別に切りすぎたと自分で思ってない私の前髪をみて「まっえっがみを 切りすぎた♪」と彼氏に歌われた日
その日の夜は一緒に焼肉を食べた。夕方、スーパー銭湯に行ってさっぱりポカポカの状態でさあ夜ご飯何を食べよう、という時に彼は、冷麺が食べたいと言った。韓国料理屋に向かう。その道中では男湯と女湯ではサウナのチャンネルが違うのかが気になり彼に聞いてみたら、女湯はニュースだったが、男湯はクイズ番組がやっていたそうだ。そこには彼が好きな美人プロ雀士が出ていたそうで、その美女がどれだけ凄いかを水着の写真を見せながら嬉しそうに力説された。美人でスタイルが良く、麻雀もめちゃくちゃ強いようだ。はい、萎えます。そんなこと聞いてないので言わないでください。サウナでやってる番組なんて聞かなきゃよかったと思った。
韓国料理屋に着いた。その日は火曜で定休日だった。残念だけど他のお店をさがそう。私はなんとなく焼肉が食べたい気分になり、その日の夜ご飯は焼肉になった。焼肉が食べたいと思った時に、もともと彼が食べたいと言っていた冷麺のことなんか頭に1ミリも残っていなかったのだが、そこの焼肉屋のメニューを見ると冷麺があった。彼は、私も冷麺がすごく食べたかったから冷麺がありそうな焼肉屋を選んだのかと思った、となにか幸せな勘違いをしていた。美人雀士の話でちょっと嫌な気分になっていた私はとりあえず肉を食べて元気を出したかった。実際冷麺はそんなに食べたかったわけでは無かったが言わなかった。言う必要が無いことを私は言わない。美人プロ雀士の話とか私が彼氏だったら絶対言わない。冷麺は食べたら冷たくて酸っぱくてすごく美味しかった。
焼肉はだいたいいつも彼が焼いてくれる。焼くのが私より上手だし、丁寧だからお任せしてしまっているのだが、今回は私が焼くよ!と立候補してみた。しかし、焼き始めて少し経つと案の定私は肉から目を離し、おしゃべりに夢中になって網の上の肉を半分くらい焦がしていた。なんとまあ無責任な肉焼き立候補者だ。トングは奪われ、その日の肉焼き権も私から奪われたのだった。付き合ってからずっと続いている、彼が焼いて、私が食べるという役割は根強かった。
「〇〇(私)って焼肉とかあんまり行かなそうだよね」と言われた。確かにそんなに頻繁に行くことはない、正解である。私のことよくわかってるな〜と感心し「じゃあどこでご飯食べてそう?」と聞くと彼は真剣な眼差しで肉を焼きながら考え始めた「んー…家でご飯食べてるイメージ」
どひゃ〜。全然嬉しい答えじゃなかった。なんかおしゃれなカフェとかって言ってくれると思ったら家でご飯食べてるイメージかい…。残念。「じゃあお店だったら?」「ん〜サイゼ?」ぎゃー。死んだ。これまた全然嬉しくない。私のこと家かサイゼで飯食ってる女だと思ってるのかこいつ。「サイゼよりガスト派」とすこし抵抗してみたら「あーわかるかも!ガストのクーポンでポテトとか食べてたでしょ!笑」なんと!こいつは更なる追い討ちをかけてきた。攻撃力強すぎだろ!?もう私のHPはゼロよ!?どれだけ私のこと貧乏くさい奴だと思ってるのだろうか。自分ではおしゃカフェ女だと思われていると想定していたのだが、彼の中で私はガストクーポン女だった。
彼は素直な人で、思ったことは正直に口にしてくれる。そこが好きなところでもあるが今回の美人プロ雀士とガストクーポン女はなかなかのクリティカルヒットだった。私は家に帰ってもしばらくこれを喰らっていて落ち込んでいた。
以前、中学から仲が良い男友達と飲んだ時のことを思い出した。高校は別だったがよくおたがいの恋愛相談をするために月一くらいで某ケンタッキーに集まっているという関係だ。彼はまあまあイケメンで昔から学年の美女と付き合っていた男だ。彼が言うにはいい女には『10%増しのホスピタリティ』があるらしい。これについては具体例を出して詳しく説明したいのでここでは省略するが、その話の中で彼は「デート相手の女の子が自分より先にクーポンとか調べてくれてたらめっちゃグッとくる」と言っていた。理由は、だいたいデートのご飯屋さんでは男が奢ろうと思っているが、自分でクーポンを探して使っている姿はダサいのでクーポンは使えないと思っている。しかし、女の子側から「クーポンあるよ!」と自ら調べて言ってくれた時、彼女は天使に見えたと彼は言った。男側の金銭的負担とクーポンを調べるみみっちい男だと思われる恥ずかしさをまるっと包み込んでくれる素晴らしい女性に見えるらしい。
この理論でいくとクーポンを使う女性=貧乏くさい女というわけでは無いのかもしれない。全ての男性が同じ意見な訳では無いとは思うが、男性意見は実に面白い。
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