先生、筋肉はいつ頃つきますか?
「筋トレ大事なのはわかった。じゃあ、どのくらいの期間で効果出るの?」患者さんからめっちゃ聞かれる質問です。
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前回、産業理学療法現場において、筋力強化は筋骨格系疾患を減少させる可能性があり、他の介入に比べて高いエビデンスがあることを紹介しました。
じゃあ「どのくらいの期間やれば筋力ってつくの?」
うん、確かに気になります。
いつもより、きついことをやるんだから、どのくらいで効果が出るのか予め知っておきたいですよね。
実は科学的な視点に立つと、いろいろな答えがあります。
いわゆる「力が出る」という「筋出力」
同じ力を、「長時間」発揮できるかの「筋持久力」
どちらにアプローチするのか?
どの筋肉に対してどのような運動を行うのか?
普段使う筋肉なのか、なかなか使わない部分なのか?
一概に言えないにしても、限定した環境下で研究された論文を参考に、「まずは3ヶ月頑張ってみてください」とお伝えしています。
【方法】
70歳以上の男女を対象にゆっくりとした自重負荷(自分の体重を負荷とした機材を使わない)運動を12週間行った。
【運動内容】
スクワット、卓上腕立て伏せ、腹筋運動の3つのエクササイズ
各動きに行きの動きに4秒、戻る動きに4秒費やす。
【回数】
1ヶ月目 10回を2セット
2ヶ月目 10回を4セット
3ヶ月目 10回を6セット
【エクササイズ紹介】
・スクワット
足を肩幅で広げ、つま先を少し外側に向けて行う。
腰を後ろに押し、太ももが床と平行になるまで膝を曲げて体を下げ、ゆっくりと立ち上がる
体を下げるときは息を吸い、立ち上がったときに吐き出す
・卓上腕立て伏せ
四つんばいの姿勢から床ギリギリまで頭を下げる
・腹筋運動は
膝を90°曲げた姿勢から、両手を首の後ろに置いて行う
【結果】
以下に有意差あり
・胴囲、腰囲、腹部脂肪の厚さの減少
・大腿四頭筋の筋厚と膝の伸展強度の増加
★★
いわゆるスロートレーニングです。
筋肉をゆっくり動かすことで血流の流れを阻害して、酸欠状態にすることで、筋組織にストレスをかけて肥大させていきます。
自分の体重負荷で、ゆっくりうごく。
これ理学療法士としては、すごく好きな考え方です。
筋肉は、重力に抵抗して体を起こしています。
起きている限り、自分の体重を筋肉で支えなくてはいけません。
しかも、体はいろんな姿勢に変化します。
歩く、かがむ、手を伸ばす、パソコン打つ。
全て自分の体重を支えながら同時進行して行っています。
重力に体が負けているのに、無理な動作をするから痛くなる。
ゆっくりうごく。
筋肥大につながる。
でも、私はそれ以上に自分の体をどう支えればいいのかが分かりやすい、という利点を感じるのです。
さて、筋トレやってみますか!
「3ヶ月、でもゆっくりね」
★★★
理学療法士は「身体の悩みを、動いて治すことが得意な専門家」です。
産業理学療法と理学療法士が、社会に必要とされるために、働く人に向けた情報を発信をしていきます!
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