「LISTEN」読了。相手と「いい時間」を過ごすために。
私がフォローしている篠田真貴子さん。
いつも示唆に富んだ記事を書かれていて、すっかりファンになっています。
昨日、篠田さんが監訳された「LISTEN」を読了しました。
篠田さんは「エール」という働く人に対する1 on 1 をB to Bで請け負う会社の役員をされています。
この会社の面白いところは、傾聴に特化していること。
話を聞いてもらうことで、相手の企業の生産性に一役買っています!
ご自身のジョブレス期間中に友達にたくさんの話を聞いてもらったことから「聞く」ことに対する可能性を見出し、この会社に関わられておられます。
著者はケイト・マーフィさんというジャーナリスト。
ニューヨーク・タイムズに書いてきた多くの記事が「最も読まれた記事」にランクインしてきた方だそうです。
「聞く」に魅せられた人が監訳した、「聞く」プロが書いた本。
冒頭にこんな文章があります。
話を聞くことが、どれだけ相手と自分の人生を豊かにするのか。
どれだけ創造的な結果をもたらすのか。
エビデンスや、多くのインタビューをもとに書かれています。
なんというか、パワーのある1冊なんですよ。
一つ一つの文章を切り出していくとキリがありません。
多分これ自体が、聞くことによって書かれた本だからなんでしょう。
聞くこと自体に、力があるから、これだけ伝わるんでしょう。
10年ほど前になるでしょうか。
私は「自分のことを話さない方が、相手と仲良くなれるな」と思って、自分のことを殆ど話さなくなった時期がありました。
自分がどれだけ頑張っているのか、
自分がどんな人間なのか、
一生懸命アピールしても、どこか虚しくて、
話すのをやめてみた。
そしたら相手がたくさん面白いことを言っていたことに初めて気づいた。
自分が相手の話を止めていたことにようやく気づいた。
「あー、私、全然聞いてなかったんだ。」
と痛感したのです。
それから、少しずつバランスを調整するようになり、今は自分のことも会話の流れに合わせて出していくようになりましたが、
あの時に感じた、どんでん返しの感覚はいまだに忘れられません。
私は、自分が関わった人と、できるだけ「いい時間」を過ごしたいと思っています。
大切な家族
親しい友達
時間をかけて、自分のところに来てくれた患者さん
頼もしい仕事仲間
そして、これから会う人たち。
良かったかどうかは、相手が決めることなので、コントロールできません。
唯一、自分ができるのは「興味を持って聞くこと」だと思うのです。
これができた時、自分が話している時とは比べ物にならないくらい盛り上がり、終わった後も充実感があります。
「行くつもりもなかったところに来ちゃった。いやー、いいとこだね!」みたいな感覚。
面白いもので、意識しないと、すぐに言葉が出そうになります。
「私はこうだったよ」「こうするといいよ」
理学療法士として患者さんに接していると、尚のこと。
でも、多くの場合、相手を思って伝えても、それは伝わっていないし、
為にもなっていない。
相手の話を自分の話で止めているに過ぎない。
つまり相手にとって「いい時間」ではないのです。
私は共感性が強いのか、相手が「いい時間」と思ってくれたとき、自分も「いい時間だったな〜」と思うことができます。
自分が喋りまくった後は、なんだか、「ちょっとごめんね」みたいな気持ちになる。
聞いたあとの方が、ずっと後味がいいことにもようやく気づきました。
それは「いい時間」をお互いが感じられたから。
この本によれば、どんな「聞くプロ」でも、相手の言葉をそのまま受け入れず、言葉を挟みたくなる衝動はあるといいます。
自戒の念を込めて、この文章をひいて終わりたいと思います。
利己的は目標達成のために、聞くふりをしていないか。
自分に問いかけながら、周りの人と「いい時間」を創り出して行きたいと思います。
篠田さん、素晴らしい本でした。
ありがとうございました。
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