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【ローカル新聞コレクション】第4回
「八幡浜新聞」2018年12月12日付
旅先で入手し、自宅に所蔵している新聞を紹介します。今回第4回として愛媛県八幡浜市で発行していた新聞を紹介します。
「八幡浜新聞」の紹介
「八幡浜新聞」は愛媛県八幡浜市を対象にした夕刊紙で、四国地方で最後に残った市町村単位の「地域紙」でした。
ウィキペディアには当該記事がありませんが、新聞社を紹介する外部サイトがありましたので参照までにリンクを貼ります。
この新聞を発行している愛媛県八幡浜市は県庁所在地・松山市から約60キロ離れており、四国から九州へと渡るフェリーが発着する交通の要衝であると共に、伊方原発を擁する伊方町に隣接しています。
この事が、この地のマスコミ事情に影響を及ぼしています。
八幡浜市には2000年代まで地元で発行している地域紙が3紙もありました。
1926年創刊で戦時中の「一県一紙」とした新聞統合で休刊したものの1946年に復刊した「八幡浜新聞」、終戦直後の1945年創刊で2015年に休刊した「八幡浜民報」、1975年創刊と再後発ながら原発に批判的と特徴があった2008年に廃刊した「南海日日新聞」です。
この3紙の攻防を記した論文が公開されていますので、こちらも参照します。リンク先はpdfですのでご注意下さい。
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「八幡浜新聞」入手の経緯
この新聞の存在を知り、当時はサービス業勤務で原則平日休みで且つ12月中旬は閑散期にあったため、有休を取って富山から羽田経由松山まで飛行機で向かいました。
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八幡浜駅でバスを降り、およそ徒歩15分で新聞社に着きました。
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新聞を無事入手したのですが、実は「八幡浜新聞」は2019年12月末で廃刊となりました。後から知ったのですが、ほぼ家族で新聞社を運営していたそうです。
愛媛県八幡浜市の紹介
「八幡浜新聞」が拠点としていた愛媛県八幡浜市は現在の人口は約3万人。しかし人口以上に拠点性があり、上述の通り四国と九州を結ぶフェリーが発着しておりトラックなどの往来が盛んな他、歴史的にも海上輸送を通じた他所との交流が盛んで「伊予の大阪」と呼ばれる程商業でも栄えていたそうです。
八幡浜市は四国の西の玄関口、演歌「港町ブルース」にも登場する人口約3万2千人の港町です。明治の頃から関西や九州、四国西南部を結ぶ海上交易で栄え、かつては「伊予の大阪」と謳われていました。現在も、八幡浜港には大分県の臼杵港・別府港との間に3千トン級のフェリーが1日20往復就航し、昼夜を問わずたくさんの人や車を運んでいます。
また、全国屈指のかんきつ産地でもあり、「日の丸」、「真穴」、「川上」、「蜜る」などのブランドみかんは、価格相場を牽引するプライスリーダーの地位を長く維持しています。近年は、中晩柑の栽培も盛んで、特に「甘平」、「せとか」、「清見」は、高級かんきつとして人気も定着してきました。
さらに、海に面していることから、古くから漁業が盛んで、西日本有数の水産都市としても知られています。イカ、あじ、はも、タイ、あまぎ(イボダイ)、太刀魚、いさきなど水揚げされる魚種は200を超え、高度衛生管理型の魚市場から毎朝、東京豊洲市場をはじめ全国の消費地へ出荷されています。
更に四国有数の漁港を擁し水産加工業も盛んです。「じゃこ天」は八幡浜市の特産として知られている他、平地に恵まれない中でも段々畑でミカンの栽培も行われており、愛媛県内でも首位を争う生産量を誇っています。
「八幡浜新聞」の廃刊により、四国から県域より狭い範囲を取材・販売区域とした「地域紙」が消えてしまいました。愛媛県は四国中央市や今治市など造船・製紙工業が盛んな「東予」、県庁所在地・松山市を擁する「中予」、農業と水産業が盛んな「南予」と分かれており一県といえどもそれぞれの地域に特徴があったのですが、非常に残念です。
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