1日1建築 ⑦ 「新国立競技場案 古墳スタジアム
✅ 新国立競技場案 古墳スタジアム
田根 剛
✅特徴
2020年東京オリンピック招致に向けた新国立競技場基本構想国際デザイン・コンクールでは、田根剛の作品「古墳スタジアム」もファイナリストに選出されました。
残念ながら、最終的には建設には至りませんでしたが「競技場に森をつくり、緑を復活させる」という日本を全面に押し出したコンセプトは大変話題になったものです。
✅ 建築を作るとき
「古墳」は安易な思いつきではない。田根はいつも設計の前に、チームでリサーチを重ねる。古代ギリシャにさかのぼるスタジアムの起源、建設地である明治神宮外苑の成り立ち…。場所の記憶を多方向に掘り下げていった。
やがて浮かんだのが、明治天皇の鎮魂の場として日本各地の木々を集めて造られた神宮内苑の杜(もり)にならい、外苑にも「100年の森」を造る構想。そして、日本中の木々に覆われた「古墳」のスタジアムだ。2020年を機に、日本のピラミッドというべき古代社会がつくった最大の建造物「古墳」を世界に発信するアイデアも、海外を拠点とする田根ならではの発想だったかもしれない。
✅ 建築家とは
「建築家の仕事は未来を決めること」と田根。建築があることで、その場所は意味を持ち、場所の記憶は未来へ継承されていく。