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【自分を知る】勉強は楽しくないから子どもはやりたくないはず・嫌いなはず…という前提

(2022.7 加筆しました。)

【自分を知る】というテーマについて、これまでほとんど書いていなかった本業の英語講師という立場からの気づきを書いてみます。

私が見てきた範囲について言えば、勉強は面白くないから「子どもは勉強なんてしたくないはず」「勉強が嫌いなはず」、更には「勉強なんてしたくないのが健全な子どもだ」という思い込みを持っている大人さえそれなりの数います。

そのせいで、子どもの意志を尊重しない形で無理矢理勉強させたり、逆に「どうせ出来ないのだから」とか「勉強なんてくだらないからしなくていい」とまともな指導を受けられていないお子さんの多いこと。

今回は指導を受けられていなかったお子さんの例です。

私は経験年数が多いため、特に勉強が苦手な生徒さんを担当することが多かったのですが(そしてまた、そういうお子さんを教えるのが好きなのですが)、その経験から、子どもは本来「学びたい」「分りたい」という意欲を持っていることがほとんどだと言えます。

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ある一人の生徒さんの話です。(一部事実とは変えてあります。)

ある女子高校一年生の生徒さん、Aちゃんとします。

私がずっと前に教えていた個別指導塾で、何人かの先生の指導を受けて来ました。

でも、成績が上がらないし本人もやる気がないとのことで、親御さんからこれでダメなら塾を辞めさせるという条件で私の所に連れて来られました。

親御さんは成績だけでなく、生活態度でもAちゃんに手を焼いていた様子でした。

姉妹がいて、Aちゃんだけが成績が良くないとのことでした。

Aちゃんのことはその塾ではよく知られていて、「やる気がない生徒」ということで、集中力がなく授業中のお喋りも多く、授業らしい授業が行われていなかったようです。

「あいつはやる気がないからな」という、講師間の評判も聞いていました。

それまで使われていた問題集をチェックしてみたら、やった形跡はあるけれど、答え合わせがしてありませんでした。

私との初めての授業では、集中力が持つのはせいぜい10〜15分。すぐに飽きてお喋りが始まります。

それでも教科書を訳したり、問題を解いたりして何とか90分を終えました。

その時のAちゃんの表情を今でもはっきりと覚えています。

「疲れた」を連発しながらも、とっても嬉しそうだったのです。

これなら行けると思って、毎回休憩を取りながらきっちり授業をしていくと、だんだんと集中力もついて、少しずつ学校の授業が分かるようになってきました。

ある時、学校で貰ったプリントを持って来たAちゃんは、席につくなり「今日はこれを教えて」と言いました。

自分からやりたいことが出てきたなんて、物凄い進歩です。私も嬉しかったです。

Aちゃんは学校でも色々問題を起こしていたのでしたが、授業が分かるようになるにつれて、学校の先生とも仲良くなって、授業態度も変わって行きました。

ある時、Aちゃんは、授業の最後に恥ずかしそうに下を向いたまま、「先生、ほんとは私、英語ができるようになりたかったんです。」と言いました。

将来英語圏で暮らしてみたいという夢も話してくれました。

その時のAちゃんの言葉を聞いて、胸がいっぱいになりました。

本当は勉強したいけど、周りが勉強嫌いな生徒と決めつけてしまって、ぞんざいな扱いを受けてきたように私には思えました。

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子どもはよく、周りの大人の思っている通りの役を演じます。

ダメなやつ、勉強嫌いなやつ、不真面目なやつという周囲の思いを、そのまま見せてくれます。

学校で授業態度が良くないと言われる生徒さんの中には、授業が理解出来なかったり、指名されて答えられないのが苦痛で、これくらいの年齢にありがちな反抗的な態度に出てしまうケースがとても多いのです。

Aちゃんが特殊なケースなのではなくて、授業が分かるようになって別人のように態度が変わったり、性格まで変わったかのように見える生徒さんに何人も出会っています。

授業中に学校から抜け出したり、先生に反抗的で、学校で一番の問題児と言われていた中学生の男の子も、手を抜かないできっちり教えたら、進んで宿題をやってくるようになりました。

その時もやはり、その生徒さんはとても嬉しそうに勉強していました。

(現状、学校では先生方はあまりに多忙な為個別の対応は難しいので、先生たちに非はないと思います。)

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前提が「勉強はつまらないものだから、子どもは勉強したがらない」ではなくて、「子どもは本来学びたいはずなのに、嫌がるのは何か原因がある」として見ると、対応も変わってきます。


多くの大人が子どもの時に勉強で苦労してきたということから、学校や勉強を憎んでいる人がとても多いです。

教育のシステムや教える内容は改善すべきところばかりだと思います。

でも、例えば、相撲協会に色々問題があった時に、相撲協会は間違っていても、「相撲なんてやめろ!」「力士なんてこの世からいなくしろ!」とはなりません。

たくさんの人が相撲を愛しているからです。

教育を変えられるのは、学ぶことの楽しさを知った人間だけだと私は思っています。

教育を頭から否定したり、学校・先生・勉強を憎んでいる人が小手先で何かしても、むしろ良くない方向にしか行かないでしょう。

前提そのものを変えるのはなかなか難しいとは思いますが、世の中とは自分が見た通り、思った通りになっています。

そうなっているからそう見えるのではなくて、そう見ているからそうなっている。

ここに気づけると、子どもの勉強のことに限らず、色々なことが良い方向に向かっていくのではないかと、塾の生徒さんのことを例えにして書いてみました。

教育の在り方、指導者の在り方についての批判をする為の記事ではありません。多くの指導者が、制限の多い環境で工夫・努力をしています。

特に学校の先生方は大変な環境の中、頑張っていらっしゃいます。

思い込みや勘違いのフィルターについて、子どもの勉強という観点から書いてみました。

フィルターについての関連記事です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。😊


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