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【人間関係とマナー】海外渡航・滞在時のリスク対策
タイのホテルのフロントで働いた者による、海外渡航・滞在時のリスク対策。ここでは「人間関係とマナー」について綴ります。
笑顔でのあいさつ
渡航先では私たちが外国人です。
あなたの態度は、あなた個人の印象にも日本人の印象にもなってしまいます。
相手に良い印象を与えるだけでなく、自己防衛(自分を守る)ためにも笑顔でのあいさつは心がけるようにしましょう。
笑顔での挨拶によって、自分が決して怪しいものではなく、他人に心を開いてお話できる人間であるとアピールできて初めて、会話できるようになるからです。
店員さん、ホテルのスタッフさん、コンドミニアムの警備さんや宿泊先で会った他の国からのゲストに対し、目が合ったら笑顔であいさつしましょうね。
中学生にも教えていることですが、あいさつは人間関係の始まり、そして「私は安全です」というメッセージです。
日本人としてのマナー~意外と昭和かもしれません
海外ではその国のマナーを守る方に神経が行きがちですが、日本人としてのマナーも維持していく必要があります。
どんなに海外に長く住んでいても、日本人同士だと日本人ならではのビジネスマナー、お付き合いのマナーが期待されるものです。
長年海外に暮らす日本人の方で、昔ながらの価値観の方もいらっしゃいます。
私が1997年にタイのホテル業界で仕事を始めたとき、その当時で日本の数十年前の考えの方に立て続けに出会い、唖然としたことがありました。
それも無理はありません。日本の古い時代にタイに来られ、長年帰国せずタイに住んでいたら当然そうなりますよね。
その代わり、「目上の方が目下の方を守る」考えがあり、目上の方に助けられたこともたくさんありました。
バンコクのように、海外の日本人社会は意外に「昭和」なところもあるのです。
日本人として働く以上、日本人との関わりは避けて通れないと思います。
現地の日本人にも日本人の観光客にも失礼のないよう、日本のビジネスマナーを知っておく必要があります。
日本では新社会人に対しビジネスマナー研修が行われたりしますが、海外でビジネスマナーは教えてくれる人はほぼいないものだと思ってください。
私は、バンコクに渡る前の5年間の会社生活の中で古き良き日本のビジネスマナーを実践していたので、その点では困りませんでした。
現地ローカルの方への礼節
最近、タイの旅行雑誌のインスタグラムで、#responsibletourismを見かけるようになりました。これからは、Responsible Tourism(責任ある観光)が注目されているようです。
上記ハワイ観光局のサイトにあるように、自分の行動や言動が、現地ローカルの方への負担となっていないか、考えられる人間でいたいです。
現地ローカルの方への礼節を持つようにしましょう。
階級制度、貧富の差・・・相手がどんな状況にいても、一人の人間として尊厳があるのです。
こちらの動画では素行の悪さでタイにSNSやニュースに報道されてしまった日本人についてお話してくださっています。
タイの階級社会で学んだこと~タイ人はタイ人でしかない
1990年代後半、私がタイのホテルで働いたときにタイの現実を見ました。
ホテルという一つの箱の中には、「階級」が存在していました。
フロントやレストランのフロアなどでお客様と直接接するスタッフは、お金持ちの家出身で国内の大学や海外の大学卒業しているなど比較的高学歴の人達。
施設担当や客室係などお客様と直接接しないスタッフは、十分に教育を得られないまま社会に出たような人達。
英語でのコミュニケーションはほぼ不可能です。
中には10代半ばでホテルに雇用されている人もいました。
タイに行く前、私は会社勤めをしていましたが、会社に出入りする清掃スタッフの方や警備の方と時折世間話をしていました。
タイのホテルでは、フロント係と施設係のように立場の違う人同士が雑談する様子を見たことがなかったのです。
それは、ホテルという同じ箱ではっきりと階級が存在していたからです。
それでも、変わらないものがありました。どんな出自であっても、人としての尊厳は同じであるということです。
「自分にとってタイ人スタッフは、タイ人スタッフでしかない」ということです。
相手によって態度を変えることなく人としての丁寧な挨拶と振る舞いを心がけるようにしました。
自分の心の中で、階級制度の撤廃です。
日本人ホテルスタッフは、日本人のお客様が関わるどんな現場でも必ず駆り出されます。
どのスタッフとも連携を取れなければ、お客様のお手伝いをすることができないのです。
この経験は帰国後も役に立ちました。日本だって、多様な社会だからです。
お客様も、働く仲間もそれぞれ違う人間です。
タイを含め海外では私達日本人が考える以上に上下関係、差別や偏見が根強く、生きていることを脅かされることにとても敏感な人達がいるのです。
