見出し画像

SNS医療のカタチ×医療マンガ大賞 『SNS✕医療リテラシー エピソード募集!』山本健人(けいゆう)先生 スペシャルインタビュー

第5回医療マンガ大賞 SNS医療のカタチ部門のテーマとして先生方が選んだのは『SNS✕医療リテラシー』。常日頃からやさしく正しい医療情報の発信に尽力されている先生方が、このテーマを選んだ背景や想いを、医療マンガ大賞の審査員も務めてくださっているSNS医療のカタチ 山本健人(けいゆう)先生にお伺いしてみました。
ぜひ、エピソードやマンガ制作の参考にしてください!

第5回でSNS医療のカタチ部門のテーマに「SNS✕医療リテラシー」を
選ばれたのはなぜですか?

山本先生:
やはり最近、SNSで情報収集する人が増えているじゃないですか。
今やテレビのニュース番組ですら、SNSで広まった動画や写真等の情報を情報源とする時代。SNSは多くの人の重要な情報収集のチャンネルとなっており、それは医療情報についても当てはまります。でも、SNSって誰もが自由に発信ができますよね?だからどうしても科学的根拠のない、誤った医療情報が多く出回ってしまうんです。
私たちは医師として、そんなSNSでの医療情報の見極め方を多くの人に知ってもらいたいという思いが常にあり、今回このテーマを選びました。

確かに医療情報は専門的な内容が多いですし、SNSは情報発信元が漠然としていることもあるので、本当に正しい情報なのかどうか、私たち一般人には見極めが難しいです。

山本先生:
SNSでは、センセーショナルで意外性のある発信が拡散しやすいのですが、医療の分野においては、そうした性質の情報は得てして誤解を招くものであったり、一部の人にしか当てはまらないものであったりします。しかし、こうした情報の真偽を一般ユーザーが見抜くのは非常に難しいですよね。そして、たとえ専門家が誤りを指摘する発信をしても、元になった誤情報以上に拡散されるのは難しいものです。特に、誤情報の発信元がフォロワーの多い影響力のあるアカウントだったりするとどこまでも誤情報が独り歩きしてしまう。ひとたび拡散してしまった誤情報をどのように否定すればいいのか、これは大きな課題だと考えています。
最近Twitterで始まったコミュニティノート(誤解を招く可能性がある投稿に、ユーザーが協力して背景情報を提供する新機能)が、もしかすると一つの良案になりえるかもしれません。

なるほど、正しい知識を持った専門家がアラートを出しても、それを届けるためにはSNSでの発信力が必要になってしまいますものね。また、SNSはどうしてもフォロワー属性などで情報の伝達経路が違うので、誤情報が出回ったルートに専門家のアラートをくまなく届けるのも難しいですよね。
でも、コロナ禍を境にSNSで医療情報に触れている人はますます増えている気がしますが…

山本先生:
そうですね。だから私たちは今回のエピソード募集で、SNSで医療に関する情報を収集している方々が、どのように情報の真偽を判断し、取捨選択しているかを知りたいと思っています。そして、「SNS✕医療リテラシー」を医療マンガ大賞のテーマにすることで、SNSユーザーの情報の扱い方について多くの人が議論するきっかけになればと思います。

SNS一般ユーザーの方々が医療情報の、真偽についてお悩みになったことや、振り回されてしまった体験談などですかね?後は、逆に専門家ユーザーが医療情報の拡散を見て不安に思ったケースとか…

山本先生:
そうですね、SNSで拡散された医療情報について様々な立場の方の体験が読んでみたいですね。それぞれが想うこと、問題提起したいことなど、たくさんのエピソードをお待ちしています!
そして、応募されたエピソードやマンガ化された作品は、SNSで医療情報を収集し、それを自分の行動変容に繋げたことのある方にぜひ読んでいただきたいですね。SNSで推奨されていた行動を実践してみた、家族や友人に話してみた、という方に読んでいただくことで、自身の行動がリスクを伴ったものでなかったかどうか、誰かの健康を傷つけるものでなかったかどうかを振り返るきっかけになるのではと思います。

エピソードを執筆されるうえで、正しい情報の見分け方を知っておきたい方や、ストーリーに含めたい方などもいらっしゃるかと思うのですが、先生方の考える信頼できる情報の見分け方のコツがございましたら教えてください。

山本先生:
簡単で分かりやすいコツがあるわけではありませんが、情報の見極め方の目安として、以前私たちが作った合言葉が「だしいりたまご」です。

正しい医療の見分け方

  1. 「だ」=誰が言っている?

  2. 「し」=出典はある?

  3. 「い」=いつ発信された?

  4. 「り」=リプライ欄にはどんな意見がある?

  5. 「た」=たたき(攻撃)が目的の投稿ではないか?

  6. 「ま」=まずはいったん保留しよう

  7. 「ご」=公的情報は確認した?

山本先生:
エピソード作成はもちろん、この記事を読んでくださった方々の医療情報の見極めの参考にしていただけたら嬉しいです。

ありがとうございます。最後に、医療マンガ大賞で「SNS✕医療リテラシー」をテーマにしたエピソードがマンガ化されることに、どういった期待をされていますか?

山本先生:
そうですね、「医療リテラシーを高めよう」「医療情報を適切に見分け、エビデンスの乏しい情報に騙されないようにしよう」と専門家が過剰に発信することで、かえって「押し付けがましさ」を感じ、辟易する方も正直いるのではと思うんですよ。でも、マンガというカジュアルで読みやすい、感情に働きかける表現を用いることで、専門家が「講釈を垂れる」ようなトーンではなく、親しみやすい距離感で理解を深めていただけるのではと期待します。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?