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「何も起こらない」がいい

師走。昨年の記憶よりは凪だけれど、やはり忙しない気持ちになる。で、選ぶのは、日常の延長線上のような(あくまで、ような!)ムードのフィクション。

映画『WALK UP』
劇場公開時は見逃していたホン・サンスの新作が配信に。中高年男女がちょっと浮ついている感じで続ける会話がおもしろい。脚本とアドリブの境目が本当にわからない。作品と同じように、ワイン片手に昼下がりに観たら、こっちとあっちの境目もわからなくなりそう。


ドラマ『すいか』

「生涯No.1ドラマ」との呼び声が高いが、ずっと観る機会がなく、Tverに来たので(最近、Tverの名作の配信数がすごい。年末年始対策?)観る。「小林聡美」で連想できる通りのコメディ展開なれど、20年前にこの目線のドラマがあったのか、とセリフたちに感心しながら見ている。女性たちのシェアハウスもの。市川 実日子がとにかく可愛い。

海外ドラマ『サムバディ・サムウェア』

あらすじには、「大好きな姉を亡くしてから、深い喪失感と孤独感にとらわれ、無気力な生活を送っていた中年女性の姿を通し、家族や仲間と向きあうことの大切さと希望と再生を描く」とあるが、市井の人々の雑談のようなテンションがすこぶるおもしろく、温かい。

「最初と最後で人間(キャラクター)に変化がおこっていれば映画になる」というような話を聞いたことがあるが、出来事はほぼ何も起こっていないのに、キャラクターに確実に変化が起こっていることを表現するのって、本当にすごいことだよな、と感心しちゃう3作品。特に、シーズン3が配信されたばかりの『サムバディ・サムウェア』は本当に愛しすぎる大名作。日常で昂って、ちょっと荒くなってる呼吸も観てるうちにスーッと楽になる。なんならツーッと涙がつたう。


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