co/LXXDY8ayRL#自分を大切にする練習 #ジブタイ #りんたろー pic.twitter.com/MZUkZ5XiKV
色を決める
今回はテキストメインのモノクロページ(スミ1色)を2色で展開することにしたため、2色目となる特色をどの色にするかを決定するため実際使用する紙に試し刷りを。小さい文字でも可読性はあるか。濃度を落とした時の色の出方はどうか、などチェックします。
文章メインのページはスミ1色(モノクロ)ではなく、楽しく読み進められるようスミ+特色(通常の印刷工程では表現できない色のインク使用)の2色で。
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) October 15, 2022
2色目は #りんたろー。さん含め満場一致でグリーンに。3種のグリーンを濃度違いで試し刷り。(スタッフ)#自分を大切にする練習 #ジブタイ pic.twitter.com/fsqV7oFeNt
磨く
原稿の推敲
原稿をいただくまでも大変ですが、それを著者と共に磨き上げる作業も、時にそれ以上にカロリーがかかります。著者、(いる場合は)監修者、デスク、校閲、営業部署などにゲラを読んでもらい、意見や赤字を集約し、時に言葉を紡ぎ直したり、構成を変えたり。
今回は、赤字を入れる作業は合計3回で進行しています。
【制作現場より/ゲラを読む】
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) September 29, 2022
仕事の合間に。表の顔と裏の顔を激写📸
笑い上戸だけでなく、校正用に刷った出力紙のことも「ゲラ(ゲラ刷り)」と言います。著者、編集者、校閲さんなどで、全体の構成を冷静に見渡しつつ、誤字脱字などをチェックしていきます。正念場!(スタッフ)#EXIT#りんたろー pic.twitter.com/9sx1mceMxs
届ける
創って半分、届けて半分。編集者の仕事は「創って半分」の部分だけと思いきや、「届けて半分」も編集者の仕事です。売るためには、むしろ、そちらの方が大切な半分と言ってもいいくらい。担当した書籍のことを、著者以上に把握している(というか、俯瞰から見られる)わけなので、「どうやってその魅力を伝えるのか(つまりはどう売りたいのか)」を理解している編集者が体重をのせて行ったほうが良いと私は考えています。
書籍発売をアナウンス
発売前にリリースを作成し、それをまいて、ネットメディアなどを中心に媒体に取り上げていただきます。
EXITりんたろー。初の著書『自分を大切にする練習』刊行! 芸人として二度売れたチャラ男の苦悩と奮闘の軌跡https://t.co/9NT7wiB2dy#FANYマガジン
— FANYマガジン (@fany_magazine) September 29, 2022
帯コメントをいただく
どなたに書いていただくか、著者と相談しながら決定します。作品のいわば宣伝隊長的役割をどなたに担っていただくかは、たくさんの方に作品の魅力を届ける上で、かなり重要な意味をもちます。帯コメントをいただく場合は、ゲラを読んでいただくため(たいていご多忙な方に依頼することになるので)、やはりできるだけ余裕をもった進行を心がけることも大切かな、と思います。
今回は、りんたろー。さんが尊敬し、お世話になってきた先輩芸人・山里亮太さん一択でした。
【#山里亮太 さん推薦コメント】
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) October 1, 2022
「そんな事があったのか?? そこまで話してくれるのか?? 読んでいて流れ出る涙で洗顔したくなる、という初めての感情に出会えた本です」
ずっと前から「帯は山里さんに」と言われていました。素敵なコメントをいただけ、一同感無量です(スタッフ)#りんたろー pic.twitter.com/ist2XqFSTr
特典案や書店施策を考える
書店ごとカバーを替えたり、ネット書店ごとに特典を替えたり、イベントをセッティングしたり。見渡せばたくさんの施策が走っているのがわかるかと思います。それを考え、提案するのも編集者の仕事(もちろん著者からの提案がある場合もある)です。
今回は、ファンクラブ用(EXITはファンクラブが存在するお笑い界では稀有なコンビ)カバー、その特典を著者と考えました。
【entrance会員限定特典】
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) October 15, 2022
①ファンクラブ版カバー限定仕様
「激レア #かねちー 」がカバーのどこかに潜んでいます(到着までのお楽しみ)!!
②特別特典動画(『VOCE りんたろー。美容道』約2年分のメイキング動画・約38分間)が閲覧可能なQRコード付き pic.twitter.com/5bi2QsapaI
公式SNS運用
今日から公式アカウント始動します。
— EXITりんたろー。初書籍『自分を大切にする練習』11月11日発売【公式】 (@Rintaro_1stBOOK) September 28, 2022
1冊の本ができあがるまでにはいろいろな工程があります。進捗の最新情報とともに、書籍ができていく過程も楽しく(時に苦労話も⁉︎)発信できれば、と思います。
これからしばらくの間よろしくお願いします。(スタッフ)#EXIT#りんたろー @rinnxofficial
もちろん、「編集者ひとりでやっている」わけもなく、それぞれの作業の先にいろいろな方達に動いていただいている。それはそれはたくさんの方に!
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発売まで残り1ヶ月を切り、これからもっともっといろいろな作業が発生するので、ご興味ある方は、ぜひ公式アカウントをフォローして、流れをチェックしてみてください。