「できること」やるんじゃなくて、「できないこと」やるんだよ
『佐々木、インマイマイン』を観た。
映画を観終わった後、脳内に流れたBGMは(作品中に印象的に使われる、楽曲ではなく)、ブレッド&バターの『あの頃のまま』だった。
人生のひとふし まだ卒業したくないぼくと
たあいない夢なんか とっくに切り捨てた君
私は地方から東京に出てきた。地方から出ることを選択することも、選択しないことも自由であった。
けれど、「地方から出る」「夢を追う」という選択肢を自分の人生から完全に抹消している層、想像もしえないという層がいる。自分の人生において、何かを選択する余地は残されていないと思うしかない生活を強いられている層がいることを思う。完全無欠の青春映画でありながら、現代社会が抱える格差問題への問いかけもぬかりない。
「自分の人生、これでいいんだっけ?」と思ったところで、他者から見ればそんな自分の生き方が青い芝生に見えたりもしている。笑っているのに泣いているような。青春がもつ、そんな二面性が苦しい。
青春というモラトリアムへの終止符。喪失、そして、再出発の物語。
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【余談1】
この映画を観て、とてつもなくカラオケに行きたくなって、昔、好きだった曲を熱唱したことをお伝えします。
【余談2】
主人公の藤原季節さん見たさで観賞したところもあるのですが、断然、佐々木役の細井岳さんがいい! 例えるなら、『ダークナイト』における、クリスチャン・ベールとヒース・レジャー的なコントラスト。俄然、注目!