たかが1票されど1票~投票への想い~
1.第9期スタート
令和3年4月から、第9期毎日ビデオジャーナリズムラボは、
スタートした。期間は6ヶ月。
講義内容としては、個人の発信力を映像などを使って
高めるプロジェクトだ。
しかも、ZOOMを使用するオンライン開催という。
講師陣は、毎日新聞客員編集委員の小川 一さん。
令和メディア研究所主宰 下村 健一さん。
ジャーナリスト/NPO法人「8bitNews」代表の堀 潤さんの三人が講師を務める。
今期は撮影や編集技法がメインになるという。
今期には、聴覚障害の受講生もいる。
ZOOMの講義どうするんだろう・・・
誰かサポートしてくれる方がいるのかな・・・と漠然な不安はあった。
私だって、ZOOMで喋るとなると緊張して喋れない。
チャットで文字入力も片手で遅いし。
それでも全然OKと受け入れていただいた受講生や
講師陣、事務局には感謝しかない。
2.合理的配慮
そして、2回目の講義の時、事務局が発言の概要を
試験的にZOOMのタイムラインに流すという。
勿論、合理的な配慮は必要だが、概要は松崎さん1人で対応するという。
人間の集中力は、1時間が限界と言われる中、
2時間の講義は大変だと思う。
大丈夫かな・・・心配しながら講義を聞いていた。
松崎さんとて、編集者で仕事であるし、
必要ならやらざる得ないだろう。
しかし、ここまで大きな負担をかけていいのか。
私は、ZOOMで字幕がつけられる方法を探した。
ZOOMも聴覚障害者の配慮として、
英語のみの字幕がつけられるテスト中というのを、
見つけたが間に合いそうもない。
他にもリモート時代を反映した字幕サービスがあったので
松崎さんに知らせた。
「検討します」との松崎さんからの返事。
技術に頼るばかりではいけないけれど、
頼るところは頼ってもいいと思う。
3.撮影テスト
アクションカメラの練習もしないといけないな。
今度のは、wifi接続すれば撮影動画をアプリで見れるらしい。
担当者に以前親身になって相談に乗ってもらったので
機会があればと購入したものだった。
私には、郵便による不在者投票(以下郵便投票)が
認められていて、郵便等投票証明書が交付されている。
自宅での郵便投票の様子を撮った。
あとで、使用するとは思わず整理整頓もしてないし、
投票証明書の通し番号が丸映りで、後で後悔するとは
この時は思っていなかった。
4.唯一の社会参加
私は、無職で家に居た時期がある。
その時期、投票するという事が唯一の社会参加だった。
だから棄権だけは、絶対したくないという思いは強い。
5.投票したい~期日前投票~
ある時、選挙前に証明書を紛失した。
住所地の選挙管理委員会事務局に問い合わせると
今回の選挙では、証明書の再発行が間に合わないという。
投票するには、どうすればいいのかと聞くと
期日前投票所だと、バリアフリーの場所が多いという。
私は、期日前投票をした。
また、10年以上前は、別の出張所に勤務していた。
その出張所は、選挙になると期日前投票所と
当日投票所が設置されていた。
投票所では、投票する方と投票が終わった方の導線を
分ける必要があるという。
その当時は、当日の投票で帰りは職員通用口の
階段を使うしかないと聞いていた。
期日前投票所を開設していたある時、同僚の職員が
私を呼んだ。
「あの席のお客様が、四つ葉さんに聴きたい事があるっていうんだけど」
「わかりました。行って来ますね」
カウンターに向かい、話を伺うと
病気で車いすになった家族を、当日の投票に連れてくるけれど
帰りは階段の簡易スロープを、職員に介助して貰うのは申し訳ない。
選挙管理委員会事務局に、何か方法はないか聞いたが
郵便投票には、該当しないという。
私に聞けば何か方法があるのではないかと思ってと。
投票したいという家族の気持ちも理解できるし
簡易スロープの介助にためらうのも理解できる。
私は、「ここまでは来れるんですよね?」と
確認し、期日前投票所を示した。
期日前投票所なら、心配の簡易スロープを使わないで帰れますよと
すると、お客様は暫くして、ご家族を連れてこられ
無事に投票が済むと
ありがとうと心が軽くなった顔で帰られた。
6.救世主マリオ登場
以前眼鏡のお客様に
こちらに書いてありますとポスターを示した。
するとお客様は