だからこそ、丁寧な挨拶やマナーは「人として認められた」と安心してもらえるのです。
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良い人とのつながり
渡航先では同性、異性、年齢、国籍に関わらず、海外では良い人とつながるようにしたいですね。
同じ日本語を話す日本人を見るとついつい安心しがちですが、海外にいても自分と合う人、合わない人もいます。
良い人というのは、「笑顔で挨拶ができ、礼儀・礼節を持てきちんとした言葉でお話する人」です。
日本以外の国の人もそういう人が大好きです。
有名企業に勤めている、高い地位についている、お金を持っているなどではなく、人として礼節を持って接することができる人とつながっていただきたいです。
アパートの警備さん、清掃の方、店員さん、そして白人さん以外の方に接する時の態度を見ればよく分かることです。
これまで接客業20年の中で、地位の高いお連れ様に対する態度とお店のスタッフに対する態度が明らかに違う人を複数見てきたから言えることです。
気の合う人は時に危険であるという話
もう一つ、タイにいた頃に知った「気の合う人は時に危険である」というお話をさせてください。
タイのホテルで働きながら、午前中だけタイ語学校に通っていたことがありました。
タイ語学校の生徒さんは、ほとんど日本人ご主人の駐在に帯同して来られている奥さまでした。
日本人ならではの優しさを持った方が多くホッとしました。日本でのキャリアを手放して来られた30~40代の方も多かったので、現地で働く私の話を聞いてくださった方もいました。
タイ語学校に行く日々がとても楽しかったです。このように、本当に良い方がほとんどでした。敢えて強調します。
コースも終わりに差し掛かった頃、終了試験があると聞きました。
その際クラスの一部の方が言った「隣のクラスが先にテストやったから 問題教えてもらおーよ」というフレーズ。
これは、カンニング行為ですよね。
そのフレーズに乗っかっている複数の人たち。私は誘われたかどうかあやふやなのですが、なぜか「私はいいです」と首を横に振り断った記憶だけは、はっきりと残っています。
「事前に問題を知って終了試験を受けたら、今まで早起きしてまで学校に通う必要なかったよね?」
「ホテルの日本人の上司やタイ人の人事の方にカンニングしたことがばれたら、この人たちから笑顔を奪うよね?」
「私も人間なので一時的に自分を良く仕立て上げたい気持ちはわかる。でもやっぱり嘘をついてまで得た点数とか地位とか、すごくもろいだろうし、実力が伴わないし、気持ち悪いし、いらない。」
そう自分に言い聞かせ、自分の今の実力と向き合って終了試験を受けました。
結果は大して良くなかったと思います。でも、そんな私が将来タイ語を教える講師になってるのですから人生不思議なものです。
(2010年〜2024年英語・タイ語講師として活動)
試験問題を事前に見たらまさにザ・カンニングです。それをやったら講師として最大の汚点になります。
他人にばれなくても、自分の中で闇となって延々と生き続けます。
本当にやらなくて良かった。
カンニングは、先生や学校に通わせてくれた人に対する裏切り行為であり、自分の実力を「なかったことにする」行為です。
自分が学校に行くために時間やお金、心を割いてくれた人がいることを忘れていけません。
自分の実力に向き合わないのは、不得意なところを補う機会も、得意な部分に気づく機会も失います。自己肯定ができなくなってしまうのです。
この経験から「気の合う人」というのは、時に危険だと学びました。
自分の考えがよこしまな時、耳の痛いことを言ってくれたり、ブレーキをかけてくれる人に出会ったらラッキーだと思ってください。
よこしまな自分を肯定する人は、一見自分と気の合う人かもしれませんが、イージーな選択をするリスクがあるということです。
自分と気の合う人が本当に良い人かどうかは、自分に聞くと一番分かるのかもしれないとタイ語学校で学びました。
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「察する・察してもらう」ではなく、言葉に出す
私がタイのホテルに入った時に、タイ人マネージャーやスタッフから言われた一言があります。
それは、「あなたが何を考えているのか、あなたが言わない限り皆わかりません。何かして欲しいことがあったら、必ず言葉にして言ってください」です。
日本人特有の「察する・察してもらう」は、ほぼ海外では通じないと思ってください。
考え、生活習慣など、何もかも違う人と過ごす中で相手に察して欲しいのなら、言葉に出して伝えましょう。
日本語での日常生活の中で、言葉に出す習慣をつけていく方がいいですね。
以下の記事もご参考に。
私個人で見て来た範囲のことなので一部偏りがあると思いますが、海外渡航前のご準備にぜひお役立ていただければ幸いです。
また追記事項が発生次第更新して行きます。
それでは、今回はこの辺で失礼します。
最後までお読みいただきありがとうございました。