生まれてきてよかったのかもしれない。
書いてよ、米びつ女。
というブログを友達が書いてくれた。
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書いてよ、米びつ女。|真崎|note(ノート)
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嬉しいことがあったので、ちょっと書いてみることにした。
ちなみに今ラオスにいる。
ゲストハウスの個室で布団にくるまりながら書いている。
気温は日本の秋ぐらい。
冬が死ぬほど嫌いなのでこのタイミングでの東南アジアはとても嬉しい。
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唐突ながら、私はずっと
「生きててよかった」と思うことはあっても、
「生まれてきてよかった」と思ったことがなかった。
自分に価値が無いと思ったからせめて誰かの役に立たないといけないと思って、
大学は国際協力を学ぶために国際関係学部というところに入った。
でも国際協力の道は険しくて、自分の能力の無さもあって
就活をする頃にはある程度現実的な道を選んだ。
どうせなら好きな「デザイン」に関わる仕事がしたいと思って、WEB制作会社に入った。
でもそれだけじゃなくて、「伝える」ことを仕事にすれば、またいつかどこかで国際協力の分野と関われるんじゃないかという淡い期待もあった。
それから6年経って、2度転職を繰り返し、この1月から新しい会社に入った。
入社してすぐに、ラオス出張が決まった。
メコンオーガニックプロジェクトという、ラオスのルアンパバーンにあるロンラン村で育てたコーヒーを日本で販売するプロジェクト。
焼畑農業で木を切り倒して森林を破壊していくのではなく、コーヒーを森の中で育てることで、環境を守りながら品質の良いコーヒーを育てるための指導をし、現地の農園や工場を支援している。
私の役割はそのプロジェクトを伝えるための動画撮影のディレクションと、サイトリニューアルのための視察。
大学の頃に研究していたメコン川流域に、今になって仕事で来ることになるとは。
感慨深くなって、人生って不思議だなと思ったりした。
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仕事もだいたい終わった最後の夜に、スタッフ4人でシンダート(ラオス流の焼肉みたいなもの)を食べに行った。
メコン川のすぐそばで肉をつつきながら、私は珍しく自分の話をした。
大学に入るまではJICAやUNICEFに入りたかったこと。
でも現実を知って挫折もして、結局別の道に進んだこと。
でも今こうやって途上国のプロジェクトに関われて本当に嬉しいこと。
すると、プロジェクトをメインで担当しているスタッフが言った。
「僕は国際協力をしたいと言いながら結局やめていく人をたくさん見てきた。
だから国際協力に関われる現場を作ることがひとつの夢だった。
そう言ってくれて、夢がひとつ叶った気がする。
"生まれてきてよかった"。」
あ、と思った。
『生まれてきてよかった』
彼は軽い気持ちで言ったのかもしれない。
でも私にとってそれは魔法の言葉だった。
まさか、私の言動でそんなことを思ってくれる人がいるなんて。
異国の地で、それも不意打ちで、私は強烈に救われてしまった。
言葉は不思議だ。
自分が言いたかった言葉を誰かに言ってもらうことで、自分の中の何かが成仏したような気がした。
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ゲストハウスへの帰り道、メコン川沿いを歩きながら思った。
私の言葉や行動で、誰かに「生まれてきてよかった」と思ってもらえるなら、
まだ「生まれてきてよかった」と自信を持って断言することはできないけど、
私はもしかしたら、
生まれてきてよかったのかもしれない。
私はたぶんこの夜を忘れないと思う。
ラオスのルアンパバーンで、この上ない幸せに包まれたこの夜を。