「見えにくいのよね・・・」と。
区役所のポスター作成でも
目が見えにくい方でも見れるフォントはあるのだろうか・・・
Schooの勝てるデザインで質問してみた。
進行の徳田葵さんが
「ちょっと話がずれてしまうんですが」
と前置きをして質問を拾ってくれた。
私が質問したのが、
デザイン界のマリオで紙を愛す魔法使い(私が呼んでいるだけ)
株式会社NASU 代表取締役
前田高志(まえだ たかし)さんである。
前田さんは、デザインはデザイナーだけのものではない
誰でもデザインを考える時はある。
という姿勢の持ち主だ。
街や商品に自然と溶け込むデザインが
前田さんの最大の魅力だと、私は思う。
Schooの「勝てるデザイン」で、私の悩みに前田さんは
「この本(勝てるデザイン)の装丁に使われているMDゴシックなんかは
すごく読みやすくて分かりやすい書体ですね。
あと、ユニバーサルデザインって言って、最近だとフォント名の前に
UDって書いてあるフォントがあって、
それはフォントが小っちゃくなっても可続性が保たれるデザインに
設計されているので、そういうのもお薦めです。
とわかりやすく説明してくださいました。
(録画授業は有料会員のみ視聴可能です。予めご了承ください)
それからはUDフォントを使うようにしているし
今回の動画でも郵便投票の該当者の表で手帳等の見出しに使っている。
他に字幕とかも使いたかったが、時間が無くなり断念した。
7.投票の動画
新型コロナウイルスの感染拡大の状況がひどくなり
何処か遠くへなんて難しい。
私は、以前撮った郵便投票と、郵便投票に該当しない方に
期日前投票を提案する動画をつくる事を決めた。
ここで、決めたのは決して批判では無い事。
現行制度を変えるのは、国であるが、
批判をすれば、地方自治体の選挙管理委員会事務局に
見た方の怒りがいきかねない。
区民の方は、国や都の制度であっても、
まず区役所の窓口に来る方もいる。
不要な仕事を増やすのは、本意ではないので
出来ないというよりは、現行制度の中で方法を示すなど
細心の注意を心がけた。
8.モザイクが上手くいかない・・・
私が使っている動画ソフトでは、画面の1部にモザイクをする場合
モーショントラッキングという追跡機能を使うらしいが
対象物が画面から一旦離れると再度やり直し。
しかも全体の動きを考えないと途中でモザイクが外れてしまう。
郵便等投票証明書なんて、有効期間以外、住所・名前・通し番号
など個人情報だし。
考えなく置いて撮影したので、映り込んだのを
モザイクで消すのは大変で、1日かけても全然ダメな日が続いた。
動画を諦めて、静止画に変更した箇所もある。
誰か助けてなんて言っても助けてくれないが
もうすぐ、衆院選もあるし、何とか今期の発表会に出したかった。
もう少し考えて撮影していれば・・・
今更後悔しても、後の祭りを痛感した。
みんな人生ほんまいろいろあるけど、起こること全てには意味があるから
理由があるから、怖がらずにビビらずに行きましょうや。
俺ら兄弟やし、うちら姉妹やし。
みんなこの宇宙っていう大学の生徒やから。
藤井 風
~Fujii Kaze "Free" Live 2021 at NISSAN stadium~引用
寝過ごして、朝食を食べずに飛び出し、コンビニで買ったパンケーキが
温め専用と食べた後、気が付いたり。
ダメだなと思っても、仕事になれば何とかなったのが救いだった。
そして、提出期限日のAM2:00過ぎ、何とか動画を完成させた。
その動画が~未来への希望~投票である。
冒頭は自分の体験を話した方が、興味を持ってもらいやすいかも。
投票用紙の取り出しは、困る方多いだろうな。
でも、今回は当事者感覚を薄くし、制度と提案を見て貰えるように
1部分のテロップを大きくして、自分がどう撮ってるのかよりも
動画を見て貰えるようにしよう。と考えた。
9.作品発表会
寝不足で始まった作品発表会
堀講師は
「なるほどな~
こういうのも当事者目線で追ってみるといろんな気づきがありますね~」
小川講師は
「四つ葉さんの前の作品もそうですけど、部屋から入ってこう行ってく。
また、郵便投票は初めて見たんですけど、とても勉強になりました。
あれこれ冒頭のシーンはいつ取られたんですね。四つ葉さん。
最近ですかあれ?
