「メンズ美容」が、「美容」と呼ばれる日まで
メンズメイク、メンズ美容、美容男子について、いろいろ考えている。
「美容は女性のもの」が当たり前だから、男性と組み合わせると意外性があり、新鮮な価値創造となる。他にも、料理男子、理系女子……などなど。
ジェンダーが闊達に議論される今、○○女子、○○男子というようなワーディングには限界が来てると思う。もちろん、これまでそうしたワードを無意識に作り出し、発信し続けてきた自覚はある。自責の念をこめ、これからはきちんとアップデートしなくては、と近頃はかなりセンシティブに思案するようになった。
約半年前、「男性の美容がもっと当たり前になればいいな」と、EXITりんたろー。さんと美容メディアの『VOCE』webサイトで連載をスタートさせた。
りんたろー。さんは、今、「当たり前」とされる価値観をグイと先頭で「あっちにはもっと楽しい世界が広がっていますよ」と朗らかに牽引していただくキャラクターとして一目惚れをした。こんなに適役な人は他にいないなぁ、と今でも自分の瞬発力だけは褒めてあげたい。
そして、メンズ美容の次の段階としては、その「当たり前」のド真ん中にいる方に動いてもらうことが大切だと考えていた。そして、先日、「この方たちしかいない!」と、ずっとお声がけしていた方たちと遂に企画をご一緒することができた(記事公開はもう少し先になります)。りんたろー。さんが先頭から軽やかに「こっちだよー」していただく役なら、彼らは内側から、その足腰の強さと求心力で、「一緒に行ってみようぜ」と引率してくれる役。そんなイメージである。
「なぜ、私はこんなにもメンズ美容というカテゴリーに力が入るのか?」と、ふと考える時に、必ず読み返すコラムがある。
男らしさの抑圧は「なぜ日本の中年男性はセルフケアが下手なのか?」問題と同根です。当事者として語りますが、男性の身体は固く、鈍感でなければならないとされている。もっと言えば、男性は男性の身体を嫌悪している。だから身体性にうとい。
このnoteを読んだ時に、「これか!」と自分なりに自覚した(そして、鎌塚さんにもVOCEでの連載のオファーを出した)。
男性がセルフケア上手になれば、日本における「ケア労働」の当たり前が変化するのではないか?
それが私の手前勝手な仮説でなのである。
企画のお披露目はまだ先になる。りんたろーさん連載とこの企画の点と点を結んだ延長線上には、あえて“メンズ”美容というワードを使わずとも済む世界が。そして、その世界線には、きっと女性がメイクをすることを強制されない世界が広がっている。
先ごろの撮影を終え、その日の清々しい天気同様、視界がクリアになったように感じた。
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