1日1建築 ⑮ 「サーペンタイン・ギャラリー 2014」
✅ 「サーペンタイン・ギャラリー 2014」
スミルハン・ラディック / イギリス ロンドン
✅ サーペンタイン・ギャラリーとは
英国の王立公園、ケンジントン・ガーデンに夏限定でお目見えする「サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン」。毎年著名な建築家やアーティストが選ばれて設計し、英国の社交イベントであるサマーパーティーなども開かれるロンドンの夏の風物詩でもある。設計者のビジョンが色濃く反映されながらも、わずか1シーズンで姿を消すいわば建築のポップアップ。
今回は、2014年、チリの建築家スミルハン・ラディックの作品だ。
✅ 特徴
芝の上に並ぶ巨石は古代遺跡のような印象。その上に宇宙から降り立ったような繭状の建物が乗っかっている。厚さわずか10mmのファイバーグラスを使った柱のないシェル構造の建物だ。巨石を見下ろすように中央が開いたドーナツ形で、ハサミでランダムに切り取ったような開口部のほか、スチール製の窓が貫く。内壁は黄色味を帯び、夜間には光が外まで透過し、ぼんぼりのように見える様子も一興。古代と未来へのロマンが融合した、まさに浮世離れした作品だ。
彼は、この作品を依頼を受ける4年前に作ったものだった。『わがままな大男』の寓話を念頭に置いて、遊びとして作ったもので、建設しようとはその時は考えていなかったが、サーペンタイン・ギャラリーの依頼を受け、時の試練を経て建設されることになった。