(答える代わりにチャットを書く私。)
(様子を見る下村&堀講師)
いらっしゃるかな・・・
毛糸を着ていらっしゃるし
(身ごろだけ毛糸で袖はブラウスというややこしい秋物を反省)
前々前の選挙かなと思って、その時から撮り溜めされてこられたとしたら
年季がはいってるなと思って見たんですけど。
まあそれは感想です。
非常に本当に当事者目線がしっかりしてて
良かったなという風に思ってます。」
この後、堀講師からチャットもありますから、
良かったら活用してくださいとのアドバイスもありました。
下村講師は
「例えば、封筒がきちきちで取り出しにくいとか、
ああいうところがリアリティーなんですよね。
なんかその、制度の説明しか出てこないんですけど
本当に当事者の人が感じているちょっとした不自由だったりとか
そういうのが入ることでとてもリアルになってて
あれをこう拾ったていうのは、良かったと思います。
あっ今チャットがきましたね。四つ葉さんから
撮ったのは最近。投票は7月の選挙を撮りました。
ということですね。
あとは、初めて四つ葉ワールドに触れる人には
あっこれ車いすで動きながら撮っているなって事が
やっぱりちょっとわからない。
もう僕たちみんな知っちゃってるけども
(確かに8期生と9期生の反応が違う。)
だから最初に車いすで外に出てくる時に
1回車いすの例えば膝をこう撮るとかね。
そうやってあっ今この状況を撮ってるんだいうのを
判るのを1カット入れてあげると
見ている人により親切かなというところは
そういう工夫もあってもいいかなと思いました。
あと1個だけ言うとすると
よくみんな僕たちやっちゃうんですけども
カメラに向かってこうやって今喋る時に
そのカメラがうんと下の方に置いてあると
凄いこう見下ろしてやってる
偉そうな映像になっちゃうんですよ
(ZOOMの画面に、まさに!の方がいて納得・・)
だからそれは今、ちょっと下の方だったんで
目線がちょっともう一工夫するといいかなと思いました。
カメラを台の上に乗っけるとかして水平にすると
相手は実はカメラじゃなくて、見ている視聴者ですから
相手の人を見下ろすか、同じ目線で話すか
結構気を遣ったら、よりよいポイントだと思います。
と講評されました。
携帯の録画ボタンを押すのに丁度いい位置だけど、見下ろしているかなと
秘密兵器買ったのに、使えばよかった・・・買って満足するタイプの私。
そして、当事者意識を薄くしたつもりなのに・・・
と講評に崩れ落ち、もう少し客観的に統一するべきだったかな。
でも、批判には見られてなくて一安心と。
10.必要な時に見て貰えればいい
残念ながら受賞は逃しましたが
しかし、考えれば怪我や病気で身体が不自由で
当日投票所に行けない。どうしようと思った時に
この動画を見て貰えればいいかなとも思う。
この間対応した区民の方は
着替えさせるのが大変で、何か方法がなければ
棄権させてもいいかなと思っていると言っていたし。
介助される側にも左右されるから、
外に出かける事があれば、期日前投票できればいいなと。
この他にもいろいろ制度があるようです。
参考までに。
ここまで、長い文章をお読みいただいた読者の皆さま。
お名前使用を快諾いただいた毎日ビデオジャーナリズムラボの講師陣 小川 一さん・下村 健一さん・堀 潤さん。
そして、事務局の松崎 進さん。
デザイナー 株式会社NASU 代表取締役 前田 高志 さん。
第9期毎日ビデオジャーナリズムラボの受講生とゲスト講師さま。
最後に、音楽で支えてくれている藤井 風さん。
ありがとうございました。
よろしければ、サポートをお願いします。 これからも書き続ける活力になります。