謎解き
息子が学校から帰ってきて、何やらプンプンしている。
「あー、もう今日、最悪なことがあった!」と言っている。
「何があったの?」と聞くと、
「もういいから!言いたくない!」と言う。
思い出したくもないから、説明したくないらしい。
最近、運動会の棒倒しの練習をしていて、
下の台になるとき、踏まれるのがやだと前に言っていたので、
またそのことかなと思った。
そして夕飯時。
ご飯を食べながら、息子が棒倒しの話をしている。
「今日さー、のぼる人の役をやってみたんだけどさー、
のぼったはいいけど降りられなくて、やっぱ無理だった!」とか、
笑いながら話している。
「下の人は、踏まれるのが痛いんでしょ?」と、それとなく聞いてみたら、
「もうそれは慣れた!」と、あっけらかんと言っている。
あれ?じゃあ、今日の"最悪"はこのことじゃないんだ。はずれ。
夕飯後、
「今日さー、休み時間に、"バカバカ!"って言うゲームやってる友達がいてさー、
僕は途中でそれやめたのに、その後も"バカバカ!"って言われた」
と、息子がいきなり脈絡のない話をし出した。
特に、深刻そうには感じられなかったので、
当たり障りのない相槌を打っておいた。
お風呂に入る前、
「あー、明日学校行くのやだなー、面倒くさい」と息子が言う。
息子が、学校行きたくない、と言うのはたまにあることで、
大抵、朝になれば普通に登校するので、
ひとまず静観しておいた。
寝る時間になって、
支度ができて、部屋の明かりも暗めにして、
ベッドでごろごろしているとき、
ぼそっと息子が話し出した。
「明日さー、特に学校行きたくないんだよねー。
今日、バカバカって言われて、実はちょっと泣いちゃったから、
なんか気まずい。」
"最悪"って、このことだったのか。
半日かかってやっと分かった。
子供の心を探るのは、いつも謎解き。
そして翌朝。
息子は、「学校やだなー」とは言わず、
ケロッと登校していった。
心の中がどうだったのかは分からないけれど。
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