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音楽をライブで聞くということ

Number Girlが嫌いだった。
初めて聞いたのは、15歳。中三の頃。
学友とバンドを組み、当時かっこいいと思っていた洋楽のバンドのコピーをしていた。兄貴がいる一部の友人達の中で持て囃されていたBlanky Jet Cityと並んでおススメされたのがNumber Girlだった。
友人らの熱は冷めることなく、Red Hot Chilipeppersに加えてBlanky Jet City、Number Girlを主にコピーするバンドになった。

当時邦楽ロックを全く聞いていなかった自分からしたら、(ネガティブ寄りの)なんだこれ…、というのが素直な感想だった。歌詞は意味不明で、音も合っているのかわからない、ただ不協和音を叫んでいるようにしか聞こえなかった。
なので、ナンバガの曲をやるのは気が乗らず、正直あまりCDも真剣に聞いた記憶がない。それでもZEGEN VS UNDERCOVER、CIBICCOさん、TATOOありなどを演奏した。演奏というか、それっぽい音を出した、に近かったけど。
当時は意味不明な日本語をすごく叫んでいる、のが本当に生理的に受け付けなかった。かと言って、みんなが聞いているMr. ChildrenやBUMP OF CHICKENも聞かなかった。流行は嫌い、アングラすぎるのも嫌だ、そんなメンドクサイやつだったのだ。その割にASIAN KANG-FU GENERATIONとかにはハマるし、ゆくゆくはマキシマムザホルモンもヤバいTシャツ屋さんも受け入れるんだけど(それが大人になるということかもしれない)。

そんなこんななバンド活動をしたり脱退したり新しく組んだりして、高三。毎晩聞いていた日本放送のラジオ、ミュ~コミにBase Ball Bearがゲストに来た。信頼する友人が推していたバンドでもあったので、渋谷のTower Recordsでリリイベがあるというのをキャッチして当時付き合う前の彼女と聞きに行った。そこから今に至るまで15年に渡ってハマることになるわけだが、このBase Ball Bearを聞くようになってからNumber Girlの解像度がググっと上がった。元々ベボベ自体がナンバガのn番煎じとか言われてるのを知るのはもう少し後になってから。ベボベを聞いて当時は右から左へと通過していったナンバガの曲たちのエッジが輪郭が見えてきたのだ。特に、透明少女とIGGY POP FAN CLUB。自分の中でも上位の好きな曲に昇華した。

こう考えると、オタクを育てるにはいくつかのパターンがある。谷底に突き落として帰ってきたら屈強なオタクだったというパターンと、上手な撒き餌をタイミングよく置いていき熟成されたオタクを育てるパターンと。自分の周りはスイッチ押したら気づいたらオタクだった、というパターンが多すぎるのだが、自分は確実に熟成タイプなので周りのみんなはもっと自分を丁寧に育てて欲しい。こういう自己のタイプを知っておくことは人生に取って大事だよなぁと非常に思う。

そして時代は飛んで、2016年。前年にBase Ball Bearのギターが脱退、サポートギターを入れる体制になり、サポートギターをチェンジしていきながらライブ/フェスを行い、その流動的な体制のままRising Sun Rock Festival in EZOへの出場が決まった。夏フェスと言えばひたちなか、カウントダウンと言えば幕張だったが、この年は友人の誘いもありキャンプがてら東北から車に乗って、フェリーに乗って北海道に入り、RSRに参戦した。
そしてここでBase Ball Bear×田淵ひさ子(元Number Girlギター)の透明少女を聞くことになるわけだが。この時のこの場所に自分がいたことは後世まで語り継いでいきたい思い出となった。「そんな彼女が透明少女な訳で」の枕詞とともにひさ子さんのギターが鳴る。ジャジャジャジャジャジャジャジャ、ドン!このイントロで全身に鳥肌が立ち、気づいたら泣いて叫んで歌って踊っていた。Number Girl伝説のライブであるRSR、Number Girlに憧れていた小出少年、その隣でデビュー曲透明少女のイントロを掻き鳴らす田淵ひさ子。運命や努力や継続することの大切さみたいな人生の凝縮されたエネルギーがその場にあって、Base Ball Bearに出会ったことでNumber Girlも気付いたら俺はなんとなく好きだった。

そこから再結成の話を2019年に聞くも、ライブとフェスに足繫く通っていたあの頃とは生活が一変していて、なかなか思うようにライブにも参加できず、それはまぁ言い訳で本気で好きなら再結成中にもっと真剣にチケット取ってたんじゃないかなーと思う。
再解散の2022年12月11日は音楽史に刻まれる1ページになるだろうし行ってみたいなーとふわっと思っていたのだが、ふわっとした勘定をぴあに見透かされたのかチケットの倍率がアレだったのか、何度も何度も落選し、当日14時からのチケットも買えず、TwitterのTLを見守ることしかできなかった。
終わってみるとNumber Girl行きたかったなーと思う。というより、自由奔放な向井秀徳を見てみたかったなーと思う。

そんな感じで後日YoutubeでNumber Girlのライブ映像を見ていたら、CDじゃ表しきれないものがたくさんあって、やはり音楽が好きならライブに行くべきだと痛感した。同じ曲でも2002年の時の感情と2022年の今の感情はどう変化したのだろう。あの頃のどこにも発散できないやり場のないエネルギーはアラフィフのNumber Girlはどう表現したのだろう。楽器が楽しくて楽しくて仕方ないというポジティブな感じに昇華したのだろうか。

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