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セヴェンヌの甘い玉葱
玉葱とは食生活において、なくてはならない存在。我が家でも必ず常備しているものであるし、大抵の料理に使う。
フランスには数種類の玉葱が存在するが、通常オニオン・ジョーヌ(イエローオニオン)を、そして時々オニオン・ルージュ(レッドオニオン)を調味料の様に使う。
そんな平凡な私が最近虜になったのが
セヴェンヌ(Cêvennes)の<スィートオニオン(オニオン・ドゥー)>である。
以前は殆ど仕事と重なって縁が無かったのであるが、2020年以降時間に余裕があり、年2回の近所で開催される生産地直売マルシェに顔を出すようになった。
このマルシェは各地から野菜、果物、 ワイン、チーズなどの生産者が直接販売に来るので値段は決して安くはないと思うが新鮮な美味しい産物を味見したり購買出来るので人気である。
私は初めて来た時はドライのブリューンとチーズをゲットして、そう言えば酒類は味見をしたものの結局買わなかったなあと今思えば後悔している。
毎回買い損ねているのはベルジュラックの地ビールである。回を重ねる毎にファンが増えてきているので、今度こそはと思う。
その際に行列で目についたのはシャルキュトリー(ハム、ソーセージなど)と栗屋(栗粉のクレープやモンブランなど)、そしてスィートオニオンである。
そのうちスィートオニオン屋ではベニエ(この場合、天ぷらと言うよりかき揚げに近い)のいい匂いが私を誘っているのに気がついた。困った。
やはりその場で買ってすぐに食べないと美味しさ半減だろうと思うと、このマスクが邪魔である。直ぐ側で若い女の子たちがマスクを外してむしゃぼりついていた。
流石に私には出来ないと思い、その時は諦めた。
そんな理由で二回目のそのマルシェでの私は気合が入っていた。
一周りして写真を撮って、欲しいものをゲットしてからスイートオニオンのスタンドの列に並んだ。
10分位で私の番がやって来た。
「一つください。」と希望に満ち溢れた声になっていたのが自分でもはっきりとわかった。
ステンレスの容器の中には揚げてから少し経ったらしきベニエがたくさん入っていた。そしてすぐに揚げたてが到着したので当然私の視線はそちらの方に。
係の人はチラッと私を見て、その真剣な眼差しに気がついたようで、うまい具合に両方を混ぜてくれた。
さて、勿論揚げたてをその場でかじる。
「サクッ。」いける!これはいい。
急いで帰宅して食べ続ける。
気に入った。
結局少しくらい冷めても美味しいと言うことが判明した。
玉葱独特の感触を残しながら柔らかくジューシー。また玉葱特有の刺激が口の中に残らずに甘味が程よく広がる。
レシピはここのオリジナルかと察し、メモして家でインターネットで確認したら、なんといくつかのサイトで同じような作り方を載せている。
基本的にはスイートオニオンをカットして、ひよこ豆粉(ベサン粉)、白胡麻、コリアンダー、スパイス(好みのもの)、塩、水で衣を作って揚げるのだがスイートオニオン以外に粉が手に入りにくいかもしれない。しかしながらこの2点が決め手になる故、致し方ないであろう。
やはり私の場合は年に2回このマルシェに来ることになるであろう。
スィートオニオンはセヴェンヌの名物であり、この土地でしか育たない。何故ならこの下の写真のようにテラスと呼ばれている傾斜地で栽培されているからこそできるものであって、この条件を満たしていないと育たないからである。
また、当然機械は殆ど使わずに手作業で手入れから収穫まで行われる。
土壌に関しても粘板岩の砂質酸性と定まっている。
セヴェンヌはフランス南部の山地であり、地中海性気候の恩恵を充分に受けている。収穫は8〜9月に行われる。
玉葱は販売前に外皮を除いてさらに丁寧に中身を選別する。だから写真の様に白く見えるのである。
フランスでこの様な玉葱を栽培しているのはこのセヴェンヌ山地だけであるが、段々畑は中世に僧侶達によって耕されたものである。この傾きが日差しを受けるのに好都合なので充分な日光を浴びて甘味のある美味しい玉葱が出来るのであろうな。因みにマルシェではベニエの他に瓶詰めスープ、オニオンコンフィ、チャツネなども販売されていた。
また、生でも美味しく食べられるそうだ。
「わー、セヴェンヌ行って見たい。」と、例えショッピングタイムが少なくなっても自然が好きで(この場合は海より山)ちょっとくらい厳しい気候に出会っても負けない、そして何より地元の人とのふれあい、素朴で美味しい料理が食べたいという人には良いかもしれない。
アーティストの中にもここの自然に魅せられた人が数人。
今回特にティエリー・ヴゾン(Thierry Vezon)のフォトグラフィーを紹介しよう。
3作品ともセヴェンヌで撮影されたものである。これがフランス?という印象を持つかもしれない。確かにパリとは大違いで自然の美しき、厳しさなどあらゆる面が目の前にこの様に広がったら人生観まで変わってしまいそうな。
こんなところでスィートオニオンは育っているのだ。
最後に、忘れてはならないのがコンフレリーの話し。
コンフレリーについては以前noteの記事で紹介しているので良かったらザッと目を通して頂けるとわかりやすいと思う。
<コンフレリーへの期待>というタイトルでフランスのガストロノミーの宣伝・促進に貢献している選ばれた人々と、その活動について書いている。
セヴェンヌのスィートオニオンにも2018年以来コンフレリーがいる。私は実はこのユニフォームが欲しいのでやがてはメンバーに入れてもらおうかと密かに企んでいる。特にこの玉葱マークがお気に入りである。
もし賛成して貰えるならセヴェンヌのスィートオニオングッズを作って身につけパリを宣伝して歩きたいと思っているくらいだ。
ふざけているのではなく、それ程フランスにはあまり知られていなくてももっと広く、そして多くの人に評価されるに相応しい産物がまだまだ存在しているのであると言う事を声を大にして伝えたい。
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