勝手にチャレンジ1000 0130 近況報告③実家編・母の入院

 昨年11月、母が階段で転んだ。
 足をすべらしてよろけたところで階段の手摺をはっしと掴んで体を支えようとした。しかし、手の力が弱くて、持ちこたえれず、くるりと回転し、階段の段の角に右足の向こう脛を押し付けて、そこを支点に、ギリギリと、ゆっくり、全体重をかけてずり落ち、踊り場に長々と横たわった。
 ちょうど階段の下にいた私は、すわ、階段落ちか!っと母を支えようと階段をかけ上ったが、踊り場からはずり落ちず、母は仰向けになったまま「だいじょぶ、だいじょぶ」と笑っていた。
 怪我は脛の擦過傷のみ、骨折もなくて良かった、と言っていたら、その夜、右足の膝下が内出血でパンパンに腫れた。
 あんまりパンパンなので、もしかしたらやっぱりヒビくらいは入ったのでは?と、翌日かかりつけ医に往診を頼んだが、骨に異常はなく傷の手当てのみで終わった。
 さて、その内出血だが、血管をひどく傷つけてどんどん出血しているのだろうかと思うほど腫れが引かない。皮膚が張り切って、じわじわと染みだしてくる体液と血液を吸収するパットを当てて様子を見ること2、3週間、数日毎にパットの交換をするのだが、12月のある日、パットをはずしてみると、傷口が壊死していた。なかなか引かない血液が、血腫になって組織を圧迫していたようだ。
 黒く変色した表皮をハサミで切り取ると中身がドロリと流れ出た。その日から壊死した組織を掻き出す治療が始まった。すねには大きな卵大の黒い穴が空いた。年が明け、壊死した組織を取り除く処置は続いたが、ようやくすこしずつ肉芽が盛り始めたところで、県病院を紹介され、治療の方針をどうするか、と言う話になった。治り始めてはいるがこのスピードでは肉が盛るのに三、四ヶ月はかかると思われ、しかも、そこまで待ってもきれいに表皮が張るかどうか確かなことは言えない。このまま大きな傷を抱えることは感染症のリスクもある、ということで、サクッと治しちゃいましょう!と明るく皮膚移植を勧められた。

 母の現時点での治癒具合と傷の大きさから言ったら皮膚科的にはそんなに大変なことではないらしいが、こちらは素人なので驚天動地、かなり驚いた。自分の人生に皮膚移植の可能性を予想することはあまりないだろう。ましてや94才で遭遇するとは本人も家族も思いもよらず、なにか、とても不安になった。入院したら歩けなくなるとか、認知症になっちゃうのでは、とか悪い想像しかしない。「これが死に至る怪我かもしれないねー」等と本人もろくなことを言わないのでますます嫌な感じだ。

 かかりつけ医の往診を受けつつ、二度ほど県病院で診察を受け、やはり手術をしましょう、と言われ、かかりつけ医にも説得され、その間に95才になり、先週、母は入院した。手術前に1週間、肉芽の形成を早める陰圧閉鎖療法の機会をつけ準備してから手術に臨み、術後1週間皮膚を密着させる処置をして退院、と言う予定。
 手術は、しわしわにたるんだ脇腹の(余った)皮膚をチョキンと切って移植するそうで、たぶん、脛の傷よりお腹の傷の縫合の跡の方が痛いかも、とあくまで皮膚科的には、大丈夫、心配しないで、と言う感じ。麻酔も私が全身麻酔が不安と言ったら、じゃあ、局所麻酔で、と。じゃあ、って変えられるものなのね、と、思った。
 母と言えば、父の相手と家事から解放されて、入院2日目には、楽だわーこんなに楽なら早く入院すれば良かった、と言った。ゆっくり休めているのだろう心なしかふっくらと、顔の皺ものびた感じがする。

と言うわけで本日手術である。
無事に終わりますように。


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